GHS分類結果

名称:1- (2-クロロベンジル) -3- (1-メチル-1-フェニルエチル) ウレア (別名:クミルロン)
CAS番号:99485-76-4

結果:
物質ID: H27-A-04-METI/M-004A_P
分類実施者: 経済産業省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素及び塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値として、2,074 mg/kg (雄)、961 mg/kg (雌) との2データの報告 (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007)) がある。一方が区分外 (国連分類基準の区分5) に、他方が区分4に該当するので、安全サイドを採用して区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (雄、雌) との報告 (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットのLC50値 (4時間) として、> 6.21 mg/Lとの報告 (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007)) に基づき、区分外とした。なお、被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質500 mgを4時間適用した結果、全ての刺激性スコアは0であり、刺激性なしとの報告がある (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))。以上から、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質100 mgを結膜嚢に適用した結果、結膜発赤、浮腫及び分泌物が観察されたが48時間後に回復したことから、軽度の刺激性と報告されている (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))。以上より、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、感作惹起後に本物質による感作反応はみられず、感作性なしとの報告されている (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))。上記の試験は、OECD TG406相当のGLP適合試験であることから、本物質を区分外と判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、経口投与によるマウスの小核試験で陰性 (農薬抄録 (2007)、農薬工業会:農薬安全性情報 食品衛生研究 Vol.49 No.6 (1999))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (農薬抄録 (2007)、食品衛生研究 Vol.49 No.6 (1999))。
6 発がん性 分類できない - - - - ラット、又はマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、ラットでは雌雄とも体重増加抑制が認められた1,600 ppmの用量まで、投与と関連した腫瘍性病変の発生はみられなかった (農薬抄録 (2007))。しかし、マウスでは1,200 ppmの用量で、雌雄ともに肝細胞腺腫の発生頻度の有意な増加がみられた (農薬抄録 (2007))。食品安全委員会は雌雄マウスに肝細胞腺腫の発生頻度増加が認められたが、遺伝毒性試験等の結果から、発生機序は遺伝毒性メカニズムとは考え難く、本剤の評価にあたり閾値を設定することは可能であると結論した (食品安全委員会農薬評価書 (2007))。 以上、発がん性試験結果からはマウスで肝臓腫瘍の増加は良性腫瘍に限定的で、ラットでは腫瘍発生の証拠はない。また、国際機関による発がん性分類結果もない。よって、データ不足のため分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖毒性試験において、F0 (P) 世代では3,600 ppm の用量で、死亡例の増加 (死亡率:雄28% (7/25)、雌12% (3/25))、体重増加抑制、摂餌量低下がみられ、死亡例では胆嚢炎、巣状性肝細胞壊死などが認められた。F1世代の3,600 ppm では離乳後にほぼ全例が死亡した。したがって、F0の高用量群では雌雄生存例を交配させた結果、受胎率の低下傾向 (有意差なし) が示唆されたが (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))、親動物への一般毒性影響が重篤 (死亡率が雌雄とも10%超) で、これも含めて高用量群の生殖発生影響は分類結果に利用すべきでないと考えた。しかし、中用量 (600 ppm) 以下の群ではF0、F1親動物、及びF1、F2児動物のいずれも、一般毒性、生殖発生毒性ともに有意な毒性所見は認められず (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))、ラット繁殖試験結果からは分類根拠は得られなかった。また、妊娠ラット、又は妊娠ウサギの器官形成期に強制経口投与した催奇形性試験では、ラットに1,500 mg/kg/dayまでの用量、ウサギに300 mg/kg/day までの用量投与で、母動物、胎児のいずれにも被験物質投与による影響はみられていない (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))。 以上、ラット2世代繁殖毒性試験、及び妊娠ラット・ウサギを用いた催奇形性試験結果からは分類の根拠とすべき明瞭な所見は得られなかったが、催奇形性試験結果は用量的に問題がない。対して、2世代毒性試験については 600〜3,600 ppm の間で分類根拠となる所見が得られた可能性があり、本項は生殖能への影響評価に関して十分なデータがなく、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ヒトのデータはない。実験動物では、ラットの経口投与 (区分2相当の用量) で、自発運動低下、下痢、呼吸促迫、眼瞼下垂、病理所見として軽度の胸腺萎縮、軽度の精巣萎縮がみられ、そのうち一部の動物は死亡、その他の動物は後に回復したとの報告がある。マウスの経口投与、ラットの経皮投与、ラットの吸入ばく露ではいずれも異常は認められていない (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))。以上より、臓器を特定できないことから、分類できないとした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (肝臓)、区分2 (血液系、腎臓) 危険
警告
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、腎臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
イヌを用いた52週間強制経口投与毒性試験において、区分1の範囲である10 mg/kg/dayで肝臓への影響 (小葉中心性肝細胞肥大) がみられ、イヌを用いた13週間強制経口投与毒性試験において、区分2の範囲である30 mg/kg/dayで肝臓への影響 (アルカリホスファターゼ活性の増加傾向、肝臓の絶対及び相対重量増加、肝臓の小葉中心性肝細胞腫大) がみられ、ラットを用いた13週間混餌投与毒性試験において、区分2の範囲である600 ppm (雄:42.3 mg/kg/day、雌:46.8 mg/kg/day) で血液 への影響 (ヘモグロビン量・平均赤血球容積・平均赤血球ヘモグロビン量・リンパ球比率の減少、血小板・好中球比率の増加) がみられ、ラットを用いた104週間混餌投与毒性試験において、区分2の範囲である200〜1600 ppm (雄:10.8〜90.8 mg/kg/day、雌:13.5〜113 mg/kg/day) で血液系への影響がみられ、1.600 ppm投与群の所見として、ヘマトクリット値・ヘモグロビン量・赤血球数の減少、脾臓の造血亢進)、肝臓への影響 (絶対及び相対重量増加、肝臓の肉芽巣)、腎臓への影響 (慢性腎症) がみられている (農薬抄録 (2007)、食品安全委員会農薬評価書 (2007))。 以上のように肝臓への影響が区分1からみられ、血液系及び腎臓への影響が区分2の範囲でみられた。 したがって、区分1 (肝臓)、区分2 (血液系、腎臓) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


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