GHS分類結果

名称:酒石酸アンチモニルカリウム (三水和物)
CAS番号:28300-74-5

結果:
物質ID: H27-B-039/C-075B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。水溶解度:83,000 mg/L (20℃) (HSDB (Access on July 2015))
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素はアンチモン及びカリウムとイオン結合した酸素イオンであり、酸化性はない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P361+P364: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値として、115 mg/kg (NITE有害性評価書 (2008)) 及び84 mgSb/kg (C8H4K2O12Sb2・3 H2Oとして:230 mg/kg) (DFGOT vol. 23 (2007)) との報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、本物質をヒトの有傷皮膚に軟膏として適用した結果、わずかな刺激性がみられたとの報告がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
In vivoでは、本物質の腹腔内投与によるラット骨髄細胞の染色体異常試験で陽性 (DFGOT vol. 23 (2007))、本物質を投与したヒト (患者) の末梢血リンパ球を用いた染色体検査において陽性の報告がある (HSDB (Access on Augusut 2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、NTP DB (Access on August 2015))。In vivo体細胞変異原性陽性結果があるため、区分2とした。
6 発がん性 分類できない - - - - ACGIH (ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会 (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2013)) ともに三酸化アンチモン以外は発がん性の分類区分を付しておらず、本物質についてもデータ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、妊娠マウスに妊娠11日に本物質30 mg/kgを単回投与 (経路不記載) したが、胎児に骨格異常はみられなかった (DFGOT vol. 23 (2007)) との記述がある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の情報はない。アンチモン及びその化合物は、気道刺激性があるとの記載 (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分3 (気道刺激性) とした。 なお、旧分類の記載にある肺への影響や肺水腫の記載は確認できなかった。 情報を確認し、旧分類を見直した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2 (肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトに関する情報はない。 実験動物では、ラットを用いた13週間飲水投与毒性試験において区分2の範囲である500 ppm (雄:42.2 mg/kg/day、雌:45.7 mg/kg/day) で摂水量減少、体重増加抑制、腎臓相対重量減少、血清中クレアチニン減少、ALP 活性減少、雄で 血尿、肝硬変、雌で 肝臓における細胞核大小不同、血清中コレステロール、総タンパク質量減少がみられている (NITE初期リスク評価書 (2008)、DFGOT vol. 23 (2007))。 したがって、区分2 (肝臓) とした。 なお、旧分類の肺、心血管系の根拠であるACGIH の「アンチモン及び化合物」の記載は、高濃度の急性及び慢性ばく露で肺炎、心臓及び血液学的疾患が予想される (ACGIH (7th, 2001)) との記載であり 、アンチモンヒュームによる肺炎、三酸化ニアンチモンによる塵肺、三硫化アンチモンによる心臓疾患を基にしたものと考えられることから、分類根拠としなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オカメミジンコ)24時間LC50 = 4920 μgSb/L(換算値:13.5 mg/L, AQUIRE, 2016)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急性毒性区分3であり、急速分解性に関する適切なデータが得られていないことから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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