GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 513-79-1
名称 炭酸コバルト(U)
物質ID H28-A-038, C-088A
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-

-
- -   不燃性である (GESTIS (Access on July 2016))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-

-
- -   不燃性である (GESTIS (Access on July 2016))。
11 自己発熱性化学品 区分外
-

-
- -   不燃性である (GESTIS (Access on July 2016))。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- -   金属 (Co) を含むが、水溶解度は1.1 g/L (GESTIS (Access on July 2016)) との測定データが得られており、水と急激な反応はしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   ハロゲン元素を含まず、酸素を含む有機化合物である。
  この酸素が炭素及び水素以外の元素 (Co) とイオン結合しているが、これは酸化性に寄与しない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   無機化合物である。
  
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、317 mg/kg (CICAD 69 (2006)、ATSDR (2004))、640 mg/kg (HSDB (Access on July 2016)) との2件の報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 区分1A

危険
H334 P261
P284
P304+P340
P342+P311
P501
  日本産業衛生学会・許容濃度勧告では、コバルト及びその化合物として、気道感作性物質第1群に掲載されている (産衛学会勧告 (2015)) ことから、区分1Aとした。
4 皮膚感作性 区分1A

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  日本産業衛生学会・許容濃度勧告では、コバルト及びその化合物として、皮膚感作性物質第1群に掲載されている (産衛学会勧告 (2015)) ことから、区分1Aとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
6 発がん性 区分2

警告
H351 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  本物質自体の試験データはないが、コバルト及びコバルト化合物に対し、IARCがグループ2B (IARC 52 (1991)) に、ACGIHがA3 (ACGIH (7th, 2001)) に、日本産業衛生学会が第2群B (許容濃度の勧告 (2015)) に、NTPがR (NTP RoC (14th, 2016)) にそれぞれ分類している。
  したがって、本項は区分2とした。
  なお、EUは本物質をCarc 1B に分類し、SVHC指定した (ECHA (2011))。
7 生殖毒性 区分1B

危険
H360 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  本物質自体の生殖影響に関する情報はないが、無機コバルト化合物の情報が利用可能と考えられる、すなわち、雄ラットに塩化コバルト六和物を混餌投与 (265 ppm: 20 mg Co/kg/day) した試験では、35日間投与後に精巣に中等度から重度のうっ血がみられ、70日間投与後には精巣の胚上皮及びセルトリ細胞における退行性ないし壊死性の変性に加えて、精原細胞や精母細胞、精子細胞への著しい影響が認められた (環境省リスク評価書第11巻 (2013))。
  また、塩化コバルトを雄マウスに12週間飲水投与後に無処置雌と交配させた試験では、200 mg/L 以上で、精巣上体精子数の減少及び生存胎児数の減少、400 mg/L 以上で妊娠動物数の減少 (雄の受胎能低下)、精巣重量の減少、精巣精子数の減少及び精子形成能の低下がみられ、精巣の組織検査ではライディッヒ細胞の肥大、うっ血した血管、精原細胞の変性、精細管及び間質組織の壊死などが認められた (環境省リスク評価書第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。
  さらに、硫酸コバルトを妊娠雌ラットに強制経口投与 (妊娠1〜21日) した試験では、母動物毒性発現量 (100 mg/kg/dayで肝臓・副腎・脾臓相対重量の減少) より低い50 mg/kg/dayから、胎児に奇形発生 (頭蓋、脊柱、腎盂、尿細管、卵巣、精巣の奇形) が報告され、妊娠マウスへの経口投与 (妊娠6〜15日) でも 50 mg/kg/day で、胎児の眼瞼、腎臓、頭蓋、脊椎に奇形発生がみられたと報告されている (環境省リスク評価書第11巻 (2013))。
   以上、無機コバルト化合物では経口経路で雄生殖器官への有害性影響とそれによる受胎能の低下、並びに母動物毒性のない用量で催奇形性を示すことが報告されている。
  本物質も無機コバルト化合物であり、同様の生殖発生毒性を生じる可能性が十分にあると考えられ、本項は区分1Bとした。
  なお、EUは硫酸コバルト、二塩化コバルトなど無機コバルト化合物と一緒に本物質を Repr. 1Bに分類し、高懸念物質 (SVHC) に指定した (ECHA (2011))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)

警告
H335
H336
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
P405
P501
  本物質のヒト及び実験動物での単回ばく露のデータはない。
  ヒトでは金属コバルト (CAS番号 7440-48-4) が気道刺激性を示すことが報告されている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1992)、IARC 86 (2006)、PATTY (6th, 2012))。
  本物質の水溶解度は1.8g/L (CICAD 69 (2006)) と低いため、水不溶性の金属コバルトと同様の影響を示す可能性が考えられる。
  したがって区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、血液系)

危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
  本物質の水溶解度は0.18 g/100 g water (CICAD 69 (2006)) との記載がある。
   ヒト及び実験動物で本物質自体へのばく露が明らかな有害性情報はない。
   コバルト及びコバルト化合物のヒトでの健康影響に関し以下の知見があり、本物質の有害性評価に利用が可能と考えられる。
  すなわち、ダイヤモンドの研磨作業中に飛散したコバルトにばく露された作業者では咳など呼吸器症状の主訴、高濃度ばく露症例では肺機能への影響 (努力肺活量、1秒量、最大中間呼気流量の有意な減少) がみられたとの報告がある (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001))。
  コバルト精錬所の作業者では、皮膚病変 (湿疹、紅斑)、呼吸器症状 (呼吸困難、喘鳴、慢性気管支炎)、肺機能の低下、貧血所見 (赤血球数数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値の減少)、甲状腺機能影響 (軽度なT3の低値) がみられたとの報告がある (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001))。
  このうち、皮膚病変は皮膚感作性による影響と考えられ、また、甲状腺への影響は軽度なT3の低値であったことから特定標的臓器の対象外の所見と判断した。
   以上、ヒトでのコバルト及びコバルト化合物の反復ばく露による影響を本物質の反復ばく露影響とみなすことは妥当であると考え、本項は区分1 (呼吸器、血液系) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
-

-
- -   魚類(マミチョグ)96時間LC50 > 1000 mg/L(CICADs 69, 2006)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-

-
- -   信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
  難水溶性ではなく(水溶解度=1000000mg/L、PHYSPROP Database 2009)、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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