名称:テレフタル酸ジメチル
CAS番号:120-61-6
物質ID: | H27-B-09-METI/M-028B_P |
分類実施者: | 経済産業省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 可燃性を有するが、データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が518℃ (ICSC (2004)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、> 3,200 mg/kg (環境省リスク評価第10巻 (2012)、PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008))、4,390 mg/kg (SIDS (2005))、> 6,590 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2005)) との報告に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | モルモットのLD50値として、> 5,000 mg/kgとの報告 (環境省リスク評価第10巻 (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2005)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値 (2時間) として、> 6.0 mg/L (4時間換算値:> 3.0 mg/L) との報告 (環境省リスク評価第10巻 (2012)、SIDS (2005)) があるが、このデータのみでは区分を特定できない。被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモット又はマウスを用いた皮膚刺激性試験において、軽度の刺激性がみられたとの報告がある (SIDS (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008))。ヒトにおいては、本物質 (80%) を10 回塗布した試験で、刺激性は認められなかった (NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告や、本物質のダストのばく露による皮膚炎などが報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上より、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験において、軽度の刺激性がみられたとの報告や、刺激性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、本物質のばく露により眼に発赤を生じるとの記載がある (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。以上、軽度の刺激性の報告から区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた皮膚感作性試験において陰性との報告が複数ある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2005)、PATTY (6th, 2012)) が、試験法等詳細不明であるため分類に用いるには不十分なデータと判断した。旧分類のデータはList3であるため削除し、区分を見直した。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞、末梢血リンパ球の小核試験で陰性、マウス骨髄細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験であいまいな結果 (equivocal) である (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、SIDS (2005)、NTP DB (Access on November 2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、小核試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、SIDS (2005)、NTP DB (Access on November 2015))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトの発がん性に関する情報はない。実験動物ではラット、又はマウスを用いた経口経路による2年間発がん性試験報告があり、ラットでは雌雄ともに5,000 ppmまでの用量で腫瘍発生の増加はみられていない。一方、マウスの試験では雄で肺胞/細気管支上皮腺腫の発生頻度、同腺腫とがんの合計頻度の増加がみられたが、雌マウスには肺腫瘍を含めて本物質ばく露に関連した腫瘍発生の増加はないとの結果が得られた。これらラット、マウスいずれの試験も投与群で生存率、体重に有意な影響はみられておらず、NTPは投与量が不十分であった可能性も否めないが、本試験条件下ではラット、マウスの雌雄いずれも本物質投与と明確に関連した腫瘍の発生はないと結論した (NTP TR 121 (1977)、NITEリスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、PATTY (6th, 2012))。一方、SIDSは雌雄ラットと雌マウスでは腫瘍発生の増加はないが、雄マウスでは肺の腫瘍発生は曖昧な結果 (equivocal) と結論している (SIDS (2005))。国際機関による分類結果はない。 以上、実験動物の試験結果は本物質の腫瘍誘発性を否定する傾向にあるが、NTPが認めているように投与量が不足している可能性があると考えられ、経口経路以外の経路での発がん性情報もない。よって、本項はデータ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では本物質を雄ラットに交配前115日間、雌に交配前6日間経口 (混餌) 投与し、交配後雌には妊娠及び哺育期間を通して投与を継続した1世代生殖毒性試験において、親動物には毒性影響がないが、児動物には5,000 ppm以上で体重の低値がみられた (SIDS (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、PATTY (6th, 2012))。発生毒性試験では、妊娠ラットに本物質 1,000 mg/kg/dayを妊娠7〜16日に強制経口投与した試験で、母動物毒性、胎児における発生毒性も着床前後の胚損失も認められなかった (SIDS (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)) との報告、及び妊娠ラットに本物質を 1 mg/m3の濃度で妊娠期間を通して吸入ばく露した試験でも、同様に母動物、胎児に異常は認められなかった (SIDS (2005)、環境省リスク評価第10巻 (2012)) との報告がある。 以上、ラットを用いた1世代生殖試験及び発生毒性試験結果からは明らかな生殖影響、発生影響は検出されず、経口経路では区分外の可能性があるが、分類を確定的にするにはガイドライン相当の2世代以上の多世代生殖毒性試験で無毒性の結果が得られることが望ましく、また吸入経路での発生毒性試験も用量的に十分であるとは言いがたい。よって、本項はデータ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3 (気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトにおいて本物質の蒸気あるいはダストによる呼吸器の刺激性が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。実験動物では、本物質の高温蒸気を用いたラットの吸入ばく露 (LC50 > 6 mg/L) で呼吸器刺激性、粘膜充血、不規則呼吸、チアノーゼの報告 (SIDS (2005)) があるが、古い知見で詳細不明のため区分対象とはしなかった。 以上より、区分3 (気道刺激性) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ヒトに関する情報はない。 実験動物に関しては、経口経路において区分2の範囲で標的臓器に該当する所見はみられていない。なお、区分2の範囲を超える用量で、特徴的な所見として、ラットを用いた複数の試験において膀胱結石を生じることが報告されている (SIDS (2005)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第10巻 (2012))、NITE初期リスク評価書 (2008))。 吸入経路では、ラットを用いた3ヶ月間吸入毒性試験において、区分2の範囲である粉塵86.4 mg/m3 (4時間/日、58回ばく露、ガイダンス値換算:0.037 mg/L/6hr/day) 吸入群で鼻をこする行動、洗顔行動、瞬きの増加がみられているが (SIDS (2005)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第10巻 (2012))、NITE初期リスク評価書 (2008))、標的臓器に該当する所見ではないと考えられる。 以上のように、経口及び吸入経路において、標的臓器に該当する所見はみられていない。なお、旧分類で引用していた情報について確認したところ、ばく露頻度、ばく露時の被験物質の状態等の記載がなく、また試験報告の詳細が不明であることから、分類に用いなかった。 したがって、データ不足のため分類できないとした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 9.6 mg/L(SIDS, 2005、NITE初期リスク評価書, 2008、環境省リスク評価第10巻, 2012)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(良分解性:14日でのBOD分解度=84%、HPLC分解度=100%(通産省公報, 1980))、藻類(Scenedesmus subspicatus)の72時間NOEC(r) = 5.27 mg/L(環境省リスク評価第10巻, 2012)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC (繁殖) = 1.72 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008、環境省リスク評価第10巻, 2012)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 9.6 mg/L(SIDS, 2005、NITE初期リスク評価書, 2008、環境省リスク評価第10巻, 2012)であるが、急速分解性があり、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= 2.25(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外となる。 以上の結果から、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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