GHS分類結果

名称:シリカ (結晶質、非晶質を包含した二酸化ケイ素)
CAS番号:7631-86-9

結果:
物質ID: H27-A-043/C-114A_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性 (NITE総合検索 (Access on September 2015)) である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性 (NITE総合検索 (Access on September 2015)) である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性 (NITE総合検索 (Access on September 2015)) である。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に不溶 (NITE総合検索 (Access on September 2015)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - 本物質は結晶質、非晶質を包含した二酸化ケイ素の総称である。 [なお、健康有害性に関しては、 結晶質シリカ (石英) (CAS番号: 14808-60-7)、 結晶質シリカ (クリストバライト) (CAS番号: 14464-46-1)、 結晶質シリカ (トリポリ) (CAS番号: 1317-95-9)、 結晶質シリカ (トリジマイト) (CAS番号: 15468-32-3)、 非晶質シリカ (シリカゲル、沈降シリカ) (CAS番号: 112926-00-8)、 非晶質シリカ (珪藻土 (非焼成)) (CAS番号: 6179-53-2)、 非晶質シリカ (石英ガラス) (CAS番号: 60676-86-0)、 非晶質シリカ (ヒューム)、シリカヒューム (金属シリコン製造時の副生成物) (CAS番号: 69012-64-2) も参照のこと] ラットのLD50値として、> 3,160 mg/kg (EPA pesticide (1991))、> 3,300 mg/kg (親水性焼成シリカ)、> 2,000 mg/kg (疎水性焼成シリカ)、> 5,000 mg/kg (疎水性焼成シリカとして3件、親水性沈降シリカとして1件、計4件)、> 5,110 mg/kg (親水性沈降シリカ) (ECETOC JACC (2006)、SIDS (2006)) との8件の報告がある。最も多くのデータ (7件) が該当する区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (シリカゲル) 及び> 5,000 mg/kg (沈降シリカ) (ECETOC JACC (2006)、SIDS (2006)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。親水性シリカのラットのLC50値 (4時間) として、> 0.691 mg/L (ECETOC JACC (2006)) 及び> 2.08 mg/L (ECETOC JACC (2006)、SIDS (2006))、疎水性シリカのラットのLC50値 (4時間) として、0.09 mg/L、0.09〜0.84 mg/L、0.45 mg/L、0.5 mg/L、0.6 mg/L、0.8 mg/L、1.65 mg/L、> 2.22 mg/Lとの8件の報告、計10件の報告 (ECETOC JACC (2006)) がある。ECETOC JACC (2006) 本文中には、疎水性シリカでみられた死亡は毒性によるものではなく、被験物質粒子の高濃度投与での窒息によるとの記載があるため、分類には採用しなかった。親水性シリカの2件の情報のみでは区分を特定できない。なお、被験物質が固体であるため、粉じん、ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、沈降シリカ (CAS番号: 112926-00-8) を適用した結果刺激性はみられなかったとの報告 (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006)) がある。また、形態の異なる沈降シリカ又は非結晶性シリカ (CAS番号: 112945-52-5) をそれぞれウサギに24時間適用した試験において、いずれも刺激性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006))。以上より、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、沈降シリカ (CAS番号: 112926-00-8) 適用による刺激性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006))。また、形態の異なる沈降シリカ又は非結晶性シリカ (CAS番号: 112945-52-5) をウサギに適用した試験の報告が複数あり、眼刺激性はみられなかったとの報告や、軽度の結膜炎、軽度から中等度の結膜発赤、角膜混濁がみられたとの報告があるが、いずれの症状も回復性であったとの報告がある (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006))。以上より区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、経口投与によるラットの優性致死試験、経口投与によるラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性 (ECETOC JACC (2006)、SIDS (2006))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験で陰性、哺乳類培養細胞の小核試験で弱陽性である (ECETOC JACC (2006)、SIDS (2006)。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本CAS番号が示す物質群はシリカ (SiO2) で、シリカの全形態が包含される (ECETOC JACC No. 51 (2006))。すなわち、本物質群には結晶質シリカが含まれ、その発がん性分類結果が適用可能と考えられることから、本項は区分1Aとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
シリカゲル (CAS番号: 112926-00-8) は気道刺激性があるとの報告 (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006)) から、区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器、免疫系、腎臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、免疫系、腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて、石英、クリストバライトでは珪肺症が報告されている。また、実験動物においても石英、クリストバライトで線維形成性があることが報告されており、そのほか、石英では自己免疫疾患、慢性腎疾患及び無症状性の腎変性、溶融シリカで金属ヒューム熱のような回帰熱の報告がある (ACGIH (7th, 2006))。 したがって、区分1 (呼吸器、免疫系、腎臓) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - 全ての形態のシリカを含む物質は物性として特定できないため、現時点では分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


GHS関連情報トップページに戻る