GHS分類結果

名称:(RS) -2-[2- (3-クロロフェニル) -2,3-エポキシプロピル]-2-エチルインダン-1,3-ジオン (別名:インダノファン)
CAS番号:133220-30-1

結果:
物質ID: H27-A-02-METI/M-002A_P
分類実施者: 経済産業省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 自己反応性に関連する原子団 (エポキシド類) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素及び塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値として、460 mg/kg (雌)、631 mg/kg (雄) (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010)) との報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg との報告 (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値 (4時間) として、> 1.57 mg/Lとの報告 (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010)) との報告があるが、この値のみでは区分を特定できない。被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた刺激性試験において、本物質500 mgを適用した結果いずれの観察時間にも皮膚刺激性変化はみられなかったとの報告がある (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。以上から区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質40 mgを適用した結果、角膜混濁、結膜の発赤、結膜の浮腫及び分泌物がみられたが。72時間後に消失したことから、軽度の眼刺激性と報告されている (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。以上より、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、本物質による感作性 (最高陽性率75%) が報告されている (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。一方で、ビューラー試験で陰性の報告がある (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。上記のマキシマイゼーション試験は、OECD TG406相当のGLP適合試験であり、高い陽性率が報告されていることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vivoでは、経口投与によるマウスの小核試験で陰性 (農薬抄録 (2010))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (日本農薬学会誌 第26巻 第3号 (2001)、農薬抄録 (2010))。したがって、ガイダンスに従い分類できないとした。
6 発がん性 分類できない - - - - 本物質をラットに2年間、又はマウスに1.5年間、混餌投与した発がん性試験において、ラットでは雌に体重増加抑制及び摂餌量の低値、雌雄に非腫瘍性病変がみられる200 ppmの用量まで、マウスには途中死亡例の増加が生じる雄200 ppm、雌600 ppmまで投与されたが、被験物質投与に関連した腫瘍発生頻度の増加はみられなかった (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。したがって、経口経路では区分外相当であるが、他経路での発がん性情報はなく、国際機関による発がん性分類結果もない。よって、本項は分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに本物質を混餌投与した2世代繁殖毒性試験において、親動物ではF1の100 ppm で雌雄各1例が出血による影響と考えられる眼の異常、無黄体の雌の出現頻度増加 (5/27例)、及び卵巣重量の僅かな低値がみられたが、卵巣の所見は偶発変化と判断されている (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。児動物では、F1、F2世代とも、100 ppmでは哺育期の早期に出血による内出血が症状及び剖検により確認され、出血による眼異常も認められた。また、F2世代の同群では全児死亡の腹数の増加、生存腹においても生存率の低下、低体重、反射反応性達成の遅延がみられたが、F2児動物の反射反応性の低下は軽度の発育遅延の影響と考えられている (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。なお、繁殖試験における100 ppm群のF1、F2児動物に出血症状、眼異常が認められたことに関する追加試験において、妊娠ラットに100 ppmを妊娠期間を通して混餌投与し、自然分娩させF1児動物で血液凝固系を測定した結果、生後1週及び2週目に血液凝固時間 (PT/APTT) の延長がみられている (農薬抄録 (2010))。一方、妊娠ラット、又は妊娠ウサギの器官形成期 (ラット: 妊娠6〜15日、ウサギ: 妊娠7〜19日) に本物質を強制経口投与した催奇形性試験において、母動物の一部に膣出血が生じた20 mg/kg/dayまで投与した結果、胎児にはラットに中手骨数の増加、ウサギに腰肋の頻度増加がみられたが、 毒性学的意義がない、又は骨格変異によるもので骨格奇形に該当する所見はなく、本物質は催奇形性を有さないと報告されている (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010))。 以上、親動物に一般毒性影響として出血による眼異常がみられる用量で、F1、F2児動物に哺育期間内に出血による所見、及びF2児動物で生存率の低下が認められたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性) 危険
警告
H370: 臓器の障害(中枢神経系)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトのデータはない。実験動物では、刺激性の報告がある。また、ラット、マウスの経口投与 (区分1相当の用量) で自発運動亢進、自発運動低下、立毛、流涎、円背位、強直性痙攣、間代性痙攣、振戦、頻呼吸、緩徐呼吸、嗜眠、ラットの吸入ばく露 (区分1相当の用量) で流涙、流涎、自発運動低下、不整呼吸の報告がある (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2012))。 以上より、本物質は気道刺激性の他、中枢神経系への影響があり、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (血液凝固系)、区分2 (肝臓) 警告
危険
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液凝固系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた104週間混餌投与毒性試験において、区分1の範囲である60〜200 ppm (2.1〜8.7 mg/kg/day) で血液凝固系への影響がみられ、200 ppm群の所見として、PT及びAPTTの延長、腸管のタール様内容物、大量出血 、ラットを用いた13週間混餌投与毒性試験においても区分2の範囲である200 ppm (11.9〜12.7 mg/kg/day) で血液凝固系への影響 (PT及びAPTTの延長、前眼房の出血等) がみられた。マウスを用いた13週間混餌投与毒性試験において、区分2の範囲である600 ppm (雄:68.1 mg/kg/day、雌:76.7 mg/kg/day) で血液凝固系への影響 (PT及びAPTTの延長) のほか、肝臓への影響 (肝臓重量の高値及び肝細胞肥大)、18ヶ月間混餌投与毒性試験において区分2の範囲である100〜600 ppm (14.4〜58.7 mg/kg/day) で血液凝固系への影響 (PT及びAPTTの延長、全身の出血傾向等) のほか、肝臓への影響 (肝細胞の肥大・壊死) がみられた。イヌを用いた試験では、13週間混餌投与毒性試験において区分2の範囲である750〜1,500 ppm (22.1〜47.1 mg/kg/day)、1年間混餌投与毒性試験において区分2の範囲である500〜1,500 ppm (12.3〜38.7 mg/kg/day) で肝臓への影響がみられ、1,500 ppm群の所見として、アルカリホスファターゼ活性の高値、肝臓重量高値及び肝細胞肥大がみられた (農薬抄録 (2010)、食品安全委員会農薬評価書 (2010)、日本農薬学会誌 第26巻 第3号 (2001))。 以上のように主に血液凝固系への影響がみられ、影響は区分1からみられた。そのほか、肝臓への影響が区分2の範囲でみられた。 したがって、区分1 (血液凝固系)、区分2 (肝臓) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


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