GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 120-83-2
名称 2,4-ジクロロフェノール
物質ID H28-B-09-METI, M-011B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成20年度  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- - データがなく分類できない。なお、HSDB (Access on October 2016) では、可燃性としている。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- - 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-

-
- - 発火点が500℃ (ICSC (2010)) であり、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素及び塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- - 融点が55℃以下の物質ではあるが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-

-
- - ラットのLD50値として、2,830 mg/kg (雄)、3,670 mg/kg (雄)、 4,500 mg/kg (雌) (SIDS (2008)、NTP TR353 (1989))、約4,000 mg/kg (雄雌) (SIDS (2008)、EHC 93 (1989)) の4件の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 なお、ラットのLD50値 580 mg/kg (EHC 93 (1989)、NTP TR353 (1989)) を入手したが、燃料油を媒体としており、SIDS (2008) で信頼性3 (信頼性がない) としているため、分類には用いなかった。
1 急性毒性(経皮) 区分3

危険
H311 P280
P302+P352
P312
P321
P361+P364
P405
P501
ラットのLD50値 (OECD TG 402) として、780 mg/kg (SIDS (2008)) との報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3

危険
H331 P261
P271
P304+P340
P311
P321
P403+P233
P405
P501
ラットのLC50値 (4時間, OECD TG 403 準拠) として、0.97 mg/L (SIDS (2008)) に基づき、区分3とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1

危険
H314 P260
P264
P280
P301+P330+P331
P303+P361+P353
P363
P304+P340
P310
P321
P305+P351+P338
P405
P501
ウサギの皮膚に本物質 (80%水溶液) を15分間適用した結果、不可逆性の著しい壊死がみられたとの報告がある (SIDS (2008))。その他、本物質にばく露された労働者の死亡事例が多数報告されており (SIDS (2008)、環境省リスク評価第8巻 (2010))、体表面積の1%のばく露でも死に至るとの記載がある (SIDS (2008))。以上より、区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin Corr. 1B H314」に分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on June 2015))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1

危険
H318 P280
P305+P351+P338
P310
ウサギの眼に本物質を適用した結果、著しい眼傷害がみられたとの報告がある (SIDS (2008))。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1に分類されている。以上より、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- - ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウススポットテストで陰性、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性、マウスの精巣及び骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、マウスの胃、結腸を用いたDNA傷害試験で陽性である (SIDS (2008)、ATSDR (1999)、環境省リスク評価第8巻 (2010))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陰性、染色体異常試験で陽性、陰性の結果、姉妹染色分体交換試験で陽性である (SIDS (2008)、ATSDR (1999)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、NTP DB (Access on October 2016))。
6 発がん性 分類できない
-

-
- - ラット及びマウスに2年間混餌投与した発がん性試験において、ラット、マウスの雌雄ともに被験物質投与に関連した腫瘍発生の増加はなく、NTPは発がん性の証拠なしと結論した (NTP TR353 (1989))。IARCはポリクロロフェノール類及びその塩を対象とした発がん性評価の中で、本物質には実験動物で発がん性がないことを示唆する証拠があると記述しているが、分類を行っていない (IARC 71 (1999))。すなわち、既存分類結果がなく、本項は分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-

-
- - ラットに混餌投与した2世代生殖毒性試験において、F0、F1親動物には2,000 ppm 以上で体重増加抑制、8,000 ppm で下腹部、外性器周囲の被毛の汚染、腎臓相対重量の増加がみられたが、受胎能への影響はなかった。ただ、F1、F2児動物には8,000 ppm で発達遅延 (生後14日での開眼率の低下)、性成熟の遅延 (包皮分離の遅延、膣開口時の低体重: F1のみ) 及び離乳時に子宮重量の増加及び胸腺重量の減少がみられている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2008))。マウスに飲水投与した1世代試験でも受胎率への影響はなく (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2008))、また妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6〜15日) に強制経口投与した試験でも、母動物毒性 (死亡4/34例、体重増加抑制、ラッセル音) 発現量でさえ胎児には軽微な発生影響 (骨化遅延) がみられたのみであった(環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2008))。 以上、本物質は実験動物で受胎能への有害影響を及ぼさず、発生影響も軽微であるが、ラット2世代試験において、親動物の一般毒性発現量で児動物の発達・性成熟遅延がみられていることから、区分外とはできず分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)


