名称:メタクリル酸ノルマル−ブチル
CAS番号:97-88-1
物質ID: | H27-B-18-METI/M-018B_P |
分類実施者: | 経済産業省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 | 警告 | H226: 引火性液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点 50℃ (closed cup) (ICSC (2009)) に基づき区分3とした。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 自己反応性に関連する原子団 (オレフィン類) を含むが、データがなく分類できない。なお、安定剤入りのものはUNRTDG分類がUN 2227 クラス3であり、優先評価項目の自己反応性化学品に該当しないので、クラスGに分類される。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が290℃ (ICSC (2009)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (OECD TG 401) (SIDS (2009)、ECETOC JACC (1997))、> 3,200 mg/kg (ECETOC JACC (1997))、16,000 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC JACC (1997))、17,900 mg/kg (SIDS (2009)、ECETOC JACC (1997))、18, 020 mg/kg、18,561 mg/kg (ECETOC JACC (1997))、22,600 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、16,000〜22,600 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (OECD TG 402) (SIDS (2009)、ECETOC JACC (1997))、10,181 mg/kg (ECETOC JACC (1997))、11.3 mL/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013))、11,300 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、10,181〜11,300 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットの4時間吸入試験 (OECD TG 403) の結果、およその致死濃度 (ALC値) として、29 mg/Lとの報告 (SIDS (2009))、及びラットのLC50値 (4時間) として、19.7 mg/L (ECETOC JACC (1997))、28.6 mg/L (環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (17.2 mg/L) の90%より高いため、ミストが混在するものとして mg/L を単位とする基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG404) において、本物質0.5mLを4時間、半閉塞適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2008)) や、刺激性は軽度であったとの報告がある (SIDS (2009))。他にもウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質を4時間、半閉塞適用した結果、認められた刺激性は軽度であったとの報告が複数ある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2009)、ECETOC JACC (1997))。以上より、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。テストガイドラインに従った試験の報告に基づき、区分を変更した。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on December 2015))。旧分類に記載のある、1981年以降のガイドライン準拠データは確認できなかっため分類に用いなかった。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG405) において、本物質適用による刺激性はみられなかったとの報告が2報ある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2009))。その他、ウサギを用いた眼刺激性試験において軽度の刺激性及び強度の刺激性が報告されているが (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2009)、ECETOC JACC (1997))、試験法等の詳細は不明である。以上、テストガイドラインに準拠した試験をもとに区分外とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on December 2015))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG406) で陰性の報告 (SIDS (2009)) があり、他のマキシマイゼーション試験においても陰性の報告が複数ある (SIDS (2009)、ECETOC JACC 1997、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、フロインド完全アジュバント試験 (OECD TG406) で陰性の報告 (SIDS (2009)) があり、他のフロインド完全アジュバント試験においても陰性の報告が複数ある (SIDS (2009)、ECETOC JACC 1997、NITE初期リスク評価書 (2008))。一方、詳細は不明ではあるが、モルモットを用いたフロインド完全アジュバント試験で弱い陽性反応が認められたとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2008)、ECETOC JACC (1997)) や、モルモットを用いた標準的な感作性試験 (詳細不明) で10匹中1匹に弱い感作性が認められたとの報告 (ECETOC JACC (1997)) がある。職業ばく露においては、本物質のパッチテストで陽性の結果 (6/243名、3/79 名、 1/542 名) が複数報告されている (SIDS (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008))。SIDS (2009) は、ヒトの症例は他のアルキルメタクリレートによる可能性があるとして、本物質の感作性についてはあいまい (equivocal) であるものの、短鎖のメタクリレートについて弱い感作性を有すると結論している。また、ECETOC JACC (1997) は本物質は弱い感作性を有すると結論している (ECETOC JACC (1997))。以上より、テストガイドラインに準拠した2件の試験で陰性の報告があるものの、詳細不明ではあるが陽性の報告があり、陰性又は陽性の判断に十分は情報が得られなかったため分類できないとした。テストガイドラインに準拠した試験情報と詳細不明ではあるが陽性の報告があることから区分を変更した。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on December 2015))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (NITE初期リスク評価書 (2008)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2009))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2009))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた経口経路による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物に一般毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少、脾臓赤脾髄の萎縮等) が発現した1,000 mg/kg/dayで、雌親動物に黄体数及び着床数の減少 (着床率は不変) が認められたが、雄親動物の生殖能、及び児動物に影響はみられなかった (SIDS (2009)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、環境省リスク評価第11巻 (2013))。また、妊娠雌ラットに本物質を妊娠6〜20日まで吸入ばく露した発生毒性試験では、母動物に300 ppm以上で体重増加抑制、1,200 ppmで摂餌量低下が、胎児には600 ppm以上の雌、1,200 ppmの雄にそれぞれ体重の低値がみられたが、催奇形性はみられなかったと報告されている (SIDS (2009)、環境省リスク評価第11巻 (2013))。 以上、実験動物での既存知見からは分類根拠とすべき明確な発生毒性の証拠はなく、経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験では限度量投与で雌に黄体数・着床数の減少がみられた。この所見は病理組織学的検査結果より、卵巣の卵胞形成に異常はなく、排卵に関連した何らかの影響と推察されたものの、雌親動物の出産率、妊娠期間、哺育状態に影響はなかったとの記述 (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)) から、少なくとも生殖影響として分類の根拠とすべき所見ではないと判断した。この他、分類に利用可能なデータはなく、データ不足のため本項は分類できないとした。再分類では、ガイダンス又は情報源の見直しにより、区分を変更した。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3 (気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性がある (ECETOC JACC (1997)、HSDB (Access on November 2015)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012))。ヒトの吸入ばく露で、咳、息切れ、咽頭痛、経口摂取で腹痛がみられる (環境省リスク評価第11巻 (2013))。実験動物では、区分を付けられる知見はない。以上より、区分3 (気道刺激性) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2 (脾臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(脾臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに関するデータはない。 実験動物では、ラットを用いた14日間反復経口投与毒性試験において区分2の範囲である500 mg/kg/day (90日換算値:77.8 mg/kg/day) の雄でヘマトクリット値の減少がみられ、ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において区分2の範囲である100 mg/kg/day (90日換算値:48.9 mg/kg/day) の雄で脾臓の絶対及び相対重量減少、髄外造血の減少による赤脾髄の萎縮がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015))。 ラットを用いた4週間の吸入毒性試験では区分2の範囲内で影響はみられていない (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 以上のように、反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において区分2の範囲で脾臓への影響がみられた。なお、14日間試験の結果は分類の基準を満たす程度の毒性ではないことから分類根拠としなかった。 したがって、区分2 (脾臓) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on November 2015) に収載された数値データ (粘性率: 3.116 mPa・s (21 ℃)、密度: 0.8936 g/cm3 (20 ℃)) より、動粘性率は3.486 mm2/sec (21/20 ℃) と算出される。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(メダカ)96時間LC50 = 5.57 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008、SIDS, 2009、環境省リスク評価第11巻, 2013)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(28日間でのBOD分解度=88%、GC分解度=100%(通産省公報, 1997))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC (繁殖) = 1.1 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008、SIDS, 2009)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(メダカ)96時間LC50 = 5.57 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008、SIDS, 2009、環境省リスク評価第11巻, 2013)であるが、急速分解性があり、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= 2.88(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外となる。 以上から、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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