GHS分類結果

View this page in English


一般情報

項目 情報
CAS番号 10022-31-8
名称 硝酸バリウム
物質ID H28-B-004, C-007B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成19年度   平成18年度    
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外
-

-
- -   硝酸塩類であり爆発性に関連する原子団を含むが、国連分類UN1446、クラス5.1、PGIIに分類されており、上位の爆発物には該当しない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-

-
- -   不燃性 (ICSC (2004)) である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   硝酸塩類であり爆発性に関連する原子団を含むが、酸化性固体に分類されている。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-

-
- -   不燃性 (ICSC (2004)) である。
11 自己発熱性化学品 区分外
-

-
- -   不燃性 (ICSC (2004)) である。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- -   水溶解度 (8.7 g/100 mL (20℃)、ICSC (2004)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分2

危険
H272 P210
P220
P221
P280
P370+P378
P501
  強力な酸化剤 (ICSC (2004)) との記載がある。
  また、国連分類UN1446、クラス5.1、PGUであることから区分2とした。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   無機化合物である
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、355 mg/kg (EHC 107 (1990)) の報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、24時間適用試験であるが、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で軽度の刺激性がみられたとの報告 (HSDB (Access on June 2016)) がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A

警告
H319 P264
P280
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギを用いた眼刺激性試験で、重度の刺激性がみられたと記載 (EHC 107 (1990)) に基づき、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性である (CICAD 33 (2001)、HSDB (Access on May 2016))。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   本物質自体の発がん性情報はない。
  しかし、バリウムの本項に記述したとおり、塩化バリウム二水和物を用いた動物試験結果より、EPAがバリウム及びその化合物に対しグループD又はNLに (IRIS (1998))、ACGIHがバリウム及びその可溶性化合物に対しA4に分類している (ACGIH (7th, 2001))。
  よって、本物質もこれら既存分類結果を適用し、分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、心血管系、筋肉系、腎臓、消化管)
区分3(気道刺激性)


危険
警告
H370
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
  ヒトでは可溶性バリウム化合物の事故あるいは意図的な高濃度の摂取により、胃腸炎 (嘔吐、下痢、腹痛)、低カリウム血症、高血圧、不整脈、骨格筋麻痺及び腎障害を引き起こすとされている (CICAD 33 (2001)、ATSDR (2007))。
  また、本物質の経口経路あるいは吸入経路による有害影響として胃腸炎 (吐き気、嘔吐、下痢)、筋肉痙攣、徐脈、期外収縮、腎障害、低カリウム血症が報告され、死に至る可能性もあると報告されている (HSDB (Access on May 2016))。
  さらに気道刺激作用が報告されている (HSDB (Access on May 2016))。
  以上より区分1 (神経系、心血管系、筋肉系、腎臓、消化管)、区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(心血管系、神経系、筋肉系、腎臓)

危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
  本物質に関する情報はない。
   しかし、バリウム及びバリウム化合物の毒性は溶解度に大きく依存しており、毒性はバリウムイオンによるカリウムチャンネルの阻害作用と言われている (ATSDR (2007))。
  バリウムイオン及び可溶性バリウム (特に、塩化バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム) はヒトに対して有毒であり、炭酸バリウムは水に比較的不溶であるが消化管内で溶けることからヒトに対して有毒である。
  不溶性バリウム化合物 (特に、硫酸バリウム) は、バリウムイオンの供給源として無効であるのでヒトに対して一般に無毒である (ATSDR (2007))。
  したがって、本物質においても可溶性バリウムと同様の標的臓器を示すと考えられる。
   塩化バリウム等の水溶性バリウムを含む飲料水を摂取していた居住地区のヒトの集団において、高血圧、心臓疾患、脳卒中の発生頻度が上昇したとの報告、並びに、同様の他の集団において心血管障害、動脈硬化症など心臓疾患による死亡率の増加がみられたとの報告があり (ATSDR (2007))、吸入経路では、鉱物処理施設において様々なグレードのバリウムの混合及び粉砕によって平均1.07 g/m3 の可溶性バリウムにばく露された労働者における高血圧症の発生率の増加が報告されている (CICAD 33 (2001))。
  可溶性バリウムのヒトに対する影響は急性影響としては高濃度の摂取により、胃腸炎 (嘔吐、下痢、腹痛)、低カリウム血症、高血圧、不整脈及び骨格筋麻痺を引き起こす可能性があるとされている (CICAD 33 (2001))。
  さらに、ヒトでは急性バリウム中毒として腎不全、腎障害を発症したとしか報告例がないが、実験動物では塩化バリウム又はその二水和物をラット又はマウスに13週間又は2年間飲水投与した試験で、いずれも区分2を超える用量 (塩化バリウム90日ばく露換算として: 271〜803 mg/kg/day相当) で腎症による死亡例がみられており、腎臓は動物試験では最も感受性の高い臓器であると記述されている (ATSDR (2007)) ことから、ヒトにおいても腎臓は標的臓器の一つと考えられる。
   以上、本物質を含む可溶性バリウムの影響は、心血管系、神経系、筋肉系、腎臓に出現する可能性が高いと考えられたため、区分1 (心血管系、神経系、筋肉系、腎臓) に分類した。
  
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
-

-
- -   甲殻類(ブラインシュリンプ)24時間LC50 = 9018 mg/L(ECETOC TR 91, 2003)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-

-
- -   信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
  難水溶性ではなく(水溶解度=90000 mg/L、GESTIS, 2016)、急性毒性区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

GHS分類結果リストへ