項目 | 情報 |
---|---|
CAS番号 | 94-75-7 |
名称 | 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 |
物質ID | H28-B-031, C-042B |
分類実施年度 | 平成28年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 (危険物/有害物) | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイト |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
危険有害性絵表示 (コード: シンボル) 注意喚起語 |
コード (危険有害性情報) |
コード (安全対策注意書き) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
|
- | - |
爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
|
- | - |
エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 |
|
- | - |
不燃性である (ICSC(J) (2005))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
|
- | - |
分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
|
- | - |
不燃性である (ICSC(J) (2005))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 |
|
- | - |
不燃性である (ICSC(J) (2005))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
|
- | - |
金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
|
- | - |
酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、これらが炭素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
|
- | - |
分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
|
- | - |
固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 なお、金属類を侵すとの情報がある (ICSC (2005))。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
危険有害性絵表示 (コード: シンボル) 注意喚起語 |
コード (危険有害性情報) |
コード (安全対策注意書き) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
|
H302 |
P264 P270 P301+P312 P330 P501 |
ラットのLD50値として、443 mg/kg、699 mg/kg (JMPR (1996)) の報告に基づき、区分4とした。 なお、本物質は専門家判断に基づき、情報源としてJMPRのLD50値を優先的に採用した。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
|
- | - |
ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (EPA RED (2005)、JMPR (1996)) の報告に基づき、区分外とした。 ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。 なお、本物質は専門家判断に基づき、情報源としてJMPRのLD50値を優先的に採用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
|
- | - |
GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
|
- | - |
データ不足により分類できない。 なお、ラットのLC50値 (4時間) として、DFGOT vol.11 (1998) には、>1.79 mg/L の報告があるが、この値からは区分を特定することはできない。 ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
|
- | - |
ウサギの皮膚一次刺激性試験 (4時間塗布) では刺激性はみられなかった (JMPR (1996))、PATTY (6th, 2012)) ことから、区分外とした。 ガイダンスに従い、区分を変更した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
|
H319 |
P264 P280 P305+P351+P338 P337+P313 |
ウサギを用いたドレイズ法による眼一次刺激性試験において、強度の刺激性 (角膜混濁、結膜の浮腫・発赤、眼脂分泌) が認められていることから (JMPR (1996))、EPA RED (2002)、PATTY (6th, 2012)、区分2Aとした。 ガイダンスに従い、区分を変更した。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
|
- | - | データ不足のため分類できない |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 |
|
- | - |
モルモットを用いたビューラー法による皮膚感作性試験では陰性であった (EPA RED (2005)、JMPR (1996)) ことから、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
|
- | - |
ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。 すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、マウスの精原細胞姉妹染色分体交換試験で陽性、マウス骨髄細胞を用いる小核試験で陰性、ラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性、マウス骨髄細胞の染色体異常試験で陽性、陰性、ラットのリンパ球を用いる姉妹染色分体交換試験で陰性、マウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験で陽性である (JMPR (1996)、DFGOT vol.11 (1994)、ACGIH (7th, 2001)、ACGIH (7th, 2013)、EHC 29 (1984)、IARC 113 (in prep., Access on June 2016)、PATTY (6th, 2012))。 In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性、陰性の結果、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験では陰性または陽性の結果が報告されている (JMPR (1996)、DFGOT vol.11 (1994)、ACGIH (7th, 2013)、PATTY (6th, 2012)、EHC 29 (1984))。 以上のように、in vivo、in vitroで、わずかに陽性結果も認められるが、陰性の結果が主体であり、WHO (1996)、PATTY (6th, 2012) では、本物質に遺伝毒性はないと結論している。 したがって、本分類においても遺伝毒性なしと判断した。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
|
H351 |
P201 P202 P280 P308+P313 P405 P501 |
