GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 68515-48-0, 28553-12-0
名称 フタル酸ジノニル (DINP)
物質ID H28-A-036, C-085A
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-

-
- -   引火点が240℃ (GESTIS (Access on June 2016)) であり、区分外に相当する。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   発火点は375℃ (GESTIS (Access on June 2016)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-

-
- -   ラットのLD50値として、> 9,800 mg/kg (EU-RAR (2003)、食品安全委員会 (2015)、HSDB (Access on August 2016))、> 10,000 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012)、食品安全委員会 (2015)、HSDB (Access on August 2016))、> 40,000 mg/kg、> 50,000 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、食品安全委員会 (2015)) との4件の報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ウサギのLD50値として、> 3,160 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012)、食品安全委員会 (2015)、HSDB (Access on August 2016)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   ラットのLC50値 (4時間) として、> 0.067 mg/L、> 0.07 mg/L (EU-RAR (2003)、食品安全委員会 (2015))、> 4.4 mg/L (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、食品安全委員会 (2015)) の3件の報告があるが、これらの値のみからは区分を特定することができないため、分類できないとした。
  なお、これらのLC50値は飽和蒸気圧濃度 (11.2 ng/L) より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギの皮膚刺激性試験 (OECD TG 404、4時間貼付) では、24時間後にごく軽度の紅斑 (スコア1) がみられたが48時間後には消失した。
  24時間閉塞適用した過酷条件の試験でも一過性の軽度の紅斑、浮腫が発現したが、速やかに消失しており、いずれも平均スコアは1.0を下回っていた (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  また、ボランティアによるヒトのパッチテストでも皮膚刺激性は認められなかった (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  これらの結果から皮膚刺激性はごく軽度と結論されており (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギの眼刺激性試験 (OECD TG 405)では、1時間後にごく軽度から中等度の結膜潮紅 (スコア4.3) がみられたが、24時間後には軽減し (スコア0.33)、以降は消失した。
  その他、ウサギの眼刺激性試験 (2試験) においても、一過性の結膜発赤あるいは分泌物がみられたが、48時間以降は消失した (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  これらの結果から眼刺激性はごく軽度と結論され (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   モルモットの皮膚感作性試験 (ビューラー法) では、2週間後の誘発では陰性であったが、3週間後の再誘発では20例中14例に軽度の紅斑がみられ、1例に軽度の浮腫が認められたころから、弱い感作性が示唆された (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  一方、その他のモルモット皮膚感作性試験 (ビューラー法) では陰性であった (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  また、ボランティアによるヒトのパッチテストでは28人を対象としたパイロット試験および76人を対象とした本試験のいずれも皮膚反応は認められなかった (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  相反する結果が得られていることから分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   In vivoでは、ラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性 (NICNAS (2012)、EU-RAR (2003))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験で陰性である (NICNAS (2012)、EU-RAR (2003)、NTP DB (Access on July 2016))。
  以上より、分類できないとした。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   ラット又はマウスに2年間混餌投与した発がん性試験において、肝細胞がんなど肝臓腫瘍の発生頻度の増加がみられたが、ペルオキシソーム増殖によるものと考えられている (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012))。
  DEHP (フタル酸ビス (2-エチルヘキシル)) を用いた研究からペルオキシソーム増殖を介する機序による肝臓腫瘍誘発はげっ歯類特異的な現象でヒトでは生じないと考えられている (EU-RAR (2003))。
  また、Fischer 344 ラットを用いた2つの2年間混餌投与試験で単核細胞白血病 (MNCL) が認められたが、MNCLはこの系統のラットでよく生じる腫瘍で、IARCがMNCLをヒトで対応する白血病型が不明の分類不能の白血病としており、ヒトへの外挿可能性は低いと結論されている (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012))。
  この他、雄ラットの1試験で腎尿細管腫瘍がみられたが、α2uグロブリン介在性の機序によるもので、ヒトには当てはまらないとされている (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012))。
  以上、実験動物では肝臓、腎臓の腫瘍、及び白血病が認められたが、いずれも実験動物特異的でヒトには当てはまらないと考えられている。
  すなわち、本物質のヒト発がん性については依然不明であり、本項は分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットを用いた経口経路 (混餌投与) による1世代試験、及び2世代試験において、いずれも生殖能への影響はみられなかったが、1世代試験では親動物に一般毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少、生殖器官重量変動) がみられる高用量 (15,000 ppm) で児動物の生存率低下が認められた (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  また、妊娠ラットの器官形成期に強制経口投与した発生毒性試験では、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられた1,000 mg/kg/day で胎児に骨格変異 (痕跡腰肋・頸肋、又は過剰肋骨) に加え腎盂拡張と水尿管が高頻度にみられた (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。
  以上、親動物の一般毒性用量で児動物、胎児に影響がみられたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-

-
- -   本物質のヒトでの単回ばく露のデータはない。
  動物実験では、ラットに区分2のガイダンス値範囲を超える非常に大量の本物質を経口投与した後に、健康状態の不良、呼吸困難、外見の変化 (立毛と被毛の汚れなど) がみられたが、死亡例はなく、剖検でも異常は認められなかった (EU-RAR (2003))。
  また、ウサギに区分2のガイダンス値範囲を超える量の経皮投与により、皮膚の紅斑がみられたが、全例が生存し、全身毒性症状も認めらなかった (EU-RAR (2003))。
  さらに、ラットを用いた区分2のガイダンス値範囲内の用量の急性吸入ばく露試験では、軽度の流涙と鼻汁が認められた以外には、体重減少や肉眼的病変はみられず、肺、肝臓、腎臓の顕微鏡観察による異常所見もみられなかった (EU-RAR (2003)。
  以上より動物実験における本物質の影響は非常に大量の本物質にばく露された場合にのみ認められる。
  したがって分類できないとした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-

-
- -   ヒトについては、本物質との関連性が明確な情報はない。
   実験動物については、ラット、マウス、イヌ、サルを用いた経口経路での反復投与毒性試験等が複数実施され、肝臓、腎臓、精巣等の病変が報告されているが、区分2の範囲内で分類根拠となる毒性影響はみられていない (NICNAS (2012)、食品安全委員会 (2015)、EU-RAR (2003))。
   したがって、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、40℃付近での動粘性率が37 mm2/sec (37.8℃) とのデータがある (HSDB (Access on July 2016))。
  

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
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- -   甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 ≧ 0.086 mg/L、魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 ≧ 0.14 mg/L(いずれもEU-RAR, 2003)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
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-
- -   信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
  急性毒性が区分外であり、難水溶性物質(水溶解度0.2 mg/L (PHYSPROP Database 2009))であるが、急速分解性がある(BODによる分解度:74%(既存点検, 2002))ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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