名称:ドデシル硫酸ナトリウム
CAS番号:151-21-3
物質ID: | H27-B-10-METI/M-017B_P |
分類実施者: | 経済産業省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が310.5℃ (Sigma-Aldrich, 2015) というデータがあり、常温では自然発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。水溶解度:1 g/10 mL (Merck, 2013)。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素、水素以外の元素 (S) と化学結合しているが、データがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として、1,200 mg/kg (OECD TG 401) (SIDS (2009))、2,730 mg/kg (EHC 169 (1996)) との2件の報告がある。1件が区分4に、1件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当するが、OECD TG 401準拠であり、かつLD50値の最小値が該当する区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分2 | 危険 | H310: 皮膚に接触すると生命に危険 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P364: そして再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギのLD50値として、約200 mg/kgとの報告 (SIDS (2009)、EHC 169 (1996)) に基づき、区分2とした。旧分類のデータは希釈したもののデータであったため、純品のLD値を採用し、区分を変更した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 |
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、本物質 (50%) を0.5 mL適用した結果、紅斑及び浮腫がみられ、観察期間中 (3日間) 持続したとの報告や (ECETOC TR66 (1995))、中等度の刺激性がみられたとの報告がある (BUA 189 (1996))。また別の報告では、本物質を4時間、半閉塞適用した結果、中等度から強度の刺激性がみられたとの報告があるが回復性の記載はない (SIDS (2009))。以上より、区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、本物質 (25%水溶液) の適用により、非可逆的な影響がみられたとの報告がある (SIDS (2009))。また、別の眼刺激性試験の報告では本物質 (3%) の適用により、角膜混濁、結膜発赤、結膜浮腫などがみられたが7日目までに回復したとの報告がある (ECETOC TR48 (1992))。25%を適用した試験において、非可逆的な症状が観察されたことから、区分1とした。情報を追加し区分を見直した。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において陰性の報告がある (ECETOC TR77 (1999)、BUA 189 (1996))。また、マウスを用いたLLNA試験において、本物質適用による陽性結果が2報、陰性が1報報告されている (SIDS (2009))。ヒトについて感作性を示すとの報告はみあたらず、SIDS (2009) 及びECETOC TR77 (1999) は、 本物質は感作性の懸念がないと結論している (SIDS (2009)、ECETOC TR77 (1999))。以上より、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験、ラット骨髄細胞の小核試験、染色体異常試験で陰性である (SIDS (2009)、HSDB (Access on November 2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (SIDS (2009)、NTP DB (Access on November 2015))。 旧分類に記載されたEHCの情報は確認できなかった。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質自体の発がん性試験報告はない。しかし、EPAはC12〜C15のアルキル硫酸塩の2件の試験結果から、本物質は飼料中1.5% (15,000 ppm) の濃度で投与しても発がん性のポテンシャルを示す証拠はないとの見解を示した (EPA Final Registration (2010))。また、SIDSにはC12〜C15のアルキル硫酸ナトリウム (CAS番号: 68890-70-0) を被験物質として、ラットを用いた2年間混餌投与試験が同一条件で2回行われ、2回の試験のいずれも高用量の15,000 ppm (約 1,125 mg/kg/day) では雌雄ともに体重増加抑制、摂餌/摂水量減少に加え、肝臓、腎臓等に非腫瘍性病変や血液毒性がみられているが、腫瘍発生率の増加はみられなかったと記述されている (SIDS (2009))。 以上、類似物質の発がん性試験結果からは、本物質も経口経路では区分外相当と考えられるが、他経路での本物質関連の発がん性情報はなく、国際機関による既存分類結果もない。したがって、本項はデータ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では本物質を雄マウスに10,000 ppmで2週間、又は1,000 ppmで6週間混餌投与後、無処置雌と交配したが、受胎率に有害影響はみられず、著者らは親動物に有意な体重増加抑制を生じる用量まで投与しても、受胎能への有害影響は示されなかったと報告したとの記述がある (SIDS (2009))。妊娠ラットに本物質を妊娠6〜15日に強制経口投与した2件の発生毒性試験では、母動物に死亡例が生じた500 mg/kg/day (Wistarラット)、及び600 mg/kg/day (SDラット) のいずれも胎児に有害影響はみられていない (SIDS (2009))。また、妊娠マウスの妊娠6〜15日、妊娠ウサギの妊娠6〜18日に最大600 mg/kg/dayを強制経口投与した試験でも、 母動物に死亡例が発生した600 mg/kg/dayでは総胚吸収/同腹胎児損失の頻度増加がみられたが、300 mg/kg/dayでは母動物にマウスで1/20例、ウサギで1/13例が死亡し、ウサギでは体重減少、下痢などがみられているが、胎児に有害影響はみられていない (SIDS (2009))。 以上、マウスを用いた経口経路での受胎能への影響は雄マウス投与に対しては影響がないとの結果であるが、雌マウスに投与した場合の受胎能への影響については報告例がなく不明であり、よって本項はデータ不足のため分類できない。 なお、EPAは本物質の生殖毒性については、類似物質であるα-アルキルオレフィン硫酸塩をラットに経口投与した2世代生殖毒性試験結果に基づき、最高用量285 mg/kg/day相当量まで投与に関連した生殖毒性及び全身毒性影響を生じないとしてデータギャップを埋めた (EPA Final Registration (2010))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(中枢神経系) |
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトにおけるデータはない。実験動物では、ラットの経口投与 (1,200 mg/kg bw、区分2相当) で下痢、自発運動低下、努力呼吸、呼吸数減少、昏睡、ウサギの経皮適用 (LD50=200 mg/kg、区分1相当) で振戦、強直間代性痙攣、呼吸困難が認められている (SIDS (2009))。 以上より、本物質は中枢神経系に影響を与え、区分1 (中枢神経系) とした。 旧分類に記載された気道刺激性のデータは認められなかった。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2 (肝臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに関する情報はない。 実験動物では、ラットを用いた4週間混餌投与毒性試験において、区分2の用量である0.5% (90日換算:76.2 mg/kg/day) 以上の投与群の雌でALT及びアルカリホスファターゼ活性の増加、肝臓及び左側腎臓の重量増加がみられ、肝臓では肝細胞のわずかな肥大、分裂細胞の増加がみとめられた。また、区分2の範囲を超える用量である1% (152.4 mg/kg/day) 以上の投与群で尿円柱、尿細管上皮細胞の空胞変性、尿細管のPAS染色陽性物質、糸球体の萎縮がみられている (EHC 169 (1996))。 以上のように、肝臓に区分2の範囲で影響がみられた。 したがって、区分2 (肝臓) とした。 なお、旧分類では、腎臓の所見を区分2の範囲内として分類を実施していたが、確認した結果、区分2の範囲を超えていたため分類結果が変更となった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(アカルチア)の96時間EC50/LC50 = 0.12 mg/L(SIDS, 2009)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分3 | - | - | H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急速分解性があり(14日間でのBOD分解度=85.0%、TOC分解度=99.3%(J-CHECK 2016))、甲殻類(ネコゼミジンコ)の7日間NOEC (繁殖) = 0.88 mg/L(SIDS, 2009)から、区分3とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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