GHS分類結果

名称:メタクリル酸2−エチルヘキシル
CAS番号:688-84-6

結果:
物質ID: H27-B-17-METI/M-020B_P
分類実施者: 経済産業省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が92℃ (測定方法不明) (ICSC (1998)) であり、規定の測定法で > 60℃ かつ ≦93℃であると推定されることから、区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 自己反応性に関連する原子団 (オレフィン類) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は380℃であり (GESTIS (Access on November 2015))、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (OECD TG401) (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、SIDS (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))、16,465 mg/kg (SIDS (2009)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、モルモットのLD50値として、> 17,620 mg/kg (SIDS (2009)) との報告があるが、再分類では詳細不明であるため、分類には採用しなかった。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC0値 (6時間) として、> 14 ppm (4時間換算値:> 17 ppm) との報告 (SIDS (2009)) があるが、このデータのみでは区分を特定できない。また、このデータは二次資料であり、信頼性に欠けるデータ (Reliability 4) であるとの記述に従い、分類には採用しなかった。LC0値が飽和蒸気圧濃度 (17 ppm) 90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験が2報あり、本物質 (未希釈) を24時間適用した結果、中等度の刺激性 (PII=3.12、4.04) がみられたとの報告がある (SIDS (2009))。SIDS (2009) は、これらの試験は近年の標準的な試験 (4時間適用) に準拠していないが、皮膚一次刺激性の判定に利用可能であるとしていることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた眼刺激性試験の報告が2報あり、本物質適用による影響はみられず、一次刺激指数は0 (最大値100) で刺激性なしとの報告 (SIDS (2009)) や、6匹中4匹に軽微な結膜の刺激がみられたが観察期間終了の72時間までに消失したことから刺激性なしとの報告 (SIDS (2009)) がある。以上より、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG406、GLP準拠) において、感作性は認められなかった (陽性率0%) との報告がある (SIDS (2009))。また、マキシマイゼーション試験で陰性の結果が複数報告されている (SIDS (2009)) 一方で、 4/10 例に感作性がみられたとの報告など、陽性の報告も複数ある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2009))。ヒトのパッチテストにおいて本物質による感作性は認められなかったと複数報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2009))。SIDS (2009) は、本物質の感作性についてはあいまい (equivocal) であり、短鎖のメタクリレートについて弱い感作性を有すると結論している。以上より、テストガイドラインに準拠した試験で陰性の報告があるものの、詳細不明ではあるが陽性の報告があり、陰性又は陽性の判断に足る十分な情報が得られなかったため分類できないとした。テストガイドラインに準拠した試験情報と詳細不明ではあるが陽性の報告があることから区分を変更した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、SIDS (2009))。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口経路での反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG422) において、親動物に一般毒性影響 (死亡 (雌1/12例 (8.3%))、体重増加抑制、摂餌量減少) がみられた1,000 mg/kg/dayで、母親動物の性機能・生殖能への有害影響として発情回数の減少、妊娠期間の延長、黄体数及び着床痕数の減少、分娩率の低下 (77.8%) がみられ、3/7例で哺育期間中に全児が死亡した。児動物には哺育0日に300 mg/kg/day以上で新生児数の低値、1,000 mg/kg/dayで同体重の低値がみられた (SIDS (2009)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。 以上、本物質投与により、一般毒性発現量で主に雌の妊娠及び分娩機能への有害影響を生じ、結果として児動物の発生にも影響したと考えられた。この他、分類に利用可能なデータはない。したがって、母動物毒性 (死亡率10%未満) がみられる1,000 mg/kg/day で全児死亡がみられたことから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ヒトのデータはない。実験動物では、ラットに500〜2,000 mg/kgを単回経口投与した結果、死亡例はなく、雌雄とも体重の低値を除き一般症状及び剖検所見にも変化はみられなかった (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)) ことから、経口経路では区分2超と考えられるが、他経路 (経皮、吸入) による影響については報告がなく、データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ヒトに関するデータはない。 実験動物では、ラットに経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG422 GLP準拠) において、ガイダンス値範囲の上限を超える300 mg/kg/day (90日換算:約150 mg/kg/day) の用量では雄が肝臓相対重量、腎臓絶対及び相対重量の増加、雌が腎臓相対重量の増加が認められたのみで、病理学的変化を含めてその他の影響は報告されていない (SIDS (2009)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on November 2015)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)) ので、経口経路では区分外相当となるが、その他の経路についてはデータがない、あるいはデータ不十分なためその影響については不明である。 したがって、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(メダカ)96時間LC50 = 2.78 mg/L(環境省リスク評価第3巻, 2004、NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(28日間でのBOD分解度=88%、GC分解度=100%(通産省公報, 1997))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC (繁殖) = 0.105 mg/L(SIDS, 2009)であることから、区分3となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 2.78 mg/L(環境省リスク評価第3巻, 2004、NITE初期リスク評価書, 2008)であり、急速分解性があるが、生物蓄積性があると推定される(log Kow=4.54(>4.0、PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分2となる。 以上の結果を比較し、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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