GHS分類結果

名称:塩化コバルト(II)
CAS番号:7646-79-9

結果:
物質ID: H27-B-053/C-089B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性である (GESTIS (Access on August 2015))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性である (GESTIS (Access on August 2015))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性である (GESTIS (Access on August 2015))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。 水溶解度:529 g/L (20℃) (GESTIS (Access on August 2015))
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 塩素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P361+P364: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値として、80 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013))、93.4 mg/kg (CICAD 69 (2006)、ATSDR (2004))、161.1 mg/kg (ATSDR (2004))、418 mg/kg (CICAD 69 (2006))、418 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013)) との5件の報告がある。3件が区分3に2件が区分4に該当するので、最も多くのデータが該当する区分3とした。今回の調査で入手した情報を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。なお、ラットのLDLo値として、2,000 mg/kg (RTECS (Access on September 2015)) との報告があるが、List 3の情報であり、原著による確認ができなかったため、分類には採用しなかった。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
本物質はヒトの皮膚に対して刺激性を持つ (HSDB (Access on September 2015)) との記載があることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
本物質は眼を刺激するとの記載があることから (環境省リスク評価第11巻 (2013)、HSDB (Access on September 2015))、区分2とした。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P284: 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の職業ばく露において本物質ばく露による喘息の報告が複数ある (DFGOT vol.23 (2007))。また、日本産業衛生学会はコバルト化合物として気道感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、感作性に関わる全ての物質が同定されているわけではないとの記載がある (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。本物質はEU CLP分類において「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において本物質適用による感作性がみられたとの報告や (DFGOT vol.23 (2007))、ヒトへのパッチテストで陽性結果が複数報告されている (DFGOT vol.23 (2007))。また、日本産業衛生学会はコバルト化合物として皮膚感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、感作性に関わる全ての物質が同定されているわけではないとの記載がある (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、染色体異常試験で陽性 (CICAD 69 (2006)、DFGOT vol. 23 (2007))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、ヒト培養リンパ球の小核試験でいずれも陽性である (DFGOT vol. 23 (2007))。以上より、in vivo体細胞変異原性試験で陽性であり、ガイダンスに従い、区分2とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質を含む可溶性コバルト化合物のヒトでの発がん性に関する情報はない。実験動物では本物質粉末 (塩化コバルト) をラットに40 mg/kgで9日おきに5回皮下注射し、12ヶ月後の剖検で、皮下に線維肉腫の発生を認めたとの結果(IARC 52 (1991))、また、水溶性コバルト化合物を用いた発がん性評価として、硫酸コバルト・7水和物をラット、又はマウスに2年間吸入ばく露した発がん性試験において、いずれの種、性でも肺胞/細気管支の腺腫、又はがんの発生頻度に用量依存的な増加が認められた (IARC 86 (2006)) ことから、IARCは実験動物では発がん性の十分な証拠があると結論し、コバルト及びコバルト化合物全体の発がん性を「グループ2B」に分類した (IARC 52 (1991))。また、2006年の再評価では、硫酸コバルト及び他の可溶性コバルト(II) 塩類に対し、グループ2Bとした (IARC vol. 86 (2006))。この他、ACGIH がコバルト (金属元素及び無機化合物) に対し「A3」に、日本産業衛生学会がコバルト及びコバルト化合物に対し「2B」に分類している (ACGIH (7th, 2001))。以上より、分類ガイダンスに従い、本項は区分2とした。なお、EUは本物質の分類を「Carc. 1B」とし、SVHC指定の根拠とされている (ECHA Candidate List of substances of very high concern for Authorisation (Access on September 2015))。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの生殖影響に関する情報はない。 実験動物では本物質 (塩化コバルト) に関しては、雄マウスに13週間経口 (飲水) 投与後に、未処置雌と交配させた結果、400 mg/L (47 mg/kg/day) 以上の用量で雌の受胎率の低下が示され、雄には精巣重量、精子数及び精子運動能の減少、血清テストステロン濃度の増加がみられた (IARC 86 (2006)、環境省リスク評価第11巻 (2013)) との記述、並びに妊娠ラットに妊娠14日から哺育21日まで経口 (飲水) 投与した結果、母動物毒性発現用量 (毒性の内容は不記載) で、新生児に生後死亡率の増加、成長抑制が認められた (IARC 86 (2006)、CICAD 69 (2006)、環境省リスク評価第11巻 (2013)) との記述がある。