項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 7778-50-9 |
名称 | 二クロム酸カリウム (別名:重クロム酸カリウム) (再分類) |
物質ID | H26-B-140, R-086 |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (ICSC (2013)。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (ICSC (2013))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (ICSC (2013))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 水溶解度12 g/100 mL (20℃) (ICSC (2013)) というデータが得られており、水と激しく反応することはないとみられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | ハロゲン元素を含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。なお、他の物質の燃焼を助長するとの記載がある (ICSC (2013))。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分2 |
危険 |
H300 | P301+P310 P361+P364 P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
ラットのLD50値として、17 mg/kg (雌)、26 mg/kg (雄) (ATSDR (2012))、48 mg/kg (雌)、74 mg/kg (雄) (EU-RAR (2005))、149 mg/kg (雌)、177 mg/kg (雄) (EHC 61 (1988)) の6データの報告がある。区分2と区分3とに、それぞれ3件づつ該当するので、LD50値の最小値が該当する区分2とした。新たな情報源 (ATSDR (2012)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 |
危険 |
H311 | P302+P352 P280 P312 P321 P361 P364 P405 P501 |
ウサギのLD50値として、403 mg/kg (雄) (ATSDR (2012))、1,150mg/kg (EU-RAR (2005)) の2データの報告がある。それぞれ区分3と区分4とに該当するので、LD50値の小さい方が該当する区分3とした。新たな情報源 (ATSDR (2012)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分1 |
危険 |
H330 | P304+P340 P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
ラットのLC50値 (4時間) として、0.029 mg/L (雌)、0.035 mg/L (雄) (ATSDR (2012))、0.099mg/L (EU-RAR (2005)) の3データの報告がある。2件が区分1、1件が区分2に該当するので、最も多くのデータが該当する区分1とした。蒸気圧データがなく、飽和蒸気圧濃度が不明であるが、エアロゾルとの記載および固体であることに基づき、粉じんの基準値を用いた。新たな情報源 (ATSDR (2012)) を追加し、区分を見直した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 |
危険 |
H314 | P301+P330+P331 P303+P361+P353 P305+P351+P338 P304+P340 P260 P264 P280 P310 P321 P363 P405 P501 |
ウサギに本物質を4時間適用した結果、グレード3以下の紅斑と浮腫がみられたが、反応は6日後にもみられたとの報告や (EU-RAR (2005))、モルモットを用いた皮膚刺激性試験結果、刺激反応 (sores) がみられたとの報告がある (EU-RAR (2005))。また本物質の0.5%溶液をヒトに適用した結果、軽度の刺激性がみられたとの報告がある (EU-RAR (2005))。 職業ばく露の報告で本物質を含む6価クロム化合物のばく露により潰瘍や瘢痕がみられたとの報告がある (ATSDR (2012))。また、具体的な試験報告ではないが、本物質を含む6価のクロム化合物について、腐食性を持つとの記載が多くある (EU-RAR (2005)、DFGOT vol. 3 (1992)、産業衛生学会 許容濃度の提案理由書 (1989))。以上の結果から区分1と判断した。本物質はEU DSD分類で「C; R34」、EUCLP分類で「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 | P305+P351+P338 P280 P310 |
本物質の結晶又は水滴が眼に混入したヒトの事故例で水疱形成がみられたとの報告があるが回復性については不明である (ATSDR (2012))。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1とされている。以上の結果から区分1と判断した。 |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 |
危険 |
H334 | P304+P340 P342+P311 P261 P284 P501 |
日本産業衛生学会はクロム化合物として気道感作性物質「第2群」に分類している。この既存分類は本物質を明示していないものの、許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。また、クロム化合物は喘息を引き起こすとの記載がある (ATSDR (2012)、EU-RAR (2005))。以上から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R42」、EU CLP分類で「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
ヒトのパッチテストにおいて本物質の適用により陽性反応の報告がある (ATSDR (2012))。また、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、陽性反応がみられたとの報告がある (EU-RAR (2005))。本物質を含むクロム化合物は、日本産業衛生学会で皮膚感作性物質「第1群」に分類されている (日本産業衛生学会許容濃度の勧告 (2014))。この既存分類は本物質を明示していないものの、許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。以上から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R43」、EU CLP分類で「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分1B |
危険 |
H340 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
In vivoでは、マウスの優性致死試験で陽性、陰性、マウス精母細胞の染色体異常試験で陽性、マウススポット試験、マウス、ハムスターの小核試験、マウス骨髄細胞の染色体異常試験、マウス肝細胞及び骨髄細胞の遺伝子突然変異試験、マウス白血球、肝臓、腎臓、脾臓、肺、脳の各細胞を用いたDNA損傷試験でいずれも陽性である (ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013)、IARC 49 (1990))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、ヒトリンパ球のDNA損傷試験でいずれも陽性である (ATSDR (2012)、EHC 61 (1988)、IARC 49 (1990)、NTP DB (Access on December 2014))。以上の知見及び本物質は水溶性Cr (VI)のため、区分1Bとした。 |
