GHS分類結果

名称:1,2-ジエチルヒドラジン
CAS番号:1615-80-1

結果:
物質ID: H27-B-061/C-097B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 爆発性に関連する原子団 (ヒドラジン) を含むが、データがなく分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 化学構造に自己反応性に関連する原子団を含まず、爆発性に関連する原子団 (ヒドラジン) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、本物質が皮膚に接触すると刺激を起こすとの記載がある (HSFS (2001))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、本物質が眼に接触すると刺激を起こすとの記載がある (HSFS (2001))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性である (IARC 71 (1999))。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質ばく露と関連したヒト発がん性に関して、利用可能な疫学データはない。実験動物では、本物質の塩酸塩をラットに皮下投与 (25〜100 mg/kg、1回/週、30週間) した結果、脳、嗅球、乳腺、及び肝臓に腫瘍発生がみられたとの記述、及び妊娠ラットに本物質を妊娠15日に単回静脈内投与 (50、150 mg/kg) した実験で、F1児動物の大部分が生後126〜498日に脳、脊髄、又は末梢神経系の腫瘍により死亡したとの記述がある (IARC 4 (1974))。 これらの試験結果に基づき、IARCは「グループ2B」に分類した (IARC Supl. 7 (1987)、IARC 71 (1999))。この他の既存分類としては、日本産業衛生学会が「2B」に分類している (産衛学会許容濃度の勧告 (2015))。以上より、本項は区分2とした。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
発がん性の項に記述したように、妊娠ラットの妊娠15日に本物質を50、150 mg/kgの用量で単回静脈内投与した結果、児動物に脳神経系 (脳、脊髄、末梢神経系) の腫瘍がみられた (IARC 4 (1974)) との記述がある。また、Catalog of Teratogenic Agents に以下の記述がある。妊娠ラットにLD50値の12〜33%を妊娠15日に単回投与した場合、いずれの経路でもF1児動物に神経系腫瘍が高頻度に発生したが、妊娠11日より前日の投与では腫瘍発生は生じない。一方、妊娠10日に10〜50 mg/kgを投与した場合、眼及び視神経の発生が完全阻害され、妊娠後期の投与では、水頭症、及び四肢の奇形が生じたと記載されている (Catalog of Teratogenic Agents. (13th 2010)、HSDB (Access on October 2015))。 以上、本物質は妊娠ラットに投与した場合、次世代に神経系腫瘍を誘発し、妊娠期投与の時期、用量など条件設定によっては胎児に器官形成障害、及び奇形を誘発する可能性を示唆する知見が得られており、投与経路は注射による経路とは言え、胎生期に単回ばく露されただけで奇形誘発、腫瘍発生を生じることから、これらの影響は通常のばく露経路でも十分に起こりえると考えられ、よって本項は区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - デ-タ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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