GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 563-47-3
名称 3-クロロ-2-メチル-1-プロペン
物質ID H28-B-034, C-045B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成20年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2

危険
H225 P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P501
  ICSC(J) (2008) による引火点は-12℃ (密閉式)、沸点は72℃であり区分2に該当する。
  なお、国連分類はUN2554 クラス3 PGUである。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない
-

-
- -   化学構造に不飽和結合 (オレフィン) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   発火点は540℃ (ICSC(J) (2008)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   フッ素および酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、215 mg/kg (DFGOT vol.4 (1992)、BUA 109 (1993))、848 mg/kg (環境省リスク評価第9巻 (2011))、1,240 mg/kg (DFGOT vol.4 (1992)、BUA 109 (1993)) の3件の報告がある。
  1件が区分3に、2件が区分4に該当することから、件数の最も多い区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ラットのLD50値として、> 4,000 mg/kg (DFGOT vol.4 (1992)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3

危険
H331 P261
P271
P304+P340
P311
P321
P403+P233
P405
P501
  ラットのLC50値 (4時間) として、> 5,000 mg/m3 (換算値: > 1,350 ppm) (環境省リスク評価第9巻 (2011))、1,240 ppm (DFGOT vol.4 (1992)、BUA 109 (1993)) の2件の報告がある。
  1件は区分4〜区分外に、1件は区分3に該当する。
  有害性の高い区分を採用し、区分3とした。
  なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (136,520 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1

危険
H314 P260
P264
P280
P301+P330+P331
P303+P361+P353
P363
P304+P340
P310
P321
P305+P351+P338
P405
P501
  ウサギの皮膚に対して腐食性があり (DFGOT vol.4 (1992))、ヒトでも皮膚刺激性が報告されている (環境省リスク評価第9巻 (2011)) ことから、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-

-
- -   ウサギの眼に対して刺激性なしとの報告がある (DFGOT vol.4 (1992)) が、データが1件のみのため分類できないとした。
  なお、本物質の皮膚腐食性/刺激性の分類は区分1であり、陰性の情報がある場合でも最新のGHS改訂6版に基づくと区分1となる。
  よって、今後、ガイダンスが最新のGHS文書に従って改訂されると区分1となると考えられる。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  モルモットを用いた感作性試験で陽性であり (DFGOT vol.4 (1992))、ヒトでも皮膚感作性が報告されているため (環境省リスク評価第9巻 (2011))、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。
  すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、マウス骨髄細胞の染色体異常試験では陰性、陽性の結果、マウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験では陰性、陽性の結果である (DFGOT vol.4 (1992)、IARC 63 (1995)、NTP DB (Access on June 2016)) が、染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験の陽性結果は再現性が認められていない (NTP DB (Access on June 2016))。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陰性、染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性である (DFGOT vol.4 (1992)、IARC 63 (1995)、NTP DB (Access on June 2016))。
  以上より、in vitroで認められている陽性結果はin vivo系では誘発されないものと判断される。
6 発がん性 区分2

警告
H351 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  実験動物ではラット、及びマウスに2年間強制経口投与した発がん性試験において、ラット、マウスともに前胃の扁平上皮の乳頭腫及び扁平上皮がんの発生頻度の増加が用量依存的に認められた (NTP TR300 (1986))。
  また、ラット、及びマウスに2年間吸入ばく露した試験では雄ラットに甲状腺の濾胞状腺腫の増加、雌雄マウスに前胃の扁平上皮乳頭腫、雌マウスにハーダー腺の腺腫の増加がそれぞれ認められた (厚労省委託がん原性試験 (Access on June 2016))。
  既存分類結果としては、IARCが以前の評価でグループ3 (IARC vol. 63 (1995)) から、最新評価ではグループ2Bに変更すると予告している (IARC 115 (in prep, Access on June 2016))。
  その他、NTPがRに (NTP RoC (13th, 2014))、日本産業衛生学会が第2群Bに (産衛学会勧告 (2015)) 分類している。
  以上より、本項は区分2とした。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  雄ラットに14日間強制経口投与した結果、精細管内に精子細胞、精母細胞、精原細胞の存在がみられ、胚上皮の脱落が示唆されたが、著者は一般毒性による二次的影響と考察したとの記述がある (DFGOT vol. 4 (1992))。
  しかし、ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験では、親動物に総ビリルビン及び肝臓酵素への影響 (雌、詳細不明)、着床後胚損失の増加、前胃上皮の過形成がみられる 180 mg/kg/dayで、児動物に出生時生存数の減少が認められた (環境省リスク評価第9巻 (2011))。
  すなわち、親動物の一般毒性用量で胚死亡の増加と出生時生存児数の減少がみられたことから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用)

