名称:t-アミルメチルエーテル【TAME 又は2-メチル-2-メトキシブタン】
CAS番号:994-05-8
物質ID: | H27-A-020/C-020A_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分2 | 危険 | H225: 引火性の高い液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点-11℃、沸点86.3℃ (ICSC (2014)) に基づいて区分2とした。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が430℃ (ICSC (2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、約2,100 mg/kg (ACGIH (7th, 2002))、2,152 mg/kg (EU-RAR (2006)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。ラットのLC50値 (4時間) として、> 5,400 mg/m3 (1,292 ppm) との報告 (HSDB (Access on June 2015)) があるが、このデータのみでは区分を特定できない。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (98,947 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404, GLP適合) において、本物質 (98.4%) 500 μLを4時間適応した結果、刺激性スコアは0であり刺激性なしと判断されている (EU-RAR (2006))。以上の結果から区分外と判断した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG405、GLP適合) において、発赤 (平均スコア1.7) 及び腫れがみられたが7日後には回復した (EU-RAR (2006))。以上の結果から区分2Bと判断した。なお、具体的な情報ではないが本物質は眼に対して刺激性はないとの記載がある (HSDB (Access on June 2015))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットを用いたビューラー試験 (GLP適合) において、本物質の原液適用 による皮膚反応はみられず感作性スコアは0 (20匹/群) であり、陽性対照群の反応率は100%であった。EU-RAR (2006) では本物質を感作性でないと判断している ((EU-RAR (2006))。以上の結果から区分外と判断した。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性である (ACGIH (7th, 2002)、EU-RAR (2006))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (ACGIH (7th, 2002)、EU-RAR (2006)、NTP DB (Access on July 2015))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットに本物質を250又は750 mg/kg/dayを78週間強制経口投与 (4日/週) し、全動物が自然死亡する143週まで観察を継続した発がん性試験において、血液・リンパ系腫瘍 (リンパ腫及び白血病) がχ2-検定では雌の高用量群のみで有意に増加したが、用量相関性の検定法では低用量群も含めて増加したとの報告がある (EU-RAR (2006)) が、死亡率を示すグラフがなく、評価に有効な動物数に対する腫瘍発生率を算出できない、一般状態の記載がない等、記述不十分な報告であること、本物質の構造類似物質であるメチル-tert-ブチルエーテルの2年間吸入毒性試験では血液・リンパ系腫瘍は認められなかったこと、等からこの試験結果は信頼性が低いと判断されている (EU-RAR (2006))。この他、発がん性に関する情報はヒト、実験動物ともになく、データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、本物質の蒸気をラットのF0、F1世代の雌雄親動物に最大3,000 ppmまでの用量範囲で、交配前、交配期間を経て、妊娠、哺育までの10週間吸入ばく露した2世代生殖毒性試験において、F0及びF1親動物に一般毒性影響 (運動失調、体重の低値、肝臓・腎臓相対重量の増加) がみられる1,500 ppm以上の用量で、F1及びF2児動物に離乳時まで体重の低値、生存率の低下、包皮分離の遅延 (F2世代雄のみ)、さらに3,000 ppmではF1及びF2児動物に膣開口の遅延、F2児動物のみに肛門-生殖突起間距離 (AGD) の短縮 (雌雄) がみられた (EU-RAR (2006)、ACGIH (7th, 2002))。また、妊娠ラットの妊娠6-19日、及び妊娠マウスの妊娠6-11日に、それぞれ本物質を250-3,500 ppmで吸入ばく露し、妊娠20日に帝王切開した催奇形性試験において、ラットでは母動物毒性 (体重低下、運動失調、嗜眠、緩徐呼吸、喘ぎなど) が顕著な高用量 (3,500 ppm) でも、胎児には体重の低値のみで、奇形誘発はなかったのに対し、マウスの試験では母動物毒性 (肝臓重量の増加 (1,500 ppm)、高用量の3,500 ppmでは死亡 (4/25)、摂餌量減少、嗜眠など重篤な毒性所見が追加) が発現する用量 (1,500 ppm以上) で、奇形 (主に口蓋裂) 発生頻度の増加が認められた (EU-RAR (2006)、ACGIH (7th, 2002))。 以上、ラット2世代試験で親動物に一般毒性影響がみられる用量で、F1及びF2児動物に成長遅延、並びにそれによると考えられる二次的影響として性成熟の遅延、及びAGDの短縮がみられた。発生毒性影響としてもラット、マウスともに母動物毒性がみられる用量で胎児毒性が発現し、マウスでは加えて奇形発生頻度の増加もみられた。以上より、区分2に分類した。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) |
危険 警告 |
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) H370: 臓器の障害(呼吸器) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性がある (EU-RAR (2006))。ヒトのデータはない。 実験動物では、ラットの5.4 mg/Lの吸入ばく露でラ音、1.04, 6.27, 14.62 mg/Lで横臥、努力呼吸、嗜眠、中枢神経系抑制、2.09, 8.36, 16.72 mg/Lで鎮静、昏睡、運動失調、眼瞼下垂、過敏性、活動低下、姿勢異常、マウスの1.04, 6.27, 14.62 mg/L吸入ばく露でもラットと同様の症状がみられている。また、ラットの2,000, 2,500 or 3,000 mg/kgの経口投与で鎮静、運動失調、衰弱、体温低下、呼吸困難、ラ音、立毛などがみられている (EU-RAR (2006))。 以上の所見より、本物質は麻酔作用が認められる。また、吸入ばく露でのラ音から、区分1相当の用量で呼吸器影響が考えられた。 従って、区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ヒトに関する情報はない。 ラットを用いた90日間吸入毒性試験において1,500 ppm (ガイダンス値換算: 4.6 mg/L) (ACGIH (7th, 2002)、EU-RAR (2006))、4週間吸入ばく露試験において2,000 ppm (ガイダンス値換算: 1.9 mg/L) で中枢神経系の抑制作用 (ACGIH (7th, 2002)、EU-RAR (2006)、PATTY (6th, 2012))、マウスを用いた90日間吸入毒性試験において1,500 ppm (ガイダンス値換算: 4.6 mg/L) で中枢神経系の抑制作用、肝臓の小葉中心性間細胞肥大がみられた (ACGIH (7th, 2002)、EU-RAR (2006))。これらは区分2を超える用量であった。 ラットを用いた28日間強制経口投与毒性試験において125 mg/kg/day (90日換算: 38.9 mg/kg/day) で副腎の絶対・相対重量の増加がみられた (EU-RAR (2006))。しかし、重量変化のみであったため分類に用いなかった。 また、経皮経路では情報が得られなかった。 以上のように吸入経路、経口経路では弱い影響しかみられなかったものの、経皮経路での情報がないことから、データ不足のため分類できないとした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質は炭化水素ではなく、動粘性率が0.5 mm2/sec であるが、表面張力のデータがなく、ヒトでの吸引性呼吸器有害性の事例報告もないため、R65に該当しないと記載されている (EU-RAR (2006))。すなわち、データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(ミシッドシュリンプ)96時間LC50 = 14 mg/L(SIAP, Conclusions Agreed in SIAM21,2005、EU-RAR, 2006)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性に関する適切なデータが得られていないが、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 77 mg/L(SIAP, Conclusions Agreed in SIAM21,2005、EU-RAR, 2006)、甲殻類(ミシッドシュリンプ)の28日間NOEC = 3.39 mg/L(EU-RAR, 2006)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性に関する適切なデータが得られていないが、、魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 580 mg/L(SIAP, Conclusions Agreed in SIAM21,2005、EU-RAR, 2006)であることから、区分外となる。 以上の結果から、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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