名称:2-エチルヘキシル10-エチル-4,4-ジオクチル-7-オキソ-8-オキサ-3,5-ジチア-4-スタンナテトラデカノネート【DOTE】
CAS番号:15571-58-1
物質ID: | H27-A-029/C-059A_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 引火点が117℃ (closed cup) (GESTIS (Access on July 2015)) である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。 水溶解度 :< 0.1 mg/L (SIDS (2009)) |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、2,000 mg/kg、2,775 mg/kg、3,050 mg/kg (SIDS (2009)) に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (SIDS (2009)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG404、GLP準拠) において、本物質を90%含む溶液 (10% Octyltin tris (2-EHMA) CAS番号: 27107-89-7) を適用した結果、軽度の落屑がみられたが10日以内に回復したとの報告がある (SIDS (2009))。以上の結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質の原液 (> 98%) 0.1 mLを結膜嚢に96時間適用した結果、結膜の刺激性が観察されたが4日以内に回復したとの報告がある (SIDS (2009))。以上より、区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
モルモットに本物質を90%含む溶液 (10% Octyltin tris (2-EHMA) CAS番号: 27107-89-7) を適用した感作性試験 (OECD TG 406、GLP準拠) において、陽性反応がみられたとの報告がある (SIDS (2009))。また、本物質を含む溶液 (本物質70%、Octyltin tris (2-EHMA) 30%) を用いた感作性試験 (OECD TG 406、GLP準拠) において、明確な陽性反応がみられたとの報告がある (SIDS (2009))。以上の結果から区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性、陽性のデータが報告されている (SIDS (2009))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質自体のデータはないが、WHO (CICAD 73 (2006))、OECD (SIDS (2009)) は本物質の有害性をジオクチルスズ化合物として類縁物質の試験データを基に評価している。すなわち、SIDSでは本物質とジオクチルスズ・ジクロリド (DOTC: CAS番号: 3542-36-7)、及びジオクチルスズ・ビス (イソオクチルチオグリコレート) (DOT (IOTG) : CAS番号: 26401-97-8) の3物質を同一カテゴリー物質として扱い、本物質以外の2物質については実験動物の生殖発生毒性に係る試験結果があり、催奇形性を含む強い生殖発生毒性が報告されている (SIDS (2009)、CICAD 73 (2006))。 すなわち、DOT (IOTG) とモノオクチル体のMOT (IOTG) を78.8:16.9 の割合で含む混合物をラットに混餌投与した2世代生殖毒性試験で、F0、F1世代の親動物に胸腺重量の減少、F1世代に死産の増加がみられ、NOAELは 20 ppm (0.5〜0.7 mg/kg/day) である (SIDS (2009)) との記述、DOTC (94.1%) をラットに混餌投与した簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) で、親動物では低用量 (10 ppm: 0.5〜0.7 mg/kg/day) 以上で胸腺リンパ球の著減、中用量の 100 ppm (4.2〜5.9 mg/kg/day) 以上で体重増加量、胸腺重量減少、同腹児数の減少、死産の増加、児動物では矮小児の増加、生後4日までの新生児死亡例の増加が示された (SIDS (2009)) との記述から、一般毒性影響とともに、生殖発生影響が極めて低用量から認められている。 一方、発生毒性としては、DOT (IOTG) と MOT (IOTG) の80 : 20混合物をマウス、ラット、又はウサギの器官形成期に強制経口投与した催奇形性試験において、ラットでは母動物に体重増加抑制がみられる用量 (25 mg/kg/day) で、胎児死亡の増加がみられたのみであったが、マウスでは母動物に胸腺重量の減少がみられる用量 (45 mg/kg/day) をやや上回る用量 (67 mg/kg/day) から口蓋裂、さらに100 mg/kg/dayでは前肢又は後肢の彎曲、肋骨の彎曲又は癒合、脊柱彎曲、外脳症など奇形発生の頻度増加がみられている (SIDS (2009)、CICAD 73 (2006))。また、ウサギでは100 mg/kg/day まで投与しても母動物に一般毒性影響はみられなかったものの、胎児には10 mg/kg/day で頭蓋骨の骨化不全、100 mg/kg/day で内臓の奇形 (腎盂拡張、動脈弓に発生源が由来する小血管の奇形、骨格異常) がみられ、最小の発生毒性NOAEL値として、胎児への影響から 1 mg/kg/day と報告されている (SIDS (2009)、CICAD 73 (2006))。 以上、本物質の類縁化合物のジオクチルスズ化合物には実験動物で催奇形性を含む強い生殖発生影響がみられており、本物質も同様の有害性を考慮すべきと考え、本項は「区分1B」とした。 なお、EUは本物質 (DOTE)、及び本物質とMOTE の反応生成物に対して、Repr.1B としてSVHC指定している (ECHA (Access on July 2015))。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3 (麻酔作用) | 警告 | H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質のヒトのデータはない。実験動物では、ラットの経口投与で、立毛、呼吸困難、円背位、活動低下、協調運動失調などが報告されている。したがって、麻酔作用と判断した (SIDS (2009))。 以上より、区分3 (麻酔作用) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (免疫系)、区分2 (肝臓、腎臓) |
危険 警告 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、腎臓) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(免疫系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質の情報はない。 本物質を含む混合物の情報として、本物質 (CAS番号: 15571-58-1):Octyltin tris (2-EHMA) (CAS番号: 27107-89-7): Trioctyltin (2-EHMA) (CAS番号: 61912-55-8) (97.0:0.3:2.17% 混合物) のラットを用いた13週間混餌投与毒性試験において、区分1の範囲である100 ppm (雄4〜5 mg/kg/day、雌:6 mg/kg/day) 以上で肝臓・腎臓の相対重量増加、胸腺の重量減少・萎縮・リンパ球減少、血液学的及び尿所見の異常、区分2の範囲である250 ppm (雄11〜12 mg/kg/day、雌:15 mg/kg/day) 以上で肝臓・腎臓の病理組織学的変化 (詳細記載なし) の報告がある (SIDS (2009))。 また、本物質 (CAS番号: 15571-58-1):Octyltin tris (2-EHMA) (CAS番号: 27107-89-7) (70:30%混合物) のラットを用いた13週間混餌投与毒性試験において、区分1の範囲である50 ppm (3.3 mg/kg/day) 以上で胸腺の絶対・相対重量減少の報告がある (SIDS (2009))。 1つ目の試験では本物質を97%含んでおり、分類に用いることが可能と考えた。 有機スズ、とくにジブチルスズ、ジオクチルスズ 、トリブチルスズ は、げっ歯類の胸腺重量の減少及び細胞密度の低下を招くこと、有機スズに誘発される胸腺萎縮及びその結果阻害されるT 細胞依存性免疫反応の考え得るいくつかの作用機序が示唆されている (CICAD 73 (2006)) ことから、胸腺への影響は免疫系への影響とした。 したがって、区分1 (免疫系)、区分2 (肝臓、腎臓) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(セネデスムス)72時間EC50 = 0.17 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.17 mg/L(いずれもSIDS, 2009)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BioWin)、藻類(セネデスムス)の72時間NOEC(r) = 0.04 mg/L(SIDS, 2009)であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50 > 24.8 mg/L(SIDS, 2009)であり、水溶解度(推定値:1.22×10^-12 mg/L(PHYSPROP Database, 2009))まで影響はみられていないが、急速分解性がなく、生物蓄積性があると推定される(log Kow=15.35(>4.0、推定値、PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分4となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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