名称:滑石 (タルク) (アスベスト、石英を含まず)
CAS番号:14807-96-6
物質ID: | H27-A-009/C-009A_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (ICSC (2006))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (ICSC (2006))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (ICSC (2006))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水への溶解度 (水溶解度:不溶 (20℃) (GESTIS (Access on June 2015))) が測定されており、水と激しく反応しないと推定できる 。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | ハロゲン元素を含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (DFGOT vol. 22 (2006)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、ボランティア5名に本物質を3日間閉塞適用した結果、刺激性はみられなかった (DFGOT vol. 22 (2006)) との情報があるが、それ以上の記載はなく詳細不明である。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、本物質が広範囲の化粧品で使用され、ボランティア実験が実施されているが、本物質がアレルギーを示すとの報告がこれまでにないとの記載 (DFGOT vol. 22 (2006)) や、ゴム手袋に起因するラテックスアレルギーは、タルクではなく粉末状の澱粉に起因することが確認されているとの記載 (DFGOT vol. 22 (2006)) がある。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | 分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、優性致死試験で陰性と報告されている (IARC (1987)、ACGIH (7th, 2010)、DFGOT vol.22 (2006))。In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験、ヒト培養細胞を用いた染色体異常試験、ラット培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験及び不定期DNA合成試験のいずれも陰性である (IARC 42 (1987)、ACGIH (7th, 2010)、DFGOT vol. 22 (2006))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 初期の疫学研究ではアスベスト繊維を含有しないタルク (石英を含有) を職業的に吸入ばく露したヒトのコホート研究、5件中4件で中皮腫は認められず、タルクへの累積ばく露量が高レベルのコホート研究2件における高ばく露群の肺腫瘍発生率は全5件のデータを統合した肺腫瘍発生率より低値であった (IARC 93 (2010))。一方、1件のコホート研究報告で、亜集団に肺腫瘍発生率の増加がみられたが、この集団はラドンと石英に共ばく露され、コホート全体では肺腫瘍の発生率増加はみられていない (IARC 93 (2010))。また、コホート内症例対照研究においても、タルク粉じんへの累積吸入ばく露量の増加に伴う肺がんリスクの増加傾向は示されなかった (IARC 93 (2010))。実験動物でも、ラット、又はマウスに粒子径の小さい (粒子径10μm以下) 高純度 (繊維成分及びアスベスト様無機物を含まない) のタルクを2年間以上吸入ばく露 (6又は18 mg/m3) した発がん性試験において、いずれの種でも肺腫瘍の発生率増加はなく、特にラットでは肺に非腫瘍性変化が顕著に認められる濃度 (18 mg/m3) においても、肺腫瘍の発生率の増加はみられていない (IARC 93 (2010)、ACGIH (7th, 2010)、NTP TR421 (1993))。 一方、欧米ではタルクをベースとしたボディーパウダーがナプキンや避妊用具を介して女性の会陰部、生殖器官へ適用されてきた。IARCは全体で1件の前向きコホート研究、及び19件の症例対照研究を総括し、化粧用タルクの使用と卵巣がんのリスクの増加に関して、相対リスクの増加が多くの報告で示され、局所適用したタルクが卵巣へ逆行的に移行するという証拠は健常な女性では低いが、外科手術等によりクリアランス機能が低下した女性では逆行性移行の証拠が一定程度あるとして、タルク含有ボディーパウダーの会陰部使用による卵巣がんのリスク増加には限定的な証拠があると結論した (IARC 93 (2010))。 以上より、IARCはアスベスト、及びアスベスト様繊維を含有しないタルクについて、吸入経路ではグループ3に、タルクをベースとしたボディーパウダーの会陰部適用ではグループ2Bに分類した (IARC 93 (2010))。ACGIHはIARCによる発がん性評価結果を踏まえつつも、発がん性分類は職業ばく露のみに限定してA4に分類した (ACGIH (7th, 2010))。本評価ではIARCの「タルクベースの製品の会陰部適用でのグループ2B」は極めて限定された本物質の特異な用途及び適用経路における発がん性分類結果と判断し、本項の分類のための総合評価の観点からはこれを除外することとした。その上で、IARCの吸入経路での分類結果、並びにACGIHの分類結果が妥当と判断し、本項はアスベスト (又はアスベスト様繊維、無機物) を含有しないタルクに対して、「分類できない」とした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、タルク (成分情報非公開) をラット、又はマウスに1,600 mg/kg/dayで妊娠6-15日に、ウサギに900 mg/kg/dayで妊娠6-18日に経口投与した試験で、催奇形性は陰性であったとの記述がある (DFGOT vol. 22 (2006)、ACGIH (7th, 2010))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器) |
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質の急性影響を示す情報は少ない。ヒトでは、乳幼児のタルク吸入事故 (濃度等詳細情報不明) で、咳、くしゃみ、呼吸困難、息切れ、嘔吐、異物反応 (詳細不明)、肺の過負荷、呼吸障害、肺炎の報告がある (DFGOT vol. 22 (2006))。 実験動物では、ハムスターへの本物質 (比較的高純度のタルクを産出するVermontの作業場から採取したグラナイト (12% 石英) 及びタルクダスト (石英及びアスベスト不含) を使用) を用いる0.15、3.75 mg/100g 体重の気管内注入で、注入1日後、酵素濃度 (詳細不明) の増加、肺水腫、マクロファージ食作用の抑制、ばく露2週間後、グラナイトばく露群では急速に回復したが、タルクダストばく露群では酵素濃度 (詳細不明) 増加及びマクロファージ食作用抑制が継続したと報告がある (ACGIH (7th, 2010))。 以上のとおり、実験動物及びヒトのデータは限定的であるが、呼吸器への影響が懸念されることから、区分1 (呼吸器) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
吸入経路では、ヒトにおいて、職業ばく露により、肺機能障害、X線検査において肺の陰影の有症率増加の報告がある (ACGIH (7th, 2010))。 したがって、区分1 (呼吸器)とした。 なお、実験動物については、ラットを用いた113-122週間吸入毒性試験において、0.006あるいは0.018 mg/Lで肺の変化 (肉芽腫性炎症、間質性線維化、肺胞上皮の過形成、嚢胞、肺胞の扁平上皮化生)、マウスを用いた24ヶ月間吸入毒性試験おいて、0.006 mg/L以上で肺の変化 (慢性炎症、マクロファージの集簇) がみられている (ACGIH (7th, 2010))。これらの所見は、区分2を超える用量でみられている。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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