GHS分類結果

名称:三フッ化アルミニウム
CAS番号:7784-18-1

結果:
物質ID: H27-B-017/C-038B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性である (GESTIS (Access on June2015))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性である (GESTIS (Access on June2015))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性である (GESTIS (Access on June2015))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。水溶解度:0.559 g/100 mL (HSDB (Access on June2015))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素を含まずハロゲン元素 (F) を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P361+P364: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスのLD50値として、103 mg/kgとの報告 (HSDB (Access on June 2015)) に基づき、区分3とした。なお、ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (GESTIS (Access on June 2015)) との情報があるが、出典が不明である。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値 (4時間) として、0.53 mg/L (GESTIS (Access on June 2015)) との情報があるが、出典が不明である。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
本物質は重度の眼刺激性があるとの記載や (HSDB (Access on June 2015))、組織に強い刺激性があるとの記述 (HSDB (Access on June 2015)) があることから区分2とした。なお、List3の情報にも本物質は眼に対して刺激性を有するとの記載がある (GESTIS (Access on June 2015)) 。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、本物質及び硫酸アルミニウムを扱う職業ばく露において刺激性の粒子による喘息症状が報告されている (EHC 194 (1997))。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性である (NTP DB (Access on August 2015))。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、ACGIHは金属アルミニウム及び不溶性アルミニウム化合物に対し、また、フッ素化合物に対し、それぞれA4に分類している (ACGIH (7th, 2001) Fluorides、HSDB (Access on June 2015))。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
List 1 の情報源からは分類に利用可能なデータは得られなかったが、List 2 のHSDBに催奇形性試験結果についての記述がある。すなわち、妊娠ラットの妊娠期間を通して、本物質を吸入ばく露した催奇形性試験において、0.03-0.2 mg/m3で受精卵の着床前胚致死率の増加、さらに高濃度では胎児毒性、催奇形性が生じたと報告されているが、母動物毒性については記述がない (HSDB (Access on June 2015))。ただし、原著 (Lenchenko, V.G. et al. (1974)) はロシア語で、詳細内容の確認は困難であるが、極めて低濃度から胚致死、奇形誘発など重大な生殖毒性影響を示唆する報告であることを考慮し、本項はこの1報告のみにて区分2に分類した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は気道刺激性を有し、鼻血、嘔吐を引き起こす (HSDB (Access on June 2015)) とのデータに基づき、区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (骨) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(骨) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質のデータはない。 本物質はアルミニウムの精錬において添加剤として用いられる。 アルミニウム精錬でフッ化物のばく露を受けた労働者の疫学調査において、比較的高濃度 (2.4-6.0 mg/m3) のばく露を受けた従業員107人の大多数が10年間のばく露後にフッ素沈着症になり、15年後に脊柱の可動性が制限された中等度から重度の骨硬化症が認められた (ACGIH (7th, 2001) Fluorides)。また、フッ化物の職業ばく露により労働者が平均2.65 mg/m3の濃度では労働者に骨の病変はみられず、平均3.38 mg/m3の濃度で骨の変化がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001) Fluorides)。 したがって、区分1 (骨) とした。 なお、本物質による歯への影響は報告されていないが、フッ素の多量の摂取は主として骨格組織 (骨と歯) に影響を及ぼすことが明らかにされており、歯のフッ素症は骨とは異なり、通常生後から6あるいは8歳までの歯の発達の段階にのみ生じること (IPCS 227 (2002))、1.5 mg/LというWHOの飲料水ガイドライン値を超える濃度は、歯のフッ素症の増加のリスクを伴い、さらにもっと高い濃度では骨フッ素症に至ること (WHO (2011) Guidelines for drinking-water quality ? 4th ed.)、などから、本物質による小児での歯への影響の可能性も考えられる。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - 適切なデータが得られておらず分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - 適切なデータが得られておらず分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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