GHS分類結果

View this page in English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-39-4
名称 m-クレゾール (再分類)
物質ID H26-B-137, R-083
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4
-
警告
H227 P370+P378
P403+P235
P210
P280
P501
引火点86℃ (closed cup) (HSDB (Access on December 2014)) に基づいて区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が558℃ (HSDB (Access on December 2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P361+P364
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットLD50値として、242 mg/kg (複数データとして;PATTY (6th, 2012)、ATSDR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2005)、DFGOT vol.14 (2000)、EHC 168 (1995)、EPA Pesticide (1992))、825 mg/kg (環境省リスク評価第5巻 (2006))、2,241 mg/kg (雄) 及び2,007 mg/kg (雌) (溶媒としてオリブ油を使用) (厚労省既存化学物質毒性データベース単回経口投与毒性試験) との報告がある。242 mg/kgの報告が複数であるので、最も多くのデータが該当する区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P280
P312
P321
P361
P364
P405
P501
ラットのLD50値として、以下の3件の報告がある (1,000 mg/kg (環境省リスク評価第5巻 (2006))、1,100 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995)、EPA Pesticide (1992))、1,100 mg/kg (DFGOT vol. 14 (2000)) )。ウサギのLD50値として以下の3件の報告がある (620 mg/kg (環境省リスク評価第5巻 (2006))、2,050 mg/kg (SIDS (2005)、EPA Pesticide (1992))、2,830 mg/kg (ATSDR (2008)、SIDS (2005)、EHC 168 (1995)) )。2件ずつのデータがそれぞれ区分3、区分4及び区分外に該当するので、LD50値の小さい方が該当する区分3とした。情報源 (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)、DFGOT vol. 14 (2000)、EPA Pesticide (1992)) を追加し、区分を変更した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、ラットの1時間LC50値として、> 0.71 mg/L (4時間換算値:80.23 ppm) との報告 (SIDS (2005)、環境省リスク評価第2巻 (2003)) があるが、この値のみでは区分を特定できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギに本物質の原液0.5 mLを適用した結果、重度の紅斑と浮腫が24時間以内に発症し、72時間以内に回復しなかったとの報告がある (SIDS (2005))。また、ウサギを用いた別の試験では、本物質の4時間適用により非可逆性の組織破壊がみられたとの報告や (EHC 168 (1995)) 、強度の刺激性及び腐食性がみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007))。以上の結果から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R34」、EU CLP分類で「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギの眼に本物質の原液0.1 mLを適用した結果、結膜、角膜、虹彩に対して強度の刺激性がみられ、72時間以内に回復しなかったとの報告がある (SIDS (2005)) 。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1とされている。以上の結果から区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2005)、DFGOT vol. 14 (2000)、EHC 168 (1995)、ATSDR (2008))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性、陽性の結果がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on December 2014)、SIDS (2005)、DFGOT vol.14 (2000)、EHC 168 (1995)、PATTY (6th, 2012)、ATSDR (2008))。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
EPAでC (EPA IRIS (1992)) に分類されていることから、「区分2」とした。

