GHS分類結果

View this page in English


一般情報

項目 情報
CAS番号 9016-45-9
名称 ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル
物質ID H28-B-03-METI, M-003B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成19年度   平成18年度    
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である (NITE初期リスク評価書 (2005)、エチレンオキシドの付加モル数 (以下、EOと記載) 9.5の場合。
  EOの数が増えると液体から固体に変わる)。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である (NITE初期リスク評価書 (2005)、EO 9.5の場合)。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である (NITE初期リスク評価書 (2005)、EO 9.5の場合)。
6 引火性液体 区分外 (エチレンオキシドの付加モル数9.5の場合)
-

-
- -   引火点 282℃ (EO 9.5の場合) (NITE初期リスク評価書 (2005)) に基づき区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である (NITE初期リスク評価書 (2005)、EO 9.5の場合)。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である (NITE初期リスク評価書 (2005)、EO 9.5の場合)。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない (EO 9.5の場合)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である (NITE初期リスク評価書 (2005)、EO 9.5の場合)。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-

-
- -   本物質はノニル基の分岐や置換位置の違いにより、理論上 100種類以上の異性体が存在する。
  本分類では、エチレンオキシド (EO) の付加モル数について情報源に記載がある場合は明記した。
   データ不足のため分類できない。
   本物質はEOの付加モル数の違いにより鎖長が異なり、LD50値に著しい差がある。
   ラットのLD50値として、1,300 mg/kg (EO 10)、1,800 mg/kg (EO 9)、1,980 mg/kg (EO 6)、2,500 mg/kg (EO 15)、4,300 mg/kg (EO 4) (環境省リスク評価第5巻 (2006)) との報告があり、それぞれ区分4、区分4、区分4、区分外 (国連分類基準の区分5)、区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。
   なお、旧分類で用いられていたNITE初期リスク評価書 (2005) では、EO 2〜15の場合のラットのLD50値として1,300〜7,400 mg/kg、EO 20の場合のラットのLD50値として15,900 mg/kg との記載があり、区分4〜区分外及び区分外に相当するが、これらの値のみでは区分を特定できないため分類することができない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   本物質はEOの付加モル数の違いにより鎖長が異なり、LD50値に著しい差がある。
   なお、旧分類で用いられていたウサギのLD50値として、EO 4〜10では1,800〜10,000 mg/kg 超であった (NITE初期リスク評価書 (2005)) 旨の記載があり区分4〜区分外に相当するが、これらの値のみでは区分を特定できないため分類することができない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である (EO 9.5の場合) (NITE有害性評価書(2007))。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2

警告
H315 P264
P280
P302+P352
P321
P332+P313
P362+P364
  ボランティアに本物質を適用した複数の報告において、本物質による皮膚刺激性が報告されていることから、本物質はヒトに対して皮膚一次刺激性を示すと記載されている (NITE有害性評価書 (2007))。
  また、ウサギを用いた皮膚刺激性試験においてEO 2〜9の適用により、中等度から強度の刺激性を示したとの報告や、EO 10以上の原液の適用により無刺激性又は軽度の刺激性を示したとの報告がある (NITE有害性評価書 (2007)) が適用時間等の詳細は不明である。
  以上、ヒトにおいて一次刺激性を示すとの記載より、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A