6 | 発がん性 | 区分1A |
危険 |
H350 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
IARCでグループ1 (クロム (VI) として) (IARC (1990))、ACGIHでA1 (クロムVI化合物として) (ACGIH (2001))、NTPでK (6価クロム化合物として) (NTP RoC (2014))、日本産業衛生学会で1 (クロム化合物 (6価) として) (日本産業衛生学会 (1989)) であることから、区分1Aとした。なお、EUでは2 (EU (Access on Dec. 2014)) となっている。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
妊娠マウスを用いた経口経路 (飲水) での催奇形性試験において、母動物毒性がみられない用量で生殖・発生に影響 (着床前および着床後胚損失の増加、同腹児数の減少、皮下出血、骨化遅延、尾曲がり、頭臀長減少、胎児体重減少等) がみられた (CICAD 78 (2013)、ATSDR (2012)、EU-RAR No. 53 (2005))。 また、マウスあるいはラットを用い経口投与後に交配した生殖・発生毒性試験において、母動物にわずかな影響 (体重増加抑制) がみられる用量で生殖・発生に影響 (黄体数減少、着床前および着床後胚損失の増加、同腹児数の減少、皮下出血、骨化遅延、尾曲がり、頭でん長減少、胎児体重減少等) がみられた (許容濃度の暫定値 (2014) の提案理由、CICAD 78 (2013)、ATSDR (2012)、EU-RAR (2005))。したがって、区分1Bとした。 このほか、産業衛生学会では許容濃度の勧告 (2014) において、クロムおよびクロム化合物を生殖毒性第3群 (暫定) (区分2相当) に分類している。しかし、許容濃度の勧告の分類は暫定期間中であるので採用しなかった。 また、EU CLP分類では「Repr. 1B H360FD 」、EU DSD分類では「Repr. Cat. 2; R60-61」に分類されている。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
本物質は気道刺激性がある (EU-RAR (2005)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013))。 ヒトにおいては、吸入ばく露では、他の6価クロム化合物で気道の炎症、鼻、胸の痛み、咳、呼吸困難、チアノーゼが報告されている (EU-RAR (2005))。 経口経路では、本物質の摂取事故や自殺例など多数の事例報告がある。すなわち、本物質の腐食性による口、喉、胃、十二指腸など消化管の灼熱感、腹痛、悪心、嘔吐、下痢、消化管の潰瘍・出血、中枢神経症状として痙攣、昏迷、瞳孔散大、剖検で脳の肥大、脳浮腫、呼吸器への影響として肺のうっ血、呼吸不全、心血管系への影響として血圧低下、心拍数低下、血液系への影響として血液凝固阻害、白血球増加、血管内溶血、肝臓への影響として肝臓肥大、肝細胞壊死、急性肝炎、腎臓への影響として蛋白尿、乏尿、血尿、無尿、水分過剰を呈する急性腎不全の症状、腎臓の肥大、浮腫、腎尿細管壊死が報告されている (EU-RAR (2005)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013)、DFGOT vol. 3 (1992)、EHC 61 (1988))。また、経皮経路においても、肝臓及び腎臓の障害が報告されている (EU-RAR (2005))。 実験動物では、本物質のラットへの0.029-0.045 mg/L吸入ばく露で呼吸困難、0.099 mg/Lで気道炎症、肺水腫、気管上皮壊死、ラットへの48 mg/kg経口投与で胃腸管粘膜の腐食、肺うっ血、他の6価クロム化合物ではラットで活動低下、流涙、散瞳、下痢の報告がある (EU-RAR (2005)、ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013))。実験動物の症状は区分1の範囲の用量でみられた。 消化管の所見については、局所刺激の影響として採用しなかった。 以上より、本物質は中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓に影響を与えることから、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
本物質を含め、クロム酸又は二クロム酸のナトリウム塩又はカリウム塩のダスト、或いは水溶液を介して6価の水溶性クロムに反復吸入ばく露されたヒトで生じる主な毒性影響は呼吸器への影響で、鼻中隔の潰瘍及び穿孔、気道の炎症、肺気腫、肺の線維化、慢性閉塞性気管支肺症などである (EU-RAR (2005)、CICAD 78 (2013)) との記述がある。 一方、実験動物では本物質をラット、又はマウスに9週間混餌投与した試験では、飼料中最高濃度の400 ppm まで明確な毒性影響はみらなかった (EU-RAR (2005)) と報告されたが、区分2のガイダンス価範囲内の用量 (ガイダンス値換算: 16.6-19.4 mg/kg/day相当 (ラット)、63.7-94.8 mg/kg/day相当 (マウス)) までの結果で、区分2上限値での毒性影響の有無は不明である。この他、本物質による反復ばく露試験報告はないが、二クロム酸ナトリウム・二水和物をラット、又はマウスに90日間飲水投与した試験において、ラットでは区分1相当量 (1.7 mg Cr/kg/日: 8.57 mg当該物質/kg/日相当) で小球性低色素性貧血、マウスでは区分2相当量 (3.1-5.2 mg Cr/kg/日: 15.6-26.2 mg当該物質/kg/day相当) で、ヘモグロビン濃度及びMCV値の減少など血液系への影響が、別のラット90日間飲水投与試験で、区分2に該当する40-60 mg/kg/日投与群で、精巣毒性 (重量減少、生殖細胞の減少又は変性、精細管の変性様変化) がみられた (CICAD 78 (2013)) との報告があるが、ヒトでの6価クロムによる反復ばく露影響として、血液系、精巣への影響の有無は確定しておらず (ATSDR (2012)、CICAD (2013))、これらを標的臓器とするには証拠が不十分と判断した。 以上、ヒトの知見を基に区分1 (呼吸器) とした。なお、旧分類はEHCを情報源として、肝臓を標的臓器としたが、根拠データをATSDR (2012) と照合した結果、本物質を誤嚥又は自殺目的で大量摂取した中毒事故による急性肝障害の事例と考えられた。また、最新の評価書 (ATSDR (2012)、CICAD (2013)) からは、ヒトでの6価クロム反復ばく露による標的臓器は呼吸器、皮膚 (腐食性・感作性) 以外は未だ確定的なものはないことが窺われた。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
甲殻類(ミジンコの一種)の48時間EC50 = 0.061 mg/L (EU-RAR, 2005)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
無機化合物につき環境中動態が不明であり、藻類(Chlorella pyrenoidosa)の96時間NOEC(バイオマス)=0.1 mg/L (EU-RAR, 2005)であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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