GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 10584-98-2
名称 ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)
物質ID H28-A-026, C-071A
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-

-
- -   引火点が149℃ (closed cup) (GESTIS (Access on June 2016)) である。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
  
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- -   半金属 (Sn) を含むが、水に難溶性との観察結果 (GESTIS (Access on June 2016)) が得られており、水と急激な反応はしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   なお、SIDS (2009) には、ラットのLD50値として、本物質と本物質のモノブチル化体 (CAS番号 26864-37-9、略称 MBT (EHTG)) の混合物のデータが4件記載されている。
   4,439 mg/kg (OECD TG 401, 混合比率65:35)、396 mg/kg (OECD TG 401相当, 混合比率61.8:25.3, 媒体として大豆油を12.9%使用)、615 mg/kg (OECD TG 401相当, 混合比率61.8:25.3, 媒体としてポリエチレングリコールを12.9%使用)、758 mg/kg (OECD TG 401相当, 混合比率65:35) の4件であり、3件が区分4に、1件が区分外 (国連分類基準の区分5) に相当する。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   なお、SIDS (2009) には、ラットのLD50値として、本物質と本物質のモノブチル化体 (CAS番号 26864-37-9、略称 MBT (EHTG)) の混合物のデータが2件記載されている。
   > 1,000 mg/kg (OECD TG 402, 混合比率61.8:25.3, 媒体として大豆油を12.9%使用)、777 mg/kg (OECD TG 402相当, 混合比率72:14, 媒体として大豆油を14%使用) の2件であり、1件が区分4〜区分外に、1件が区分3に相当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   なお、SIDS (2009) には、類縁物質であるジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート) (CAS番号 25168-24-5、略称 DBT (IOTG)) のデータの記載がある。
  "本物質DBT (EHTG) と DBT (IOTG) は異性体であり、毒性学的には同等と考えられる" 旨の記載、及びDBT (IOTG) のラットのLC50値 (1時間、OECD TG 403相当、雌雄) として 22 mg/L (4時間換算値:5.5 mg/L) の記載があり、区分外に相当する。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1

危険
H314 P260
P264
P280
P301+P330+P331
P303+P361+P353
P363
P304+P340
P310
P321
P305+P351+P338
P405
P501
  本物質のみの情報はないが、本物質とブチルスズトリス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) の混合物 (80:20) によるウサギの皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) で腐食性ありとの報告から、SIDSは本物質を皮膚刺激性物質としている (SIDS (2009))。
   よって、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
絵表示なし


警告
H320 P264
P305+P351+P338
P337+P313
  本物質のみの情報はないが、本物質とブチルスズトリス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) の混合物 (65:35) によるウサギの眼刺激性試験 (OECD TG 405) でごく軽度の刺激性がみられたとの報告から、SIDSは本物質を軽度の眼刺激性物質としている (SIDS (2009))。
  よって区分2Bとした。
  
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  本物質とブチルスズトリス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) の混合物 (80:20) によるモルモットの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、OECD TG 406) で、感作性 (感作率55%) が認められ、さらにチオグリコール酸2-エチルヘキシルの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、OECD TG 406) でも陽性であったことから、SIDSは本物質を感作性物質としている (SIDS (2009))。
  よって区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、本物質とブチルスズトリス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) の混合物(65:35)による細菌の復帰突然変異試験で陰性である (SIDS (2006))。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   ACGIHが有機スズ化合物に対し、A4に分類している (ACGIH (7th, 2001)) ため、本項は分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットに強制経口投与した簡易生殖発生毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物に死亡/瀕死、体重増加抑制、肝臓・腎臓重量増加、肝細胞の空胞化などがみられた。
  高用量 (150 mg/kg/day) で、受胎能への影響はなかったが、児動物に生後4日までの生存率低下、及び成長抑制がみられている (SIDS (2009))。
  妊娠動物を用いた発生毒性試験報告はない。
  以上、スクリーニング試験における親動物毒性用量での児動物の生存率低下に基づき、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器)

警告
H371 P260
P264
P270
P308+P311
P405
P501
  ヒトでの本物質の単回ばく露のデータはない。
  実験動物では、本物質の異性体であるジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート) (CAS番号 25168-24-5、略称DBT (IOTG))を用いたラットの1時間の単回吸入ばく露試験において、5 mg/L (4時間換算値1.25 mg/L) の濃度で、肺の出血、胸腺の肥大、胸腔内での癒着、脾臓の暗色化が認められたとの報告がある (SIDS (2009))。
  本物質とDBT (IOTG)は、構造がわずかに異なる異性体であるため、毒性学的には同等と考えられる旨の記載がある (SIDS (2009))。
  以上より区分2 (呼吸器) とした。
  なお、ラットに本物質とモノブチル化体の62〜65%対25〜35%の混合物を単回経口投与することにより、250 mg/kgで、呼吸困難、立毛、腹臥位、眼球突出、鎮静、下痢が認められたとの報告がある (SIDS (2009))。
   また、本物質は、人工胃液中での加水分解試験において30分未満の半減期でジブチルスズジクロリド (CAS番号 683-18-1) に転換され (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))、その転換率は97%であるとの報告がある (SIDS (2009))。
  したがって、本物質も経口摂取の場合にはジブチルスズジクロリドと同様の影響を示す可能性があると考えられる。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、免疫系)

危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
  本物質について、ヒト及び実験動物についてのデータはない。
   しかし、体内で、ジブチルスズオキシド及びジブチルスズクロリドになるジブチルスズ類については、その毒性を共通して採用できると考えられる。
   本物質は、人工胃液での加水分解試験において30分未満の半減期でジブチルスズジクロリド (CAS番号 683-18-1) に転換される (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。
  その転換率は97%であった (SIDS (2009))。
   したがって、本物質はジブチルスズジクロリド (CAS番号 683-18-1) と同様の標的臓器を示すと考えられる。
  ジブチルスズジクロリドでは肝臓への影響が区分1相当の1.17 mg/kg/day、免疫系への影響が区分1相当の0.39 mg/kg/day以上でみられ、ジブチルスズジクロリドの分子量 (303.8)、本物質の分子量 (639.6) であり、本物質においても、肝臓、免疫系への影響が区分1相当 (分子量からの換算として肝臓への影響が2.5 mg/kg/day、免疫系への影響が0.8 mg/kg/day) で生じることが推定されることから、区分1 (肝臓、免疫系) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.017 mg/L(環境省リスク評価第8巻, 2010)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖) = 0.047 mg/L(環境省リスク評価第8巻, 2010)であることから、区分1となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50 = 5.7 mg/L(環境省リスク評価第8巻, 2010)であることから、区分2となる。
   以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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