GHS分類結果

名称:メチルプロピルケトン
CAS番号:107-87-9

結果:
物質ID: H27-B-066/C-102B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点7℃ (closed cup)、沸点102℃ (ICSC (1998)) に基づいて区分2とした。 なお、UNRTDG分類はUN.1249、クラス3、PGUである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が505℃ (ICSC (1998)) 、452℃ (HSDB (Access on August 2015)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、1,600〜3,200 mg/kg、3,730 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との2件の報告がある。1件が区分4又は区分外に、1件が区分外に該当するので、最も多くのデータが該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、6,472 mg/kgとの報告 (PATTY (6th, 2012)) に基づいて、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。ラットのLC50値 (4時間) として、> 2,000 ppmとの報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001)) があるが、この値のみでは区分を特定できない。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (21,053 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。旧分類根拠はLC50値の最低値で区分していたので、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。旧分類根拠のデータからLC50値を推定することはできないので、区分を見直した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギに本物質の原液を適用した結果から軽度の刺激性を示すと考えられる (ACGIH (7th, 2007)) との記載や、モルモットに本物質を適用した結果、軽度の刺激性がみられたとの記載 (PATTY (6th, 2012)) から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
モルモットに対する本物質の蒸気ばく露により刺激性がみられたとの報告 (ACGIH (7th, 2007)) やウサギの眼に軽度から中等度の刺激性を示したとの記載 (PATTY (6th, 2012)) がある。また、本物質の蒸気ばく露によりヒトの眼に刺激性がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2007)、PATTY (6th, 2012))。以上より、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性である (NTP DB (Access on October 2015))。
6 発がん性 分類できない - - - - 国際機関による分類結果もなく、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットを用いた吸入経路による生殖発生毒性スクリーニング試験において、最高用量の 5.0 mg/Lで、親動物には活動性低下がみられた以外に、雌雄生殖器官の病理学的異常、生殖能への影響、及び児動物では生後4日までの生存率、体重推移にいずれも有害影響はみられなかった (PATTY (6th, 2012)) との記述がある。ただし、スクリーニング試験のため、本結果のみでは区分外にできず、データ不足のため分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質はヒトに気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2007)、PATTY (6th, 2012))。実験動物では、ラット、モルモットの吸入ばく露で麻酔作用の報告がある (ACGIH (7th, 2007)、PATTY (6th, 2012))。 以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ヒトでの本物質反復ばく露に関する情報はない。実験動物ではラットに本物質を13ヶ月間飲水投与した試験において、区分2を超える用量 (10,000 ppm: 250〜452 mg/kg/day) で、一過性の体重増加抑制がみられたが、臨床症状、臓器重量、病理組織所見に異常はみられなかった (PATTY (6th, 2012)) との記述、及びラットに305 ppmで17.5週間吸入ばく露した神経毒性スクリーニング試験で、中枢及び末梢神経標本を病理組織学的に検索したが、当該試験濃度 (ガイダンス値換算: 1.84 mg/L/6 hr/day (区分2範囲を超える)) では異常はみられなかった (PATTY (6th, 2012)) との記述がある。以上より、経口、吸入経路で重大な毒性影響は認められていないが、少なくとも吸入毒性試験はスクリーニング試験で、十分な検査項目を設定していないこと、また両試験データとも、ACGIH (7th, 2007) に引用されていないことから、本項はデータ不足のため分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - ヒトでの吸引性呼吸器有害性の事例はない。ただし、本物質は3以上13を超えない炭素原子で構成されたケトンに属し、HSDB (Access on August 2015) に収載された数値データ (粘性率: 0.473 mPa・s (25℃)、密度 (比重) : 0.809 (20℃)) を基に、動粘性率計算値が 0.585 mm2/sec (25/20℃) である。以上、国連分類では区分2に該当するが、旧分類後に改訂された現行ガイダンスにしたがい、分類できないとした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50= 1210 mg/L(HSDB, 2008)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。難水溶性ではなく(水溶解度=43000mg/L、PHYSPROP Database, 2009)、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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