GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 1310-66-3
名称 水酸化リチウム水和物 (再分類)
物質ID H26-B-126, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2009))
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2009))
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2009))
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 水溶解度19.1 g/100 mL (ICSC (2009)) というデータが得られており、水と激しく反応することはなく、引火性ガスは発生しないとみられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - ハロゲンを含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、アルミニウム及び亜鉛は腐食作用を受けるので、容器として適していない (ホンメル (1991)) という情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、ラットのLD50値として、210 mg/kgとの報告 (GESTIS (Access on September 2014)) があるが、List 3の情報であり、原著を確認できないため分類できないとした。情報源を変更し、区分を見直した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
P501
ラットのLC50値として、0.96 mg/Lとの報告 (GESTIS (Access on September 2014) 元文献:Rebar, A. H., et al. (1986)) に基づき、区分3とした。なお、試験は金属Liを湿度の高い状態で燃焼させて生成した水酸化リチウム水和物のエアロゾルで行ったとの記載 (Rebar, A. H., et al. (1986)) に基づき、粉塵/ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
本物質のリチウムの水素化物 (CAS: 7580-67-8) と接触すると重度の化学火傷を引き起こすとの記載がある (ACGIH (7th, 2001)) ことから区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「C: R35」、EU CLP分類で「Skin Corr. 1A H314」に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
具体的なデータは無いが、本物質のリチウムの水素化物 (CAS: 7580-67-8) は眼に対して低濃度で刺激性を持ち、高濃度で非回復性の障害を与えるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1とされている。以上の結果から区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2、追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質のデータはないが、ヒトにおける薬用量での経口摂取後のリチウムの催奇形性について検討されてきた。リチウムはヒトの胎盤を通過することは知られている。1979年に終了した調査では炭酸リチウムを治療目的で摂取していた226名の妊婦に25例の先天性奇形を生じたことが報告されている。しかし、その後、リチウム治療と関連があるとされてきたエプスタイン奇形(先天性の心血管系奇形)発生とリチウム治療との関連性は弱いと考えられ、薬理学的な量のリチウムはヒトの催奇形性物質とはできないとされた(ACGIH (7th, 2001)。また、ヒトでのリチウム治療と催奇形性について、現在のリチウム治療の用量での催奇形性のリスクは非常に低いことが報告されている(KemI-Riskline NR 2002:16)。しかし、妊娠の可能性のある女性に対してリチウムは禁忌になっている(ACGIH (7th, 2001)。
以上のように、ヒトに対する催奇形性については明らかな証拠はないが、リチウムはヒトの胎盤を通過すること、妊娠の可能性のある女性に対してリチウムは禁忌になっていることから、区分2とした。また、リチウムは血清中に近い割合で乳汁中に排泄される (IPCS, PIM 309F (2000)) と記載され、また、使用上の注意として授乳婦への投与について、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる (医療用医薬品集 (2010)) と記載されているので、「追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質ではないがリチウムの水素化物はヒトにおいて気道刺激性、腐食性がある (ACGIH (7th, 2001))。ヒトへの水酸化リチウムのばく露により、血漿中リチウムイオン濃度が数mEq に達すると中枢神経系への影響 (食欲不振、吐き気、振戦、筋肉攣縮、無気力、精神錯乱など)、並びに重篤な呼吸器の火傷がみられたとの記述 (ACGIH (7th, 2001)) がある。
実験動物では、ラットの0.055 mg/Lの吸入ばく露で、気管粘膜表皮の脱落、持続的な咳、くしゃみから肺の気腫性変化の報告があり、区分1のガイダンス値の範囲でみられた(ACGIH (7th, 2001))。
以上より、ヒトの呼吸器を刺激し、実験動物で肺の気腫性変化の記載があること、ヒトに中枢神経系の影響を与えるとの記載から、区分1 (中枢神経系、呼吸器) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、腎臓、甲状腺、消化管)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
水酸化リチウムばく露による有害性の知見は急性ばく露影響のみであり、反復ばく露影響としての報告はない。ただし、リチウム化合物として、精神科領域で医薬品として利用される代表的物質である炭酸リチウム (CAS No.: 554-13-2)、クエン酸リチウム (CAS: 919-16-4) 等では副作用報告として以下の知見がある。すなわち、リチウム塩適用患者を13-17年間追跡調査した疫学研究で、神経症状 (振戦、記憶喪失、創造性の喪失)、甲状腺影響 (機能低下、甲状腺腫)、消化器症状 (吐き気、腹痛、下痢)、多尿が報告され (IUCLID (2000))、また、平均8年間投与された患者による研究では腎臓への影響 (尿量増加、腎糸球体濾過量 (GFR) の低下、腎糸球体の硬化、尿細管の萎縮) が報告されている (IUCLID (2000)、HSDB (Access on January 2015))。さらに、北欧地域での共同調査研究では、リチウム塩投薬による短期及び長期の副作用としては、腎毒性、神経毒性、甲状腺機能低下、消化管影響が挙げられている (Nordiac Council of Ministers (2002))。この他、リチウムの慢性ばく露影響として、無気肺、気管支肺炎、肺水腫等の遅延性肺疾患、及び不整脈と伝導障害を伴う心筋炎を生じるおそれがある (HSDB (Access on January 2015)) との記述があり、呼吸器、及び心血管系もリチウム塩反復ばく露による標的臓器と考えられた。
以上、本物質反復ばく露による報告はないが、水溶性のリチウム塩として、本物質もリチウムイオンによる共通の有害作用を発現するものと考えられ、よって区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、腎臓、甲状腺、消化管) に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
-
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- - -
11 水生環境有害性(長期間) -
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- - -
12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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