GHS分類結果

名称:2-メチル-5-ニトロアニリン【5-ニトロ-o-トルイジン】
CAS番号:99-55-8

結果:
物質ID: H27-B-026/C-047B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 爆発性に関連する原子団 (N-O) を含み、酸素収支が-168.42と判定基準の-200より高い。しかし、爆発性試験のデータが無く分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団 (NーO) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素、水素以外の元素 (N) と化学結合しているがデータがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値として、574 mg/kg (DFGOT vol. 6 (1994)、DFGOT vol. 21 (2005)) に基づき、区分4とした。DFGOT vol. 6 (1994)、DFGOT vol. 21 (2005) に基づき、区分を見直した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、具体的な情報ではないが、本物質は皮膚に対して刺激性を示す可能性があるとの記載がある (NTP TR107 (1978)、DFGOT vol.6 (1994))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
In vivoでは、経口投与によるマウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (DFGOT vol. 6 (1994))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性 (IARC 48 (1990)、ACGIH (7th, 2007)、PATTY (6th, 2012) 、DFGOT vol. 6 (1994)、NTP DB (Access on August 2015)) と報告されていることから、ガイダンスに従い区分2とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでの発がん性に関する情報はない。実験動物ではラット、又はマウスに78週間混餌投与した後、ラットで30週間後、マウスで20週間後に剖検した結果、ラットでは高用量の雄で肝細胞がんの増加傾向がみられたのみであったが、マウスでは雌雄ともに肝細胞がんの用量依存的な増加が認められた (ACGIH (7th, 2007)、NTP TR107 (1978)、IARC vol. 48 (1990))。また、C-Ha-ras 遺伝子を導入した遺伝子改変マウスを用いた2年間混餌投与試験においても、用量依存的な肝臓悪性腫瘍の誘発が認められたとの記述がある (ACGIH (7th, 2007))。国際機関による発がん性分類結果としては、初期のIARCによるグループ3 (IARC vol. 48 (1990)) に対し、ACGIHはA3に (ACGIH (7th, 2007))、DFGはカテゴリー2 (DFGOT vol. 21 (2005))、EU CLP分類ではCarc. 2 (ECHA CL Inventory (Access on June 2015)) に分類されている。よって、ACGIH及びEUの発がん分類結果を基に、分類ガイダンスに従い「区分2」とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (血液系) 危険 H370: 臓器の障害(血液系) P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の情報は少ないが、ヒトでは、本物質の主たる影響は、メトヘモグロビン血症であり、唇、指の爪の青色化、頭痛、吐き気、倦怠感の記載がある。 実験動物では、ネコ、モルモットの腹腔内投与 (それぞれ5-10 mg/kg、600-700 mg/kg) でメトヘモグロビン血症が認められているが、この症状は、ウサギでは見られていない (ACGIH (7th, 2007))。分類ガイダンスに従い、このばく露経路 (腹腔内) は区分の対象としなかった。以上より、本物質は血液系への影響があり、区分1 (血液系) とした。新たな情報を追加し、区分を見直した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
労働環境におけるばく露例で、15人中 3人が急性肝機能障害で入院、7人に血液検査により肝機能障害が認められた。なお治療により症状が回復している期間、生検の組織学的所見では急性肝炎と類似していたとされる (ACGIH (7th, 2007))。したがって、区分1 (肝臓) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の96時間EC50 = 101.5 uM (AQUIRE, 2016、HSDB, 2009)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BioWin)、急性毒性区分3であることから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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