また、可溶性コバルト化合物の試験成績として、硫酸コバルトを妊娠ラット、又は妊娠マウスに強制経口投与 (ラット: 妊娠6〜15日、マウス: 妊娠1〜20日、25〜100 mg/kg/day) した試験で、発生毒性影響として、低重量胎児の比率の増加、胎児死亡、骨化遅延がみられ、妊娠ウサギへの強制経口投与 (妊娠6〜20日) でも、20 mg/kg/day で母動物の体重増加抑制と低重量胎児の比率の増加がみられた (CICAD 69 (2006)、ATSDR (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013))。 以上、本物質を用いた経口経路での生殖毒性影響として、雄親動物に精巣毒性が明らかな用量で受胎率の低下、及び妊娠動物への妊娠期・哺育期投与で新生児の生存率低下、発育阻害がみられた。また。可溶性コバルト化合物である硫酸コバルトの妊娠雌動物への器官形成期投与でも、胎児に重量低値、死亡率増加など胎児毒性がみられたことから、本項は区分2とした。なお、EUは本物質の分類を「Repr. 1B」とし、SVHC指定の根拠とされている (ECHA Candidate List of substances of very high concern for Authorisation (Access on September 2015))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、消化管、肝臓、腎臓)、区分3 (気道刺激性) 警告
危険
H370: 臓器の障害(中枢神経系、消化管、肝臓、腎臓)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。ヒトにおいては、約1.7 mgを摂取した6歳男児の症例報告で、ばく露7時間後に好中球減少症 (neutropenia) が報告されている (ATSDR (2004))。実験動物では、ラットの経口投与 (区分1相当の用量) で、自発運動低下、筋緊張低下、接触応答低下、呼吸数減少、肝臓、腎臓、胃腸管への影響、死亡 (死亡原因は不明との記載) がある (ATSDR (2004))。その他、動物種や用量は不明ながら、経口投与で鎮静、下痢、体温低下、また、モルモットの吸入ばく露 (用量不明) で、肺出血、肺水腫、死亡の報告がある (IARC 52 (1991))。 ヒトにおける好中球減少症は1例の所見であるため、血液系への影響は採用しなかった。 以上より、本物質は気道刺激性の他、実験動物の所見から中枢神経系への影響、肝臓、腎臓、消化管への影響が考えられ、区分1 (中枢神経系、消化管、肝臓、腎臓)、区分3 (気道刺激性) とした。 なお、旧分類のHSDB (2004) の所見が記載されており、「子供に赤血球の生成の抑制によるチアノーゼ、昏睡及び死に至るとの記述」、及び「本物質による影響には胸骨後面痛、耳鳴り、吐き気及び嘔吐、神経性難聴、気管圧迫を伴う甲状腺過形成、粘液水腫、倦怠感などが記述」 いずれの文献もtherapenticsとの記載があることから、ヒトの治療事例と推察され、単回ばく露の対象とはしなかった。 旧分類の区分を見直した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系) 、区分2 (精巣) 警告
危険
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(精巣)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて、貧血の治療用に本物質、又は硫酸コバルトを投与した際の過剰障害として、神経系 (食欲不振、吐き気、耳鳴り、難聴、神経障害)、甲状腺 (甲状腺腫、甲状腺へのヨウ素の取り込み阻害) への影響、ボランティアに本物質を経口投与した結果、赤血球系の造血亢進がみられた他、自覚症状として頭痛、腹部不快感の主訴が多かった (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)) との報告がある。また、かつてビールの泡の安定化目的で、硫酸コバルトが添加されており、多量にコバルトを含むビールの大量消費者に心筋症による死亡例が報告され、コバルトの心筋障害作用が懸念され (CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001))、コバルトの添加制限を行うことにより、心筋症の発生、それによる死亡例は消失したとされる (環境省リスク評価第11巻 (2013))。以上より、ヒトでの本物質を含む可溶性コバルト化合物の反復ばく露による標的臓器として、神経系、心血管系、甲状腺、血液系が挙げられる。 実験動物ではラットに本物質を7ヶ月間強制経口投与した試験において、0.5 mg/kg/day以上の用量で、赤血球数及びヘモグロビン量の増加が認められている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。また、本物質の6水和物をラットに8週間強制経口投与した試験でも血液影響がみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。この他、硫酸コバルト7水和物のラット、又はマウスを用いた13週間、又は2年間吸入ばく露試験において、ラット、マウスともに0.3 mg/m3の低濃度から、呼吸器に炎症性組織変化がみられ、ラット13週間ばく露では、加えて血液影響 (多血症、血小板数減少、網状赤血球数増加) もみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。この他、雄マウスに本物質を200〜800 ppmの濃度で12週間飲水投与した試験で、400〜800 ppm (43〜96 mg/kg/day: 区分2相当) で精巣重量減少、精巣上体精子数の減少、精子形成能の低下、精細管及び間質組織の変性がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)) との報告がある。以上より、実験動物での本物質を含む可溶性コバルト化合物の標的臓器は呼吸器、血液系、精巣と考えられ、精巣は区分2、他は区分1の用量範囲での影響であった。 以上、ヒト及び実験動物での本物質を含む可溶性コバルト化合物の反復ばく露影響に関する情報に基づき、本項は区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系)、区分2 (精巣) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
単子葉植物(コウキクサ)7日間EC50 (生長、湿重量) = 212 μgCo/L(換算値:0.47 mg CoCl2/L相当)(環境省リスク評価第11巻, 2013)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
慢性毒性データを用いた場合、金属で水中での挙動が不明であり、魚類(ゼブラフィッシュ)の16日間NOEC (生存) = 0.06 mg Co/L(換算値:0.13 mg CoCl2/L)(CICAD 69, 2006)であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、金属で水中での挙動が不明であり、甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50 = 1110 μgCo/L(換算値:2.4 mg CoCl2/L相当)(環境省リスク評価第11巻, 2013)であることから、区分2となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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