GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7758-97-6
名称 クロム (VI) 酸鉛 (再分類)
物質ID H26-B-139, R-085
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性である (ICSC (2012))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性である (ICSC (2012))。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性である (ICSC (2012))。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 水溶解度0.06 mg/L (25℃) (GESTIS (Access on December 2014)) というデータが得られており、水と激しく反応することはないとみられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - ハロゲン元素を含まず、酸素を含む無機化合物である。クロム酸化合物であるので酸化性があると考えられるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - マウスのLD50値として、> 12 g/kgとの報告 (HSDB (Access on December 2014)) に基づき、区分外とした。新たな情報源 (HSDB (Access on December 2014)) を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、具体的な試験報告等はないが、6価のクロム化合物について、腐食性を持つとの記載が多くある (EU-RAR (2005)、DFG vol. 3 (1992)、日本産業衛生学会 許容濃度の提案理由書 (1989))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、具体的な試験報告等はないが、また6価のクロム化合物について、腐食性を持つとの記載が多くある (EU-RAR (2005)、DFG vol. 3 (1992)、日本産業衛生学会 許容濃度の提案理由書 (1989))。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
日本産業衛生学会はクロム化合物として気道感作性物質「第2群」に分類している。この既存分類は本物質を明示していないものの、許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。また、クロム化合物は喘息を引き起こすとの記載がある (ATSDR (2012)、EU-RAR (2005))。以上から区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
本物質を含むクロム化合物は、日本産業衛生学会で皮膚感作性物質「第1群」に分類されている (日本産業衛生学会許容濃度の勧告 (2014))。この既存分類は本物質を明示していないものの、許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。また、本物質に限定された情報ではないが、6価のクロム化合物について皮膚感作性をもつとの記載がある (EU-RAR (2005)、ATSDR (2012)、PATTY (6th,2012))。また、6価のクロム化合物を用いたヒトに対するパッチテストにおいて、感作性がみられたとの報告がある (ATSDR (2012))。以上から区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
In vivoでは、マウスの小核試験で陽性である (IARC 49 (1990))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ヒト培養リンパ球及び/又は哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (NICNAS (2007)、CICAD 78 (2013)、IARC 49 (1990))。以上の知見及び本物質は水に難溶性のCr (VI) のため、区分2とした。
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
IARCでグループ1 (クロム (VI) として) (IARC (1990))、ACGIHでA1 (クロムVI化合物として) (ACGIH (7th, 2001))、NTPでK (6価クロム化合物として) (NTP RoC (2014))、日本産業衛生学会で1 (クロム化合物 (6価) として) (日本産業衛生学会 (1989)) であることから、区分1Aとした。なお、EUでは2 (EU (Access on Dec. 2014)) となっている。
7 生殖毒性 区分1A


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質のデータはない。しかし、産業衛生学会では許容濃度の勧告 (2014) において、鉛および鉛化合物は生殖毒性第1群 (区分1A相当) に分類されており、また、クロムおよびクロム化合物を生殖毒性第3群 (暫定) (区分2相当) に分類されている。また、EU CLP分類では「Repr. 1A H360Df 」、EU DSD分類では「Repr. Cat. 1; R61、Repr. Cat. 3; R62」に分類されている。
したがって、区分1Aとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質に関するヒト並びに実験動物の知見はない。
なお、ヒトに対しては、不溶性6価クロム化合物は気道刺激性 (ACGIH (7th, 2001))、6価クロム化合物 (具体的記載なし) は高濃度の経口摂取で呼吸器、心血管系、消化器、血液、肝臓、腎臓および神経系に重篤な影響を及ぼす (CICAD 78 (2013)) との記述がある。また、鉛及び無機鉛化合物は、神経系、胃腸管、心血管系を含み全身的に多様な影響があることが知られている (NICNAS (2007))。クロム酸鉛の毒性は、鉛及びクロム部分の両方の毒性が生じ得る。鉛及び鉛ベースのペイントを含むものを経口摂取したヒトのデータは少ないが、高濃度の急性ばく露は、脳症、胃腸管障害、腎臓への影響をもたらす (NICNAS (2007)) との記述がある。

本物質のデータはないものの、本物質は6価クロム化合物であり、6価クロム化合物の毒性知見を本物質の分類に使用することが可能と考えられる。消化管の所見については、局所刺激の影響として採用しなかった。
以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) とした。

旧分類の「ヒトにおける拒食、嘔吐、不快感、痙攣、非可逆的な脳の損傷」 (HSDB (2002)) 」の情報は確認できなかった。

9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
クロム色素製造工場で本物質に職業的にばく露 (複数の工場ではクロム酸亜鉛と共ばく露) された作業者を対象とした疫学研究が英国、米国、ドイツ及びオランダで実施された (報告数としては3件) 結果、一部の報告で肺がんの発生率が増加したとの記述はあるが、3報告のいずれについても非腫瘍性の慢性ばく露影響については記述がない (ACGIH (7th, 2001))。これ以外に、本物質への反復ばく露影響が明らかな報告はヒト、実験動物ともにない。
しかしながら、上記のとおり本物質の職業ばく露により肺がんの発生を示唆する知見があり、少なくとも肺は標的臓器と考えられること、並びに本物質を含む一連の6価クロム化合物の有害性評価において、職業的に6価クロムにばく露されたヒトでは、呼吸器と眼に刺激性を生じ、その結果、鼻中隔に潰瘍・穿孔を生じるおそれがある (CICAD 78 (2013)) との記述があり、本物質も他の6価クロム化合物と同様に区分1 (呼吸器) に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
-
- - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-
-
- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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