GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 119-61-9
名称 ベンゾフェノン
物質ID H28-B-12-METI, M-014B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成20年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-

-
- -   発火点が560℃ (GESTIS (Access on October 2016)) であり、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含んでいない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   融点が55℃以下の物質ではあるが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、 > 10,000 mg/kg (NTP TR533 (2006)、NTP TOX61 (2000)、JECFA FAS48 (2001)、PATTY (6th, 2012))、1,900 mg/kg (NTP TR533 (2006)、NTP TOX61 (2000)) の2件の報告がある。
  1件は区分外に、1件は区分4に該当する。
  有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ウサギのLD50値として、3,535 mg/kg (NTP TR533 (2006)、NTP TOX61 (2000)、PATTY (6th, 2012)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、モルモットに本物質を24時間閉塞適用した結果、軽度の紅斑及び落屑、軽度〜中等度の浮腫がみられたことから軽度の刺激性との報告や (PATTY (6th, 2012))、ウサギの有傷皮膚に20%溶液を適用した試験で異常角化症、巣状壊死を伴う軽度〜中等度の浮腫がみられ、皮膚刺激指数は2.0であり、中等度の刺激性ありとの報告 (PATTY (6th, 2012)) があるが、いずれも分類可能な試験条件ではないため分類に用いなかった。
  また、旧分類のIUCLIDの情報は、入手できないため確認できなかった。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
絵表示なし


警告
H320 P264
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質の結晶を適用した結果、結膜と瞬膜に軽度から中等度の紅斑がみられたが、14日以内に回復したとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
  以上から区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外
-

-
- -   皮膚感作性試験の報告が複数あり、Open Epicutaneous試験、マキシマイゼーション試験、ドレイズ試験、フロインド完全アジュバント試験において、感作性なしとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
  その他、モルモットを用いた修正ドレイズ試験及びマキシマイゼーション試験、ウサギを用いたドレイズ試験において感作性なしとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
  いずれもガイドラインに準拠した試験ではないが、感作誘発方法等について記載されており、総合的に区分外に分類可能と判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。
  すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞及び末梢血リンパ球を用いた小核試験で陰性、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (IARC 101 (2013)、NTP DB (Access on October 2016)、PATTY (6th, 2012))。
6 発がん性 区分2

警告
H351 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラット及びマウスに2年間混餌投与した発がん性試験において、ラットでは雄で腎尿細管腺腫の頻度増加が、マウスでは雄で肝細胞腺腫、雌で組織球肉腫の頻度増加が認められた (NTP TR533 (2006))。
  IARCはヒトの情報はないが実験動物では十分な証拠があるとして、グループ2Bに分類した (IARC 101 (2013))。
  日本産業衛生学会も第2群Bに分類している (許容濃度の勧告 (2016):提案年2015年)。
  よって、本項は区分2とした。
7 生殖毒性 区分外
-

-
- -   ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験では、F0、F1親動物に一般毒性影響 (体重増加抑制、肝臓・腎臓重量増加、腎臓近位尿細管の拡張、上皮の再生) がみられる高用量 (2,000 ppm: 130.0〜179.2 mg/kg/day相当) で、F1、F2児動物に体重増加抑制がみられたのみで、親動物の生殖能に影響はなく、次世代の発達への影響も最小限であった (経済産業省内分泌かく乱作用に関する試験結果 (年不詳)、PATTY (6th, 2012))。
   一方、妊娠ラット又は妊娠ウサギに強制経口投与 (ラット: 妊娠6〜19日、ウサギ: 妊娠6〜29日) した発生毒性試験では、母動物毒性 (ラット:体重増加抑制、嗜眠、肝臓・腎臓重量増加、ウサギ: 死亡、体重増加抑制、早産) が生じた用量を上回る高用量で、胎児にはラットに骨化遅延、過剰肋骨、体重の低値が、ウサギに体重の低値といずれも分類根拠としない軽微な影響がみられただけであった (PATTY (6th, 2012))。
  以上、ラット2世代生殖毒性試験、並びにラット及びウサギ発生毒性試験結果より、本項は区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-

-
- -   本物質のヒトでの単回ばく露のデータはない。
  実験動物ではマウスの単回経口投与試験で区分2超の2,895 mg/kgで、死亡例は鎮静、運動能低下、歩行異常、振戦、呼吸抑制を示したが、剖検結果では組織及び臓器の障害は認められなかったとの報告 (PATTY (6th, 2012)) があるが、標的臓器の特定には情報が不十分であるため分類できないとした。
  なお、旧分類では参考情報として、吸入時の急性毒性症状に咽頭炎があるとのICSC (1997) の記述を引用しているが、ICSC (2010) には記載されていない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、腎臓、血液系)

警告
H373 P260
P314
P501
  ヒトに関する情報はない。
   実験動物では、ラットを用いた混餌投与による105週間反復投与毒性試験において、区分2相当の15 mg/kg/day以上で腎臓への影響 (腎臓の尿細管の過形成、腎盂の移行上皮の過形成及び腎症の重篤度の増加)、肝臓への影響 (小葉中心性肝細胞肥大、胆管増生)、30 mg/kg/day以上で肝臓の嚢胞性変性が認められ、マウスを用いた105週間反復投与毒性試験において、区分2相当の312 ppm (雄: 40 mg/kg/day、雌: 35 mg/kg/day) 以上で肝臓 (小葉中心性肝細胞肥大、多核肝細胞、慢性活動性炎症)、腎臓 (腎症あるいは腎症の重篤化、鉱質沈着)、脾臓のリンパ濾胞の過形成、625 ppm (雄: 80 mg/kg/day、雌: 75 mg/kg/day) 以上で肝臓の嚢胞性変性がみられている (NTP TR533 (2006))。
   なお、脾臓のリンパ濾胞の過形成については悪性リンパ腫と関連した所見であるとの記載があり、このほか、ラットの雄において腎症と関連した二次的病変が多くの臓器にみられ、上皮小体の過形成、骨の線維性異栄養症についても腎症と関連した二次的病変との記載がある (NTP TR533 (2006))。
   このほか、ラットを用いた混餌投与による14週間反復投与毒性試験においても、区分2相当の1,250 ppm (75 mg/kg/day) 以上で肝細胞細胞質空胞化、腎臓の尿細管蛋白円柱がみられたとの報告があり (NTP TR533 (2006)、PATTY (6th, 2012))、ラットを用いた混餌による28日間反復投与毒性試験において、区分2相当の100 mg/kg/day (90日間換算値: 31.1 mg/kg/day) 以上で溶血、総タンパク増加、アルブミン増加、肝臓及び腎臓重量増加、肝臓の病理組織学的病変がみられたとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
   したがって、区分2 (肝臓、腎臓、血液系) とした。
   なお、旧分類に記載のある骨髄線維症については、腎症のみられた雄の最高用量でのみで有意な変化であったため分類根拠としなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
絵表示なし


注意喚起語なし
H401 P273
P501
  藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 =3.53 mg/L(環境庁生態影響試験, 1998、環境省リスク評価第6巻, 2008)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2

注意喚起語なし
H411 P273
P391
P501
  慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1980))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.2 mg/L(環境庁生態影響試験, 1998、環境省リスク評価第6巻, 2008)であることから、区分2となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1980))、魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 10.9 mg/L(環境省リスク評価第6巻, 2008)であることから、区分3となる。
   以上の結果から、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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