7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた経口経路での2世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (死亡(F0親動物:雄:7/25、雌:7/25、F1親動物:雄:3/25、雌:7/25)、体重増加抑制、自発運動低下、運動失調、れん縮、振戦、虚脱、呼吸困難) がみられる用量 (450 mg/kg/day) で児動物の生存率の低下がみられている報告がある (SIDS (2005)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995)、DFGOT vol.14 (2000)、ATSDR (1992))。既存分類では、このデータを用いて区分2としていた。しかし、親動物毒性が強いことから分類根拠から除外した。この試験では、親動物毒性がみられる用量においても生殖能、生殖器官に影響はみられていない。また、親動物毒性がみられていない用量においては児動物に対する影響もみられていない。
催奇形性に関する情報として、経口経路でのラットおよびウサギを用いた催奇形性試験において母動物毒性がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (SIDS (2005)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995)、DFGOT vol.14 (2000)、ATSDR (1992))。
以上のように親の生殖能および児の発生に影響がみられていないが、親動物毒性がみられる用量では影響がみられていることから、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第5巻 (2006))。ヒトにおいては、吸入すると咳、頭痛、息苦しさ、吐き気、嘔吐、咽頭痛、意識喪失、経口摂取では腹痛、頭痛、灼熱感、眩暈、感覚鈍麻、ショック/虚脱、意識喪失、中枢神経系への影響との記述がある (環境省リスク評価第5巻 (2006))。
実験動物では、ラットの吸入ばく露 (エアロゾル) 58 mg/m3 (0.058 mg/L) で神経筋興奮、痙攣、血尿、ラットの経口投与242 mg/kg以上で活動低下、振戦、痙攣、衰弱、死亡個体で消化管の炎症、肺、肝臓、腎臓の充血、また、動物種や用量等不明であるが、流涎、協調運動失調、筋収縮、筋力低下、呼吸困難、嗜眠、昏睡、尿細管損傷、結節性肺炎、肝臓のうっ血、肝細胞壊死の報告がある (生存動物かどうかは不記載) (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)、PATTY (6th, 2012)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on December 2014))。
実験動物における吸入、経口の所見はいずれも区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。
以上より、本物質の所見としては気道刺激性、中枢神経系への影響が考えられるが、o-、p-の各異性体、クレゾール (混合物) における共通した影響として中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓への影響が認められていることから、異性体である本物質においてもこれらの物質と横並びの分類とすることが合理的と考えられた。したがって、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) とした。

なお、他のクレゾール異性体 (o-、p-)、クレゾール (混合物) の分類結果を参照のこと。


9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、心血管系、腎臓)、区分2 (呼吸器、血液系、肝臓)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
ヒトで本物質単独ばく露による有害影響の知見はないが、クレゾール混合物の蒸気 (濃度不明) に1.5-3ヶ月間、吸入ばく露された作業者7名に吐き気と嘔吐を伴う頭痛、うち4名には加えて血圧上昇、腎機能障害、血中カルシウム濃度異常、及び顕著な振戦が認められた (ACGIH (7th, 2001)、 DFGOT vol. 14 (2000)、PATTY (6th, 2012)) との記述があり、この知見をヒト有害性影響に関する唯一の知見として、関連物質 (o-異性体 (CAS No.: 95-48-7)、p-異性体 (CAS No.: 106-44-5)、クレゾール (CAS No.: 1319-77-3)) の分類に利用した (ID: 32-34 の分類結果参照のこと)。
実験動物では、本物質をラットに13週間強制経口投与した試験において、区分2相当の50 mg/kg/dayで自発運動の減少、流涎、呼吸数の増加、努力呼吸がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。また、マウス又はラットに本物質を28日間混餌投与した試験において、マウスでは区分2相当量 (66-193 mg/kg/day: (90日換算: 20.5-60.0 mg/kg/day相当)) で、ラットでは区分外の高用量 (862-870 mg/kg/day (90日換算: 268-271 mg/kg/day相当)) で肝臓相対重量の増加がみられ、さらに高用量で両種とも腎臓相対重量の増加がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。
本物質については、ヒトの混合物ばく露、並びに実験動物での本物質単独ばく露による有害性知見に加えて、関連物質であるo-異性体 (CAS No.: 95-48-7)、p-異性体 (CAS No.: 106-44-5)、クレゾール (CAS No.: 1319-77-3) の分類結果との整合性も考慮した結果、分類は区分1 (中枢神経系、心血管系、腎臓)、区分2 (呼吸器、血液系、肝臓) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
魚類(グッピー)の96時間LC50 = 2.31 mg/L (SIDS, 2003)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急性毒性区分2であるが、急速分解性があり(OECD 301Dによる28日後の分解度:65-90%、OECD 301Cによる40日後の分解度:80-95%(いずれもSIDS、2003))、生物蓄積性が低い(魚類(Leuciscus idus melanotus)のBCF=20(SIDS, 2003))ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

GHS関連情報トップページに戻る