GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 95-51-2
名称 o-クロロアニリン
物質ID H28-B-01-METI, M-001B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-

-
- -   引火点 108℃ (ICSC (2000)) に基づき区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG
-

-
- -   自己反応性に関連する原子団としてハロアニリンを含むが、UNRTDGにおいてUN 2019 (クロロアニリン類、液体) クラス6.1 (毒物) 容器等級Uに分類されており、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられる。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   発火点が>500℃ (ICSC (2000)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含んでいない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、1,016 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005)、BUA 57 (1991)) の報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3

危険
H311 P280
P302+P352
P312
P321
P361+P364
P405
P501
  ラットのLD50値として、1,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005)、BUA 57 (1991)) の報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4

警告
H332 P261
P271
P304+P340
P312
  ラットのLC50値 (4時間) として、4,000〜6,000 mg/m3 (PATTY (6th, 2012))、4,160 mg/m3 (環境省リスク評価第9巻 (2011))、4,100 mg/m3、6,000 mg/m3、> 4,406 mg/m3 (以上BUA 57 (1991)) の5件の報告があり、区分4〜区分外に該当する。
  有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
  なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (1.17 mg/L) より高い濃度であるため、ミストとしての基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、本物質0.1 mLを適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、BUA 57 (1991))。
  以上から区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
絵表示なし


警告
H320 P264
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、本物質0.1 mLを結膜嚢に適用した結果、結膜の充血、角膜混濁がみられたが3〜7日以内に回復したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、BUA 57 (1991))。
  以上より区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、陰性であったとの報告があるが (NITE初期リスク評価書 (2005)、BUA 57 (1991))、試験条件や結果について詳細不明であるため分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   In vivoでは、マウスの小核試験で弱い陽性結果が1件認められた(NITE初期リスク評価書 (2005))ものの、その他の情報源ではマウスの骨髄細胞、末梢血を用いる小核試験(評価部位の記載のないデータを含む)でいずれも陰性と記載されている (NTP TOX43 (1998)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、DFGOT vol. 21 (2003))。ラットの骨髄細胞を用いる小核試験では陽性結果が認められている (NTP TOX43 (1998))。
  しかし、ラットの骨髄細胞小核試験の陽性結果は再現性が確認されておらず確定的な陽性判断が困難である (NTP TOX43 (1998))。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、遺伝子突然変異試験で陽性、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性又は陰性である (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、NTP TOX43 (1998)、DFGOT vol. 21 (2003))。
  以上より、In vitroの陽性結果はあるがin vivoでは明確な陽性とはいえず、旧分類で区分2としていたが、本項ではガイダンスに従い分類できないとした。
  
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6〜15日) に本物質を強制経口投与した発生毒性試験において、母動物には50 mg/kg/day 以上で脾臓への影響 (重量増加・充血・髄外造血亢進) 及び胎盤膜の壊死、250 mg/kg/dayで振戦、体重増加抑制、摂餌量減少が、胎児には250 mg/kg/day で吸収胚の増加、生存率の減少、自然発生奇形 (詳細不明) の増加がみられた (環境省リスク評価第9巻 (2011)、NITE初期リスク評価書 (2005))。
  すなわち、母動物毒性が明らかな用量で胎児毒性及び自然発生奇形の増加がみられたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液系)
区分2(中枢神経系、心臓)

危険
警告
H370
H371
P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
  ヒトでは本物質の急性ばく露によりメトヘモグロビンが生成されるとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
  中枢神経系への影響として、錯乱、運動失調、めまい、耳鳴、見当識障害、衰弱、嗜眠、昏睡を生じるとの記載、及び心臓への影響として心ブロック、不整脈、ショックを生じるとの記載がある (HSDB (Access on October 2016))。
  実験動物ではラット及びマウスにおいて経口、吸入及び経皮投与試験で、区分1又は2相当の用量で、メトヘモグロビンの生成によるチアノーゼ、呼吸困難、脱力、昏睡、振戦、痙攣などがみられた (NITE初期リスク評価書 (2005)、DFGOT vol. 3 (1990)、BUA 57 (1991))。
  以上より区分1 (血液系)、区分2 (中枢神経系、心臓) とした。
  ヒトでの影響の情報源であるHSDB がList 2の情報源であるため、中枢神経系と心臓は区分2とした。
  旧分類では肝臓と腎臓が標的臓器とされていたが、分類の根拠とされた環境省リスク評価第3巻 (2004) の元文献を確認したところ、ヒトでの肝臓及び腎臓への影響のデータが記載されていなかったため、分類を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系、中枢神経系)

危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
  ヒトについては本物質のみにばく露した疫学調査及び事例は得られていないが、本物質を含むニトロ化合物やアミノ化合物にばく露された工場従業員に、チアノーゼ、貧血等の症状が報告されている。
  1961〜1980年の間に英国において、ニトロ化合物やアミノ化合物にばく露された工場従業員325名のチアノーゼが報告されており、60名以上がクロロアニリン (異性体については不明) によって誘発されたと推定されている。
  症例中87%にばく露期間中の頭痛、疲労、めまい、悪心が生じ、13%にはばく露後にもみられたと報告されている。
  また、1956〜1965年の間に米国で、m-クロロアニリン、本物質を含む20種類以上のニトロ化合物、アミノ化合物にばく露された187人の工場従業員に、チアノーゼ、貧血がみられ、主として経皮吸収によって生じたと推定されている (NITE初期リスク評価書 (2005))。
   実験動物については、ラットを用いた4週間 (6時間/日、5日/週) 吸入毒性試験において区分1相当の7.37 ppm (ガイダンス値換算: 0.008 mg/L) 以上でヘマトクリット値の減少、ハインツ小体・メトヘモグロビン濃度の増加、脾臓重量の増加等、41.0 ppm (0.048 mg/L) 以上でチアノーゼ、ヘモグロビン濃度減少、網状赤血球数の増加、脾臓中ヘモジデリン沈着等、167.5 ppm (ガイダンス値換算: 0.197 mg/L) で振戦等が認められた (NITE初期リスク評価書 (2005))。
  ラットあるいはマウスを用いた経口経路での13週間反復投与毒性試験においても区分1相当の10 mg/kg/day (90日換算値: 7.4 mg/kg/day) でメトヘモグロビン濃度増加がみられ、区分2相当ではチアノーゼ、振戦、脾臓の造血亢進等がみられている (NITE初期リスク評価書 (2005)、NTP TOX43 (1998)、環境省リスク評価第9巻 (2011))。
   したがって、区分1 (血液系、中枢神経系) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、HSDB (Access on September 2016) に収載された数値データ (粘性率: 2.9157 mPa・s (20℃)、密度 (比重): 1.2114 (22/4℃)) より、動粘性率は2.407 mm2/sec (20/22℃) と算出される。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(オオミジンコ)48時間LC50 = 0.13 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2005)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  急速分解性がなく(BODによる分解度:2.7%(既存点検, 1977))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖) = 0.032 mg/L(環境庁生態影響試験, 2000、環境省リスク評価第2巻, 2003、環境省リスク評価第3巻, 2004、環境省リスク評価第9巻, 2011、NITE初期リスク評価書, 2005、ECETOC TR91, 2003)から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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