警告
H319 P264
P280
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギを用いた眼刺激性試験において、EO 2〜15の原液の適用により中等度から強度の刺激性を示したと報告がある (NITE有害性評価書 (2007))。
  以上より、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、本物質 (EO 6) を適用した結果、感作性を示さなかったとの報告がある (NITE有害性評価書 (2007))。
  また、ボランティアに対するパッチテストの報告が複数あり、本物質 (EO 2) 10%の適用により感作性を示したとの報告や (NITE有害性評価書 (2007))、本物質 (EO 4又は9) では、少数例の感作性が認められている (NITE有害性評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))ことなどから、EO 10以下の場合は皮膚感作性を示す可能性は高いと記載されている (NITE有害性評価書 (2007))。
  しかし、いずれの報告も試験条件等の詳細が不明であるため、区分に用いるには十分ではないと判断し、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。
  EOの付加モル数が9〜12の本物質において、in vivoでは、マウスの優性致死試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (NITE有害性評価書 (2007))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (NITE有害性評価書 (2007)、NITE安全性試験結果 (Access on September 2016))。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   NPE (EO 4) を雌雄ラット又は雌雄イヌに1,000 mg/kg/dayまで、またNPE (EO 9) を雄ラットに140 mg/kg/dayまで、雌雄イヌに88 mg/kg/dayまで、2年間混餌投与した発がん性試験において、いずれも用量に依存した発がんは認められなかった (NITE有害性評価書 (2005))。
  N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン (MNNG) を発がんイニシエーターとして用いたプロモーター試験において、雄ラットにMNNG 100 mg/LとNPE (EO付加モル数不明) 2,000 mg/L を含む飲料水を36週間経口投与した結果、腺胃腫瘍発生率がMNNG+対照群の8/13 (62%) に対し、MNNG+ NPE投与群では12/15 (80%) に、小腸腫瘍がMNNG+対照群の1/13 (7.7%) に対し、MNNG+ NPE投与群では7/15 (47%) に増加し、NPEには腫瘍促進作用があると結論された (NITE有害性評価書 (2005))。
  以上、NPE (EO 4) 及びNPE (EO 9) では発がん性はないと考えられるが、本物質はプロモーター作用を有する可能性が指摘されていることから、区分外とするにはデータ不足と判断し、本項は分類できないとした。
  
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  EOの付加モル数9の本物質 (EO 9) を妊娠ラットに器官形成期 (妊娠6〜15日)、又は全妊娠期間 (妊娠1〜20日) に強制経口投与した発生毒性試験において、器官形成期投与では250 mg/kg/day以上で母動物に体重増加抑制及び同腹児数の減少、胎児に過剰肋骨の増加がみられたのに対し、全妊娠期間投与では500 mg/kg/dayの胎児に骨盤腔の拡張がみられたのみであった (NITE有害性評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。
  したがって、母動物毒性発現量で同腹児数の減少がみられたため、本項は区分2とした。
  なお、EO 9を妊娠1日目の妊娠ラットの子宮角に単回注入し、妊娠8〜12日に帝王切開した結果、0.5 mg/匹 注入群で妊娠率及び平均胚数の減少がみられたとの報告 (NITE有害性評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))、並びに NPE9を妊娠3日又は同7日の妊娠ラットに単回膣内投与 (50 mg/kg) し、妊娠6〜15日又は妊娠8〜15日に帝王切開した結果、胚着床数の減少、吸収胚数の増加がみられたとの報告がある (NITE有害性評価書 (2007))。
  
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-

-
- -   ヒトに関する情報はない。
   実験動物では、EOの付加モル数の異なる本物質についてラット、イヌを用いた複数の試験が実施されている。
  多くは区分2までの範囲内では肝臓重量増加がみられており、ラットを用いた混餌による90日間反復投与毒性試験において、区分2を超える用量で脂質沈着を伴う肝細胞変性、肝細胞の巣状壊死と腎尿細管の壊死等が認められている (NITE有害性評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。
  なお、EO 4、6、15、20、30のイヌを用いた混餌による90日間反復投与毒性試験において、EO 20についてのみ心筋の限局性壊死の報告がある (NITE有害性評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。
  この所見については、同一著者によるEO 9を用いたイヌの同様な試験、EO 4あるいはEO 9を用いた混餌によるより長期の試験 (2年間反復投与毒性試験) においても同様な所見がみられていない。
  また、同一著者によるラットを用いた同様の試験 (EO4、6、15、20、30のラットを用いた混餌による90日間反復投与毒性試験) において認められていない。
  さらに、ラットを用いた複数の試験 (EO 4、9、40のラットを用いた試験) において同様な所見はみられていない (NITE有害性評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。
  以上より、心血管系への影響はEO 20を投与したイヌでのみみられ、ラットではみられていないことから、一般的な本物質 (EO 10程度) ではみられないと考えられ、標的臓器とするには適切ではないと考えられた。
   したがって、区分2の範囲内では分類根拠として十分な影響はないこと、他の経路の情報がないことなどから、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(ミシッドシュリンプ)の48時間LC50(NPE9、分岐型) = 0.71-2.2 mg/L (環境省リスク評価第7巻, 2009)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2

注意喚起語なし
H411 P273
P391
P501
  急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 1982))、魚類(ファットヘッドミノー)の7日間NOEC(成長)(NPE9) = 1 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2005)から、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

GHS分類結果リストへ