GHS分類結果

名称:4,4'-(4-イミノシクロヘキサ-2,5-ジエニリデンメチル)ジアニリン塩酸塩【CIベイシックレッド9】
CAS番号:569-61-9

結果:
物質ID: H27-B-041/C-077B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素はアニリニウムとイオン結合した塩素イオンであり、酸化性はない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、5,000 mg/kg (RTECS (Access on August 2015) 原著:Robert B. Burrows "Human and Veterinary Anthelmintcs" (1965〜71), Progress in Drug Research, vol. 17, (1973), 118) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
本物質 (4〜8 mg) をウサギの結膜嚢に10分間適用した結果、眼に傷害がみられたとの記載があるが、回復性についての記載はない (HSDB (Access on August 2015))。以上より、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ガイダンスに従い、分類できないとした。すなわち、In vivoでは、経口投与によるラット骨髄細胞の小核試験で陰性である (NTP DB (Access on August 2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験では陰性、陽性の知見、哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験で陰性である (IARC 99 (2010))。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトではマゼンタの製造工程ではマゼンタ (4種のマゼンタ染料化合物 (Magenta 0、T、U、V) のうち代表的物質が本物質 (Basic Red 9 (Magenta 0)) を含む複合ばく露による膀胱がんの過剰リスクが示唆されているが、本物質ばく露による発がん性の証拠としては不十分と評価された (IARC 100F (2012))。 実験動物ではラット又はマウスを用いた経口経路 (混餌) による2年間発がん性試験において、ラットで肝細胞がん (雄)、甲状腺濾胞上皮の腺腫とがん (雄)、及びそれらの合計 (雌)、ジンバル腺がん (雌雄)、皮下線維腫 (雌雄)、皮膚の扁平上皮がん (雄)、同毛包上皮腫 (雌) など、一方マウスでは肝細胞がん (雌雄)、副腎褐色細胞腫 (雄) の発生頻度の増加が示され、発がん性の十分な証拠があると結論された (IARC 100F (2012))。国際機関による分類結果は、IARCがグループ2B (IARC 100F (2012))、NTPがR (NTP RoC (13 th, 2014))、EU CLP分類が Carc. 1B (ECHA CL Inventory (Access on August 2015))、日本産業衛生学会が2B (許容濃度の勧告 (2015)) であり、分類ガイダンス上では区分1B、又は区分2に該当する。ただし、EUがCarc. 2ではなく、1Bとした根拠は不明であるため、IARC評価を優先するとのガイダンスに従い、本項は区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。 ラットを用いた13週間混餌投与毒性試験において、4,000 ppm (約400 mg/kg/day) での甲状腺腫と肝臓の脂肪変化、2,000 ppm (約200 mg/kg/day) 以上での甲状腺の過形成と下垂体の好塩基性過形成がみられた (IARC 57 (1993))。ラットを用いた混餌投与による2年間発がん性試験では雄で2,000 ppm (約158 mg/kg/day) 、雌で1,000 ppm (約92 mg/kg/day)、マウスを用いた混餌投与による2年間発がん性試験では1,000 ppm (雄で172 mg/kg/day、雌で173 mg/kg/day)で非腫瘍性の毒性変化については記載されていない (NTP TR 285 (1986))。以上より、経口経路では区分2を超える範囲で影響がみられたが、ヒト及び他経路における毒性情報がなく、本項はデータ不足のため分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - デ-タ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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