GHS分類結果

View this page in English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 506-77-4
名称 塩化シアン (再分類)
物質ID H26-B-109, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類できない
-
-
- - 爆発限界上限23.5% (Matheson (2001)) のデータはあるが、爆発限界下限のデータがなく、区分1と区分2を判断できないため、分類できない。なお、国連分類UN1589 クラス2.3 副次危険8である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外
-
-
- - 爆発限界上限23.5% (Matheson (2001)) のデータがあり、可燃性があるため区分外とした。
5 高圧ガス 液化ガス


警告
H280 P410+P403 臨界温度 (175℃ (GESTIS (Access on September 2014)) は65℃を超えるため、液化ガス (低圧液化ガス) とした。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
マウスの致死濃度 (3分間ばく露) として、約400 ppm (1.0 mg/L) (4時間ばく露換算値として、89.4 ppm) 及びヒトで48 ppm、30分間ばく露 (4時間ばく露換算値として、17 ppm) により致死との報告がある (ACGIH (7th, 2014))。これらの知見よりLC50値 (4時間) は<100 ppmと推測されるため、区分1とした。なお、致死濃度が飽和蒸気圧濃度 (19,615,005 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
具体的な情報は無いが、本物質の蒸気は皮膚に傷害を与えるとの記載がある (HSDB (Access on September 2014))。また、本物質は危険物輸送の副次等級が8である。以上のことから区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
具体的な情報ではないが、本物質の蒸気はヒトの眼に対して重度の刺激性を持つとの記載や (ACGIH (7th, 2001)) 、本物質の蒸気は皮膚に傷害を与えるとの記載がある (HSDB (Access on September 2014))。また、シアン化物は軽度の結膜浮腫、流涙、結膜充血などを引き起こすとの記載がある (CICAS 61 (2004))。以上の結果から、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。In vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (NTP DB (Access on October 2014))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、筋肉系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質は強い呼吸器刺激性を有する (ACGIH (7th, 2014)、ATSDR (2006)、PATTY (6th, 2012))。ヒトにおいて、自殺や作業者ばく露など多数の中毒事例が報告されている。これらの報告は、殆どがシアン化水素やシアン化カリウムであるが、無機シアン化合物に共通な影響が想定されており (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 61 (2004)、ACGIH (7th, 2014)、ATSDR (2006))、急性症状はばく露経路にかかわらず、頭痛、めまい、嘔吐、胃粘膜のびらん、協調運動失調、手足のしびれ、散瞳、深反射喪失、昏迷、痙攣、強直性間代痙攣、昏睡、不規則呼吸、呼吸促迫、呼吸困難、動悸、血圧低下、脈拍低下、不整脈、心肥大、出血を伴う気管内うっ血、脳浮腫、肺水腫、筋固縮、横紋筋融解、骨格筋損傷など、中枢神経系、呼吸器、心血管系、筋肉系への影響がみられている (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 61 (2004)、ATSDR (2006))。
実験動物では、ヒトと同様、本物質についての知見は少なく、無機シアン化合物の吸入、経口ばく露で、協調運動失調、呼吸困難、呼吸促迫、振戦、痙攣、昏睡、呼吸数減少、不整脈、気管支や気管からの出血性滲出液、肺水腫などが報告され(NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 61 (2004)、ACGIH (7th, 2014)、ATSDR (2006))、これらの所見はヒトでもみられている。なお、吸入ばく露での影響は区分1に相当する範囲の用量でみられた。
以上より、本物質は無機シアン化合物のデータから類推し、中枢神経系、呼吸器、心血管系、筋肉系に影響を与えると考えられ、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、筋肉系) とした。


9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、血液系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
本物質 (濃度不明) に8ヶ月間職業ばく露を受けたヒトで、皮膚、眼への刺激に加え、筋肉の脱力、肺のうっ血がみられた (ACGIH (7th, 2014)) との記述、並びに本物質の実験動物における毒性影響は肺水腫とシアンイオンによる細胞における代謝障害である (ACGIH (7th, 2014)) との記述があり、標的臓器として、少なくとも呼吸器が対象と考えられる。しかし、これら以外に本物質反復ばく露影響に関する知見はヒト、実験動物のいずれもない。
一方、無機シアン化合物のヒトでの反復ばく露による有害性知見としては、シアン化ナトリウムとシアン化銅を各々3%含むメッキ槽からシアンに長期ばく露された作業者の群では、頭痛、めまい、味覚及び嗅覚異常、嘔吐、努力呼吸、前胸部痛など中枢神経症状、呼吸器症状の発症頻度が対照群より高頻度に発現し、かつ、ヘモグロビン、シアノメトヘモグロビン及びリンパ球の増加も示された (CICAD 61 (2004))。シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、及びシアン化銅の製造工場でシアンにばく露された作業者の群では、対照群と比べてヘモグロビン及びリンパ球の増加傾向がみられた (CICAD 61 (2004))。以上より、ヒトでは無機シアン化合物の混合ばく露による主にシアン中毒による影響として、中枢神経系、呼吸器、血液系への影響が示唆される。
以上、本物質反復ばく露により、呼吸器系への影響が報告されており、また、無機シアン化合物の反復ばく露影響の標的臓器は中枢神経系、呼吸器、血液系が示唆されることから、分類は区分1 (中枢神経系、呼吸器、血液系) とした。
なお、関連物質の分類結果として、シアン化銅 (Ⅰ) (CAS No.: 544-92-3) を参照のこと。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
-
-
- - GHSの定義によるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
-
-
- - -
11 水生環境有害性(長期間) -
-
-
- - -
12 オゾン層への有害性 -
-
-
- - -


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

GHS関連情報トップページに戻る