GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 13463-67-7
名称 酸化チタン(ナノ粒子)
物質ID H28-B-019, C-027B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度   平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-

-
- - 不燃性である (HSDB (Acess on May 2016))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-

-
- - 不燃性である (HSDB (Acess on May 2016))。
11 自己発熱性化学品 区分外
-

-
- - 不燃性である (HSDB (Acess on May 2016))。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- - 水に不溶 (ICSC (2002)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-

-
- - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-

-
- - 本分類は、1〜100 nmの範囲の粒子の酸化チタンについて分類を実施したものである。 ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (SIDS (2015)) の報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- - 二酸化チタンナノ粒子を含有したエマルジョンを用いたボランティア実験において明確な皮膚刺激性は認められなかったとの報告や、動物に対して皮膚刺激性は認められなかったとの記載 (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013)) から、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-

-
- - 動物に対して眼刺激性は認められなかったとの記載 (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013)) から、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- - In vivoでは、アナターゼ (75%)/ルチル (25%) を用いたマウスの末梢赤血球の小核試験で陽性、アナターゼ (75%)/ルチル (25%) を用いたマウスの末梢血や肝臓のDNA損傷試験で陽性、ラットの肺のコメットアッセイで陰性(用いたナノ粒子の結晶型は不明) (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013)、産総研 (2011)、DFGOT (2014)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、IARC 93 (2010))、また、最近報告されたアナターゼ (75%)/ルチル (25%) を用いたトランスジェニックマウスへの静脈内投与による遺伝子突然変異試験(gpt/肝臓、Pig-a/赤血液)、小核試験 (網状赤血球)、コメットアッセイ(肝臓)ですべて陰性 (Mutation Research (2016)) である。In vitroでは、アナターゼ (100%)、アナターゼ (80%) /ルチル (20%)、ルチル (100%)、アナターゼ (70-85%)/ルチル (30-15%)を用いた報告で、細菌の復帰突然変異試験で陰性、gpt delta トランスジェニックマウス初代培養胚線維芽細胞などの哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験、哺乳類培養細胞の小核試験、染色体異常試験で陽性、陰性の結果が報告されている (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013)、産総研 (2011)、IARC 93 (2010)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、DFGOT (2014))。厚生労働省初期リスク評価書 (2013) は、複数のin vitro小核試験、in vivo小核試験などでの陽性結果から遺伝毒性があると考えられるが、本物質のような難溶解性の粒子における遺伝毒性は、核に対する直接作用よりはフリーラジカルが引き起こす間接的 (二次的) 遺伝毒性が関与すると結論している。 以上より、これまでに認められたin vivoでの陽性知見は相反する知見があり、in vivo陽性を確定的知見とできないこと、本物質による直接作用よりも、フリーラジカルが引き起こす間接的 (二次的) 遺伝毒性が関与するとの評価がされていることに基づき、分類できないとした。
6 発がん性 区分2

警告
H351 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
雌ラットに酸化チタンナノ粒子 (P25 (アナターゼ80%/ルチル20%、平均一次粒子径: 25 nm)) を平均重量濃度 10 mg/m3で2年間吸入 ばく露した試験 (18時間/日、5日/週) で、肺腫瘍発生動物数はばく露群で19/100例、非ばく露群で1/217例とばく露群で増加した。肺腫瘍の内訳は扁平上皮がん3/100例、腺腫4/100例、及び腺がん17/100例であった (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013)、IARC 93 (2010))。雌雄ラットに一次粒子径0.5μmが99.9%の酸化チタン (結晶型不記載) を15.95 mg/m3で12週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) し、140週後に腫瘍誘発性を検討した試験では死亡率が高かった (雄88%、雌90%) が、生存例において気道の腺腫、扁平上皮乳頭腫が雄各1例に、細気管支肺胞腺腫が雌1例にみられた (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013)、IARC 93 (2010))。また、P25 と AL23 (アナターゼ、平均粒子径: 200 nm 以下)という2種類の酸化チタン微細粒子をラットに3回ないし6回気管内注入した試験で高率に肺腫瘍の発生がみられている (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013))。 以上、酸化チタンのナノ粒子についても実験動物で発がん性を示す証拠があり、一部はIARCがグループ2Bに分類した根拠データであった。したがって、本項は区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器)

危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトに関する情報はない。 実験動物では、ラット、マウス、ハムスターに二酸化チタンナノ粒子 (粒子径21 nm、アナターゼ80%/ルチル20%) を13 週間 (6時間/ 日、5 日/ 週) 吸入ばく露を行い、ばく露終了後4、13、26及び52 週間 (ハムスターでは49 週) 後に肺の反応を測定した試験において、区分1相当である10 mg/m3 (0.007 mg/L) で気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中の総細胞数、その分画である好中球数、マクロファージ数、リンパ球数、LDH、タンパク濃度の有意な増加がみられ、ラット、マウスでは肺内クリアランスが遅延し、二酸化チタンの過負荷がおきていることが示されている (産衛学会許容濃度提案理由書 (2013)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、産総研 (2011))。また、ラットに二酸化チタンの微粒子 (粒子径250 nm、アナターゼ型) 又は二酸化チタンのナノ粒子 (粒子径21 nm、アナターゼ型) 23 mg/m3を12週間 (6時間/日、5日/週) 吸入毒性試験において、区分1相当である23 mg/m3 (ガイダンス値換算:0.015mg/L) で肺の炎症反応はナノ粒子群でより強く現れるが、64 週後に対照群と同程度となり回復性を示すとの報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010)、Ferin, J. et al, Am J Respir Cell Mol Biol., 6, 535-542, (1992))。 したがって、区分1 (呼吸器) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-

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- - ナノ粒子を用いた生態毒性試験に対する信頼性評価はできず、分類できないとした。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-

-
- - ナノ粒子を用いた生態毒性試験に対する信頼性評価はできず、分類できないとした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。  また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。  ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。  他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/24

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