IARCは最新の評価において、本物質の発がん性はヒトでの不十分な証拠と実験動物での限定的な証拠に基づき、グループ2Bに分類した (IARC 113 (in prep., Access on June 2016)、IARC Press Release No. 236 (Access on June 2016))。 今回の評価も分類結果は以前と変更ない (IARC Suppl. 7 (1987)) が、本物質が作用機序として酸化ストレスを生じる強力な証拠があり、その機序がヒトで起こりえること、免疫抑制作用の中程度の証拠があることが記述されている (IARC Press Release No. 236 (Access on June 2016))。 よって、本項は区分2とした。 なお、他機関による分類結果としては、ACGIHが2001年以降A4に (ACGIH (7th, 2013))、EPAが1997年にグループD (Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential (2015)) に分類しており、いずれも「分類できない」に該当する。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
|
H361 |
P201 P202 P280 P308+P313 P405 P501 |
ヒトでは妊娠6ヵ月前から妊娠第5週まで本物質を含む製品にばく露された母親から生まれた子供に遺伝病とは異なる先天性奇形と重度の精神的発達障害が生じたとの記述があるが、1例のみの症例報告である (DFGOT vol. 11 (1998))。 実験動物ではラットを用いた経口経路 (混餌) による二世代生殖毒性試験において、F0、F1親動物に腎臓尿細管の限局性核密度の増加、体重増加抑制がみられる用量 (20〜80 mg/kg/day) でも受胎能に影響はなかったが、F1児動物に体重の低値、生存率低下、骨格変異・異常 (彎曲肋骨、痕跡状肋骨、胸骨分節不正の増加) がみられた (環境省リスク評価第5巻 (2006))。 また、妊娠ラット又は妊娠ウサギの器官形成期 (ラット:妊娠6〜15日、ウサギ: 妊娠6〜18日) に強制経口投与した発生毒性試験において、ウサギの試験には母動物、胎児とも異常はなかったが、ラットでは母動物に体重増加抑制がみられる用量で、骨格変異・異常 (頸肋、痕跡肋骨、胸骨分節欠損の発生率の増加) がみられている (環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2013))。 以上、実験動物で親動物に毒性影響のみられる用量で児動物又は胎児に生存率低下や骨格異常がみられたことから、本項は区分2とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) |
区分1(神経系) 区分3(麻酔作用) |
警告 |
H370 H335 H336 |
P260 P264 P270 P308+P311 P321 P405 P501 P261 P271 P304+P340 P312 P403+P233 |
ヒトでは主に自殺企図による本物質の経口摂取による、昏睡、反射の消失、意識喪失、筋緊張低下などの神経系への影響が報告されている (ACGIH (7th, 2001, 2013)、EHC 29 (1984)、DFGOT vol.4 (1992))。 また本物質にばく露された農業従事者11人 (女性、35〜52歳) を2年間経過観察した調査で、ばく露後初期に心臓の痛み、動悸、呼吸困難、周期的な頭痛とめまい、疲労感、腕や脚の痛みがみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2013)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。 さらにラットの経口単回ばく露試験で、筋緊張症によるものと考えられる協調運動障害、軽度〜中程度の歩調変化及び他の運動困難が区分1のガイダンス値の範囲内の用量で認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2013))。 以上より区分1 (神経系)、区分3 (麻酔作用) とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系、血液系、肝臓、腎臓) |
|
H372 |
P260 P264 P270 P314 P501 |
ヒトについては、1 日当たり 500 mg を 3週間経口摂取した人で、慢性中毒が生じ、縮瞳が著しかったとの記録がある (環境省リスク評価第5巻 (2006))。 実験動物では、ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、区分1相当である 5 mg/kg/dayで血液系への影響 (ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、赤血球数、網状赤血球数の減少) がみられ (環境省リスク評価第5巻 (2006))、別のラットを用いた混餌投与による13週間投与毒性試験において区分2相当の 100 mg/kg/dayで肝臓への影響 (肝臓の重量増加、AST・ALT増加、小葉中心性肝細胞肥大)、副腎への影響 (副腎重量増加、皮質球状帯細胞肥大)、腎臓への影響 (近位尿細管の刷子縁消失) がみられている (JMPR (1996))。 ラットを用いた混餌投与による2年間反復投与毒性試験において、区分1相当である 5 mg/kg/dayで腎臓への影響 (尿細管上皮細胞の褐色色素沈着、腎盂の微小結石及び移行上皮過形成の増加)がみられ (環境省リスク評価第5巻 (2006)、JMPR (1996))、別のラットを用いた混餌投与による 2年間反復投与毒性試験において、区分2相当である 75 mg/kg/dayで肝臓への影響 (AST・ALT・アルカリ性ホスファターゼ増加、結節を伴う肝細胞の染色性の変化はみられるが関連する変性や壊死なし)、甲状腺への影響 (チロキシン減少、甲状腺重量の増加)、腎臓への影響 (近位曲尿細管の下行脚の変性) がみられている (JMPR (1996))。 イヌを用いた混餌による1年間反復投与毒性試験において、区分1相当の5 mg/kg/dayで腎臓への影響 (血中尿素窒素の増加、クレアチニン増加、腎臓の尿細管上皮の色素沈着)、肝臓への影響 (ALT増加、肝臓の炎症) がみられている (環境省リスク評価第5巻 (2006)、JMPR (1996))。 このほか、マウス、イヌを用いた混餌による 13週間反復投与毒性試験においても区分1相当の用量で腎臓に影響がみられている。 これらのうち、甲状腺、副腎にみられた所見は適応反応あるいは二次的所見等が考えられることから分類根拠としなかった。 したがって、区分1 (神経系、血液系、肝臓、腎臓) とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
|
- | - |
データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
危険有害性絵表示 (コード: シンボル) 注意喚起語 |
コード (危険有害性情報) |
コード (安全対策注意書き) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 |
|
H402 |
P273 P501 |
魚類(ストライプトバス)の96時間LC50 = 70.1 mg/L(EHC 84, 1989)であることから、区分3とした。 なお、2,4-Dについては、酸体よりもエステル体の毒性が高いことが報告されているが、当該CAS番号は酸体であり、専門家判断により、本分類では酸体のデータを用いて分類を行った。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分3 |
|
H412 |
P273 P501 |
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。 急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 2002))、急性毒性区分3であることから、区分3とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
|
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
2017/7/25 |