GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 74-88-4
名称 沃化メチル (再分類)
物質ID H26-B-132, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2012))。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2012))
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2012))
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P361+P364
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値として、76 mg/kg (DFGOT vol. 7 (1996)、IARC 41 (1986))、150-200 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50値として、> 2,000mg/kg (雄、雌) との報告 (農薬抄録 (2012)、食品安全委員会農薬評価書 (2011)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットのLC50値 (4時間) として、232 ppm との報告 (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 7 (1996)) に基づき、区分2とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (532,895 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ウサギに本物質0.5 mLを4時間半閉塞適用した皮膚刺激性試験において、一次刺激性指数は4.88で中等度の刺激性との記載がある (農薬抄録 (2012))。また、ヒトに1mLを30分皮膚に適用した結果、19時間後に小水疱を伴う紅斑が認められた (IARC 15 (1977)) との報告がある。以上の結果から区分2とした。なお、本物質はEU DSD分類において「Xi; R38」、EU CLP 分類において「skin Irrit. 2 H315 」に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
本物質は非常に強い眼刺激性が認められたとの記載があることから区分2Aと判断した (食品安全委員会農薬評価書 (2011))。旧分類のデータに関する公開情報が得られなかったため、食品安全委員会農薬評価書 (2011) の記載をもとに分類をおこなった。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において感作性はみられなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2011)) との報告があるが、試験条件や結果の詳細について不明であるため、分類に用いるには不十分なデータとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性(農薬抄録 (2012))、ラットのDNA結合試験 (肝臓、肺、胃、前胃) で陽性である (農薬抄録 (2012))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、陽性の結果(農薬抄録 (2012)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 7 (1996)、IARC 71 (1999))、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である(農薬抄録 (2012))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - IARCでグループ3 (IARC 71 (1999)) であるため、「分類できない」とした。IARCのこの評価は、「IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, 2010」においても変更されていない (HSDB (Access on September 2014))。NTPは、本物質について発がん性評価はまだされていない (NTP Nomination Summary (2006)) としている。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた吸入経路による2世代繁殖試験で、親動物毒性 (体重増加抑制、副腎重量減少、嗅上皮変性等) がみられる用量においても、生殖能、児に対する影響は認められず (食品安全委員会農薬評価書 (2011))、ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験で、母動物毒性 (体重増加抑制と摂餌量減少) がみられる用量で胎児に催奇形性を含む胎児毒性は認められなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2011))。
ウサギを用いた吸入経路での催奇形性試験 (妊娠6-28日に吸入ばく露) で、母動物の体重増加抑制、着床後死亡胚の増加に伴う生存胎児数の減少が認められたが、繁殖能への影響、催奇形性は認められなかったとしている (食品安全委員会農薬評価書 (2011))。したがって、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)



危険
警告
H370
H335
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
本物質は気道刺激性がある (ATSDR (2004))。ヒトにおいては、作業者の吸入ばく露中毒事例で、悪心、嘔吐、下痢、乏尿、虚脱、眠気、眩暈、不安定歩行、協調運動失調、連続拮抗動作困難、構音障害、視覚障害(複視など)、せん妄、重篤かつ長期の中枢神経系障害、振戦、昏睡などが報告されている (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 7 (1996)、PATTY (6th, 2012))。
実験動物では、ラット、マウスで麻酔作用 (DFGOT vol. 7 (1996))、ラットの吸入25-400 ppm (0.15-2.32 mg/L) ばく露 (主として高用量の症状) で、自発運動の減少、頭部下垂座位、眼瞼下垂、口・顎の反復運動増加、円背位、歩行障害、驚愕反応に対する無反応などがみられた。マウスの100-250 mg/kgの経口投与で、立毛、虚脱、体温低下、活動低下、異常呼吸、円背位、不安定歩行、散瞳、眼瞼閉鎖がみられた (農薬抄録(2012)、食品安全委員会農薬評価書 (2011))。これらの実験動物の所見は、区分1に相当する範囲の用量でみられた。また、ラット、マウスで麻酔作用があるとの記載がある (DFGOT vol. 7 (1996))。
以上より、本物質は気道刺激性、麻酔作用のほか、中枢神経系に対する影響が考えられ、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分2 (呼吸器、甲状腺)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
本物質製造工場でばく露された作業者には初期にめまい、視覚障害、脱力などの神経症状が発現し、精神障害及び知的障害を生じた (IARC 41 (1986) ) との記述、並びに本物質の蒸気に反復吸入ばく露された作業者又は化学者において、中枢及び末梢神経障害として嗜眠、めまい、悪心、不安定歩行、連続拮抗動作困難、構音障害、視覚障害がみられ、神経症状が進行した症例では錯乱、 譫妄、半昏睡状態がみられた (DFGOT vol. 7 (1996)) との記述がある。
実験動物ではラットに本物質蒸気を90日間及び1年間吸入ばく露した試験において、各々70 ppm (0.41 mg/L/6時間: 区分2相当) 及び 60 ppm (0.36 mg/L/6時間: 区分2相当) の濃度で鼻腔における嗅上皮の変性がみられ、1年間ばく露では加えて 60 ppm (0.35 mg/L/6時間: 区分2相当) で甲状腺への影響 (重量増加、濾胞上皮細胞の細胞質空胞化及び過形成) が認められた (農薬抄録 (2012))。経口経路においても、マウスに90日間又は18ヶ月間混餌投与した試験、並びにイヌに12ヶ月間強制経口 (カプセル) 投与した試験で、区分1又は区分2に該当する用量範囲 (8.0-26.8 mg/kg/day相当) で甲状腺への影響 (吸入ばく露のラットと同様の変化) がみられている (農薬抄録 (2012))。
以上、ヒトでの神経障害と実験動物での影響を考慮して、分類は区分1 (中枢神経系)、区分2 (呼吸器、甲状腺) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
-
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- - -
11 水生環境有害性(長期間) -
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- - -
12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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