名称:4- (2-クロロフェニル) -N-シクロヘキシル-N-エチル-4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1H-テトラゾール-1-カルボキサミド (別名:フェントラザミド)
CAS番号:158237-07-1
物質ID: | H27-A-03-METI/M-003A_P |
分類実施者: | 経済産業省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類できない | - | - | - | - | 規定の爆発性試験シリーズを実施した情報がなく、分類できない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素及び塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kgとの報告 (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008)、食品衛生研究 Vol.54 No.6 (2004)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg との報告 (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLC50値 (4時間) として、> 5.085 mg/Lとの報告 (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008)) に基づき、区分外とした。なお、被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質500 mgを4時間半閉塞適用した結果、刺激性なしと判断されている (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。以上より、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質0.1 mLを適用した結果、刺激性なしと報告されている (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。以上より、区分外とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、感作惹起後に本物質による感作反応はみられず、感作性なしとの報告されている (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。上記の試験は、OECD TG406相当のGLP適合試験であることから、本物質を区分外と判断した。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | In vivoでは、腹腔内投与によるマウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (農薬抄録 (2008)、食品衛生研究 Vol.54 No.6 (2004))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の前進突然変異試験、染色体異常試験で陰性である (農薬抄録 (2008)、食品衛生研究 Vol.54 No.6 (2004))。したがって、ガイダンスに従い、分類できないとした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ラット、又はマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、マウスでは本物質投与との関連性を疑うべき腫瘍性病変は認められなかったが、ラットでは膀胱に移行上皮細胞がん (雌1例)、移行上皮乳頭腫 (雌2例)、尿道に移行上皮細胞がん (雄1例)、甲状腺濾胞腺腫 (雄2例) が認められ、膀胱から尿道の移行上皮の腫瘍は低頻度であるが、同時に膀胱移行上皮に過形成の頻度増加が認められ、免疫組織染色により過形成の領域では分裂増殖の亢進像が確認されている (農薬抄録 (2008))。食品安全委員会もラットで尿路上皮腫瘍及び甲状腺濾胞上皮腫瘍が低頻度で発生したが、各種メカニズム試験の結果に加え、本剤に遺伝毒性が認められないことを考慮すると、発生機序はいずれも遺伝毒性メカニズムとは考え難く、評価に際して閾値を設定することが可能であると結論した (食品安全委員会農薬評価書 (2008))。 以上、発がん性試験結果からはマウスでは発がん性の証拠はなく、ラットでは本物質投与による腫瘍発生の証拠は不確実 (equivocal) と考えられる。ただし、国際機関による発がん性分類結果もなく、本項はデータ不足のため分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに本物質を混餌投与した2世代繁殖毒性試験において、F0 (P)、又はF1親動物に一般毒性影響 (P、F1共所見 (赤血球及び脳内コリンエステラーゼ活性阻害、肝臓重量増加、肝細胞質の好酸性化、肝細胞肥大)、 F1のみの所見 (体重増加抑制、膀胱上皮の過形成、副腎皮質の空胞化 (雌)) のみられる用量 (1,800 ppm) で、F1児動物に生後4日の生存率低下、哺育期間中の体重増加抑制、F2児動物に出生時の同腹児数の減少及び哺育期間中の体重増加抑制が認められたが、繁殖能への影響はみられなかった (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。一方、妊娠ラット、又は妊娠ウサギを用いた器官形成期に強制経口投与した催奇形性試験において、ラットでは1,000 mg/kg/dayまでの用量で、母動物、胎児ともに被験物質投与と関連した影響はみられなかった (農薬抄録 (2008))。また、ウサギでは母動物には40 mg/kg/day以上で用量依存的な流産の頻度増加が生じ、最高用量の640 mg/kg/dayでは、体重増加抑制、摂餌量減少も認められたが、胎児には毒性影響はみられなかった (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。 以上より、ラット2世代繁殖毒性試験において、親動物に一般毒性影響の発現する用量で、児動物への発生・発達影響が2世代に亘って認められたことから、ガイダンスに従い、本項は区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分外 | - | - | - | - | 本物質に関するヒトのデータはない。実験動物では、ラット、マウスの経口投与、ラットの経皮投与、ラットの吸入ばく露試験、ラットの経口投与神経毒性試験、雌鶏の経口投与遅発性神経毒性試験のデータがある (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008)) が、いずれも限度量 (又は達成可能な最高濃度) まで投与しても症状及び剖検所見に異常が認められていないことから、区分外とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (肝臓、胆嚢)、区分2 (神経系) |
危険 警告 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、胆嚢) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
イヌを用いた1年間混餌投与毒性試験において、区分1の範囲内である200 ppm (雄:5.4 mg/kg/day、雌:5.5 mg/kg/day) で肝臓に対する影響 (肝臓重量増加 、肝細胞肥大、血清中ALT・ALP増加)、胆嚢に対する影響 (胆嚢の上皮過形成) がみられている (農薬抄録 (2008)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。また、ラットを用いた24ヶ月間混餌投与毒性試験において、区分2の範囲である1000 ppm (雄:52.7 mg/kg/day、雌:75.4 mg/kg/day) で神経系に対する影響 (赤血球コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上)、坐骨神経髄鞘変性)、肝臓に対する影響 (小葉中心性肝細胞質変化) がみられている (食品安全委員会農薬評価書 (2008))。 以上のように、肝臓、胆嚢に関する影響が区分1の範囲でみられ、神経系に対する影響が区分2の範囲でみられた。 したがって、区分1 (肝臓、胆嚢)、区分2 (神経系) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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