GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7789-09-5
名称 重クロム酸アンモニウム (別名:二クロム酸アンモニウム) (再分類)
物質ID H26-B-143, R-089
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 国連分類UN1439 クラス5.1 PGIIに分類されているので上位のクラス4.1には該当しない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 国連分類UN1439 クラス5.1 PGIIであり、酸化性固体に分類されている。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 発火点が190℃ (HSDB (Access on December 2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 国連分類UN1439 クラス5.1 PGIIであり、クラス4.2 PGIIよりも下位だが、クラス4.2 PGIIIよりも上位で、クラス4.2 PGIIIを否定できず、データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 水溶解度36 g/100 mL (20℃) (ICSC (2013)) というデータが得られており、水と激しく反応することはないとみられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分2


危険
H272 P370+P378
P210
P220
P221
P280
P501
国連分類UN1439 クラス5.1 PGIIであることから区分2とした。なお、容器等級はⅢ、一般的には容器等級Ⅱとされているとの記載がある (危険物輸送に関する勧告 試験方法及び判定基準のマニュアル(2009))。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P361+P364
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値として、22 mg/kg (雄)、19 mg/kg (雌) (ATSDR (2012))、55 mg/kg (雄)、48 mg/kg (雌) (EU-RAR (2005)) との4件の報告がある。最も多くのデータ (3件) が該当する区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P280
P312
P321
P361
P364
P405
P501
ウサギのLD50値として、763 mg/kg (ATSDR (2012))、1,860 mg/kg (EU-RAR (2005)) の2件の報告がある。1件が区分3、もう1件が区分4に該当するので、LD50値の小さい方に基づき、区分3とした。新たな情報源 (ATSDR (2012)) を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットのLC50値 (4時間) として、0.082 mg/L (雄)、0.045 mg/L (雌) (ATSDR (2012))、0.2 mg/L (EU-RAR (2005)) の3件の報告がある。最も多くのデータが該当する区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギに本物質を4時間適用した結果、グレード3以下の紅斑と浮腫がみられたが、反応は6日後にもみられたとの報告がある (EU-RAR (2005))。
職業ばく露の報告で本物質を含む6価クロム化合物のばく露により潰瘍や瘢痕がみられたとの報告や (ATSDR (2012))、本物質は皮膚に対して刺激性を持つとの記載がある (HSDB (Access on December 2014))。また、具体的な試験報告ではないが、本物質を含む6価のクロム化合物について、腐食性を持つとの記載が多くある (EU-RAR (2005)、DFGOT vol. 3 (1992)、産業衛生学会 許容濃度の提案理由書 (1989))。以上の結果から区分1と判断した。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R34」、EUCLP分類で「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
皮膚腐食性/刺激性の分類が区分1のため、ガイダンスに基づき区分1とした。なお、本物質は眼に対して刺激性を持つとの記載がある (HSDB (Access on December 2014))。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
日本産業衛生学会はクロム化合物として気道感作性物質「第2群」に分類している。この既存分類は本物質を明示していないものの、日本産業衛生学会 許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。また、クロム化合物は喘息を引き起こすとの記載がある (ATSDR (2012)、EU-RAR (2005))。以上から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R42」、EU CLP分類で「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
本物質を含むクロム化合物は、日本産業衛生学会で皮膚感作性物質「第1群」に分類されている (日本産業衛生学会許容濃度の勧告 (2014))。この既存分類は本物質を明示していないものの、許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。また、本物質に限定された情報ではないが、6価のクロム化合物について皮膚感作性をもつとの記載がある (EU-RAR (2005)、ATSDR (2012)、PATTY (6th, 2012))。6価のクロム化合物を用いたヒトに対するパッチテストにおいて、感作性がみられたとの報告がある (ATSDR (2012))。以上から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R43」、EU CLP分類で「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質のデータは、in vitro変異原性試験 (Ames試験) における陽性結果 (EHC 61 (1988)) のみであるが、水溶性Cr (VI) はin vivo生殖細胞変異原性を有する (EU-RAR (2005)) との評価がされている。したがって、水溶性Cr (VI) である本物質にEU-RAR (2005) の評価を適用し、区分1Bとした。旧分類では区分2としていたが、上述のような理由により区分を変更した。
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
IARCでグループ1 (クロム (VI) として) (IARC (1990))、ACGIHでA1 (クロムVI化合物として) (ACGIH (7th, 2001))、NTPでK (6価クロム化合物として) (NTP RoC (2014))、日本産業衛生学会で1 (クロム化合物 (6価) として) (日本産業衛生学会 (1989)) であることから、区分1Aとした。なお、EUでは2 (EU (Access on Dec. 2014)) となっている。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質についてのデータはない。
しかし、クロム (VI) の生殖毒性については、本物質と同様に水溶性であるニクロム酸カリウム (CAS:7778-50-9)、クロム酸カリウム (CAS:7789-00-6) では区分1Bに分類される。したがって、本物質についても区分1Bとした。
なお、産業衛生学会では許容濃度の勧告 (2014) において、クロムおよびクロム化合物を生殖毒性第3群 (暫定) (区分2相当) に分類している。しかし、許容濃度の勧告の分類は暫定期間中であるので採用しなかった。
なお、クロム (VI) の生殖毒性については、ニクロム酸カリウム、CAS:7778-50-9も参照のこと。
このほか、EU CLP分類では「Repr. 1B H360FD 」、EU DSD分類では「Repr. Cat. 2; R60-61」に分類されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質のデータは少ない。ヒトの経口経路で、本物質摂取 (量は不明) により、悪心、重度の脱水、不規則呼吸、努力呼吸、口・咽頭の腐食性火傷、嘔吐、吐物中の血液、出血性下痢、小腸の出血がみられている (ATSDR (2012))。
実験動物では、ラットの本物質55 mg/kgの経口投与で、胃腸管粘膜の腐食、肺うっ血、ウサギの336-763 mg/kg 経皮適用で自発運動抑制、下痢、皮膚壊死、痂皮形成、皮膚浮腫・紅斑、ラットの0.029-0.045 mg/L吸入ばく露で気道刺激性、呼吸器障害がみられている (ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013))。実験動物でみられた知見はいずれも区分1の範囲の用量であった。
6価クロム化合物によるヒト吸入ばく露で、気道刺激性、気道の炎症、鼻、胸の痛み、咳、呼吸困難、チアノーゼ、腎臓障害、ヒト経口ばく露で、嘔吐、下痢、胃腸管出血、肝臓壊死、腎臓の腎尿細管壊死、ヒトの高用量の偶発的又は意図的な摂取事例で、呼吸器、心血管、消化器、血液、肝臓、腎臓、神経学的に重度の影響が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、CICAD 78 (2013)、EHC 61 (1988)、EU-RAR (2005)、ATSDR (2012))。
本物質は6価クロム化合物であり、6価クロム化合物の毒性知見を本物質の分類に使用可能と考えられる。消化管の所見については、局所刺激の影響として採用しなかった。
以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) とした。
旧分類を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
本物質への反復ばく露影響が明らかな報告はヒト、実験動物ともにない。しかし、本物質を含む一連の6価クロム化合物の有害性評価において、職業的に6価クロムにばく露されたヒトでは、呼吸器と眼に刺激性を生じ、その結果、鼻中隔に潰瘍・穿孔を生じるおそれがある (CICAD 78 (2013)) との記述があり、本物質も他の6価クロム化合物と同様に区分1 (呼吸器) に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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