GHS分類結果

View this page in English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 74-93-1
名称 メチルメルカプタン (別名:メタンチオール) (再分類)
物質ID H26-B-104, R-047
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1


危険
H220 P210
P377
P381
P403
爆発限界 (3.9-21.8% (ICSC (2003)) から区分1とした。なお、国連分類UN1064、クラス2.3 副次2.1である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外
-
-
- - 国連分類UN1064、クラス2.3 副次2.1の可燃性又は引火性のガスである。
5 高圧ガス 液化ガス


警告
H280 P410+P403 臨界温度 (196.8℃ (HSDB (Access on September 2014)) は+65℃を超えるため、液化ガス (低圧液化ガス) とした。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
P501
ラットのLC50値として、675 ppm との報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2004)、DFGOT Vol. 20 (2003)、ATSDR (1992)) に基づき、区分3とした。なお、分類ガイダンスに従い、LC50値 (4時間) を優先し、ppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
具体的な情報は無いが、本物質は皮膚に対して刺激性を持つ (HSDB (Access on September 2014)) との記載から、区分2とした。HSDB (Access on September 2014) の情報を追加し区分を変更した。

3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
本物質をラットにばく露した結果、粘膜刺激がみられた (ACGIH (7th, 2004)) との報告や、ヒトへのばく露の影響として粘膜刺激がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2004))。また、本物質は眼に対して刺激性を持つとの記載がある (HSDB (Access on September 2014))。以上の結果から、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (SIDS (2009)、ACGIH (2004)、DFGOT Vol. 20 (2003))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (IUCLID (2000))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットに本物質のNa塩 (メチルメルカプタンNa塩) を用いた経口 (強制経口) 経路での反復投与毒性・生殖毒性併合試験 (TG 422) において、生殖毒性及び発生毒性はみられていないとの報告がある (SIDS (2009))。しかし、スクリーニング試験であることから分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、血液系)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
本物質は気道刺激性がある (DFGOT Vol .20 (2003)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on September 2014))。ヒトにおいては、作業者の吸入ばく露事例等で、咳、頭痛、めまい、ふらつき、悪心、嘔吐、胸の圧迫感、喘鳴、頻呼吸、呼吸不全、昏睡、鼻粘膜及び肺の炎症、肺水腫、メトヘモグロビン血症、チアノーゼ、急性溶血性貧血、筋力低下、痙攣、複視、中枢神経系抑制、骨格筋及び呼吸筋麻痺が認められている (DFGOT Vol. 20 (2003)、PATTY (6th, 2012)、ATSDR (1992)、HSDB (Access on September 2014))。
実験動物では、吸入ばく露の1.33-3.31 mg/Lの範囲で、麻酔作用、不活発、歩行困難、振戦、正向反射喪失、頻呼吸、呼吸抑制、呼吸困難、昏睡、筋力低下、痙攣、骨格筋及び呼吸筋麻痺、チアノーゼ、鼻粘膜及び肺の炎症、肺水腫の報告がある (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2004)、DFGOT Vol. 20 (2003)、PATTY (6th, 2012)、ATSDR (1992)、HSDB (Access on September 2014))。
ヒトの知見で中枢神経系、呼吸器、血液系への影響が認められ、実験動物で呼吸器、中枢神経系の影響は区分1のガイダンス値の範囲の用量で認められた。
以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、血液系)、区分3 (麻酔作用) とした。





9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでは本物質単独ばく露影響ではないが、硫化ジメチルなど他の硫黄化合物との長期混合ばく露による影響として、眼、鼻粘膜への刺激、頭痛、吐き気、嘔吐、呼吸困難、ヘム合成阻害がみられた (DFGOT vol. 20 (2003)) との記述、また本物質は中枢神経抑制作用を有し、硫化水素と同様、呼吸中枢に作用し、呼吸麻痺により死亡を生じる (PATTY (6th, 2012)) との記述がある。 
実験動物ではラットに本物質 (ガスと推定) を最大57 ppmの濃度まで、3ヶ月間吸入ばく露した試験において、ばく露中の行動変化 (群をなして鼻先を上方に反らす動作) が2 ppm 以上でみられ、57 ppm 群では体重増加抑制と共に顕著に認められたが、標的臓器毒性は検出されなかった (SIDS (2009)、ACGIH (2004)、DFGOT vol. 20 (2003)、PATTY (6th, 2012))。この試験は区分2のガイダンス値範囲の濃度をカバーしておらず、本物質の吸入経路による毒性の全貌を明らかにはできないが、ばく露中にみられた鼻先を上方に反らす動作は刺激性による影響であると考えられている (DFGOT vol. 20 (2003))。
以上、分類はヒトでの知見を基に区分1 (中枢神経系、呼吸器) とした。
なお、本物質のナトリウム塩 (CAS No.: 5188-07-8) をラットに8-9週間強制経口投与した反復投与・生殖発生毒性併合試験において、最高用量の45 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 約29.4 mg/kg/day (区分2) で、中枢抑制によると考えられる臨床症状 (筋緊張低下、協調性運動の低下)、血液系への影響 (赤血球数減少、ヘモグロビン濃度、及びヘマトクリット値の減少など) がみられ、脾臓、或いは肝臓に貧血に伴う二次的影響 (髄外造血亢進、ヘモジデリン沈着) がみられた (SIDS (2009)) との記述があるが、本物質はガスであり、吸入経路での有害性情報には血液系への影響を支持する知見が乏しいことから、「血液系」は標的臓器に含めない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
-
-
- - GHSの定義によるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

GHS関連情報トップページに戻る