GHS分類結果

名称:1-ブテン【α−ブチレン】
CAS番号:106-98-9

結果:
物質ID: H27-B-004/C-025B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
UNRTDG分類 UN1012 クラス2.1である (爆発限界下限1.6%、上限10% (ICSC (1999))。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - UNRTDG分類クラス2.1の可燃性/引火性ガスに分類されている。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 臨界温度 (146.5℃ (1-ブテン) (GESTIS (Access on June 2015)) は65℃を超えているため、液化ガス (低圧液化ガス) とした。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、1-ブテン (0.935 vol%) を含むブテン混合物 (trans-2-ブテン (55.3 vol%)、cis-2-ブテン (42.4 vol%)、その他 (2.2 vol%)) のラットのLC50値 (4時間) として、> 10,000 ppmとの報告 (SIDS (2012)) がある。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、液体のブテンとの接触により凍傷を引き起こす可能性があるとの記載がある (SIDS (2012))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
詳細な情報はないが、本物質は眼に軽度の刺激性あり (HSDB (Access on June 2015)) との記載があることから区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス赤血球の小核試験で陰性 (ACGIH (7th, 2008))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (SIDS (2012))。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットに本物質を交配前2週間、交配期間を経て妊娠19日まで吸入ばく露し、その後哺育4日まで維持した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、8,000 ppmまでの試験濃度で、親動物には一般毒性、及び生殖毒性影響ともにみられず、児動物の生後4日までの発生影響もみられないとの報告がある (SIDS (2012)、ACGIH (7th, 2008))。ただし、本データはスクリーニング試験の結果であり、他に利用可能なデータが得られておらず、データ不足のため分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - 実験動物 (ラット、マウス) では、1-ブテンの吸入ばく露 (17.2-22.7%) で、10分以内に麻酔作用を引き起こしたとの知見、21-27% (210,000-270,000 ppm) の1-ブテンの吸入ばく露後、窒息を引き起こしたとの報告がある (ACGIH (7th, 2008)、SIDS (2012)、PATTY (6th, 2012))。ヒトのデータはない。 上記の窒息及び麻酔作用は、限られた空間での酸素欠乏によるものであるため、「分類できない」とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ヒトに関する情報はない。 実験動物では、ラットを用いた吸入経路での反復投与・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG422) において、最高用量の8,000 ppm (ガイダンス値換算:3,733 ppm) まで影響はみられていない (SIDS (2012))。この用量は区分2のガイダンス値を超えている。 しかし、この試験はスクリーニング試験であり、判断に足る十分なデータが得られていないことから分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - 適切なデータが得られておらず、分類できない。 なお、SIDSではQSARの推定値として、藻類96時間EC50 = 12 mg/L、甲殻類48時間EC50 = 19 mg/L、魚類96時間LC50 = 18 mg/L (いずれもSIDS, 2012)と報告されているが、分類には用いなかった。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - 適切なデータが得られておらず、分類できない。 なお、SIDSではQSARの推定値として、藻類の96時間chronic value = 1.6 mg/L、甲殻類の16日間chronic value = 1.2 mg/L、魚類の30日間chronic value = 2.4 mg/L(いずれもSIDS, 2012)と報告されているが、分類には用いなかった。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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