危険
警告
H370
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
ヒトでは事故により皮膚に本物質の蒸気又は液体の急性ばく露を受けた労働者が、意識を失い、約1時間以内に死亡した例などが4件報告されている。これらの情報より、液体状の本物質の経皮ばく露は比較的少量 (体表面積の1%程度) であっても死亡する可能性があるとした警告がUS EPA及びOSHA の連名で出されている。 (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2008))。実験動物では、マウスの単回経口投与試験で、全例が運動失調、正向反射の喪失、振戦、流涎、努力呼吸、鎮静を示し、LD50値は区分2範囲の1,276〜1,352 mg/kgであったとの報告がある (SIDS (2008))。また、ラットの単回経皮投与試験で、区分1相当の300 mg/kgで著しい自発運動低下と呼吸障害がみられ、各々ばく露の6日及び9日後も症状が持続していたとの報告がある (SIDS (2008))。以上より区分1 (中枢神経系)、区分3 (麻酔作用) とした。更にラットの単回吸入ばく露試験で、非致死用量で眼の刺激に加え鼻粘膜の刺激があり、24時間後には消失したとの記載がある (SIDS Dossier (2008))。したがって区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-

-
- - ヒトについては、本物質及び2,4,5-トリクロロフェノールを製造していたアメリカの工場で実施された調査では、29例の塩素?瘡と11例のポルフィリン尿症がみられ、このうち3例は明らかな晩発性皮膚ポルフィリン症 (PCT) であったとの報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010))。しかしこれらの症例はトリクロロフェノール類及び不純物であるダイオキシン類によるものと考えられている (BUA 31 (1988))。 実験動物については、ラット及びマウスを用いた13週間反復経口投与試験が実施され、ラットの主な所見として区分2を超える用量である10,000 ppm (ガイダンス値換算: 500 mg/kg/day) 以上で骨髄萎縮、赤血球成分及び骨髄球成分の減少がみられた (NTP TR353 (1989)、環境省リスク評価第8巻 (2010))。マウスでも区分2を超える用量である、2,500 ppm (ガイダンス値換算: 375 mg/kg/day) 以上で肝細胞壊死、10,000 ppm以上 (ガイダンス値換算: 1,500 mg/kg/day) で肝細胞の多核化がみられている (NTP TR353 (1989)、環境省リスク評価第8巻 (2010))。このほか、マウスを用いた混餌による6ヵ月間反復投与毒性試験においては、区分2を超える用量で肝細胞腫大、間質小円形細胞浸潤、副腎皮質のひ薄化がみられ、マウスを用いた飲水による90日間反復投与毒性試験では、区分2を超える用量においても影響はみられていない (NTP TR353 (1989)、環境省リスク評価第8巻 (2010))。また、ラット及びマウスを用いた混餌投与での2年間反復投与毒性試験が実施され、ラットでは区分2を超える用量で呼吸器への影響がみられ、マウスでは区分2を超える用量で肝臓に影響がみられているが、いずれの所見についても対照群においてもみられており、重篤な影響ではなかった (NTP TR353 (1989)、環境省リスク評価第8巻 (2010))。 以上、経口経路では区分外相当と考えられるが、他経路でのデータがないことからデータ不足のため分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
絵表示なし


注意喚起語なし
H401 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50 = 1.4 mg/L (SIDS, 2008) から区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 1982))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖) = 0.052 mg/L(環境省生態影響試験, 2003)から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。  また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。  ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。  他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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