警告
H335
H336
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
P405
P501
  ヒトでは本物質の高濃度の蒸気へのばく露直後に、上気道粘膜が刺激され、息切れ、呼吸困難、咳、痛み、流涙、頭痛が起こり、急速に昏睡に陥る可能性がある、また低濃度の蒸気の吸引により中枢神経系の抑制と中程度の気道刺激が生じるとの記載がある (HSDB (Access on June 2016))。
  さらに投与量の詳細な記載はないが、ラットを用いた単回経口ばく露試験において、よろめき、運動失調、腹臥位、体温低下、震え、呼吸困難が認められたとの記載がある (BUA 109 (1993))。
  以上より区分3 (気道刺激性、麻酔作用)とした。
  なお旧分類ではラットを用いた急性経口毒性試験において運動失調、鎮静作用、振戦、呼吸困難がみられ症状は96時間後に回復したとの記載 (IUCLID (2000)) に基づいて、区分2 (中枢神経系) と分類しているが、IUCLIDは今回の調査で入手できなかったため、分類の根拠としなかった。
  
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)
区分2(血液系、腎臓)

危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
  ヒトに関する情報はない。
   実験動物では、ラット又はマウスを用いた104週間吸入ばく露試験において、区分1相当の50 ppm (0.19 mg/L) 以上で呼吸上皮のエオジン好性変化増加、区分2相当の100 ppm (0.37 mg/L) 以上で嗅上皮のエオジン好性変化、エオジン好性滲出物、嗅上皮の萎縮、嗅上皮の呼吸上皮化生、200 ppm (0.74 mg/L) でさらに前胃の過形成、マウスを用いた13週間吸入毒性試験において、区分2相当の125 ppm (0.33 mg/L) 以上で胃 (前胃粘膜上皮過形成)、250 ppm (0.67 mg/L) で血液系 (赤血球数の減少等) への影響が報告されている (厚労省委託がん原性試験、Access on June 2016)。
   なお、同一試験機関が実施したマウスを用いた2週間吸入毒性試験 (5日/週、10回ばく露) においても区分1相当の 270 ppm (ガイダンス値換算:0.11 mg/L) 以上で鼻腔の嗅粘膜上皮の萎縮・剥離、区分2相当の810 ppm (0.33 mg/L) 以上で死亡、赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値の減少、ALT増加、肝臓の小葉中心性核増大、腎臓の好塩基性変化、副腎の壊死 (厚労省委託がん原性試験、Access on June 2016) がみられたが、試験期間が短いこと、13週間試験や104週間試験において認められなかった影響があることから、この2週間の試験結果については分類対象としなかった。
   経口経路では、ラット、マウスを用いた強制経口投与による103週間反復投与毒性試験において、ラットでは区分2相当の 75 mg/kg/day、マウスにおいても区分2相当である 100 mg/kg/dayで前胃の上皮の過形成、鼻腔の炎症、腎症がみられている (環境省リスク評価第9巻 (2011)、NTP TR300 (1986))。
   以上の所見のうち、吸入及び経口経路でみられた前胃の所見については刺激性によるものとして標的臓器としなかった。
   したがって、区分1 (呼吸器)、区分2 (血液系、腎臓) とした。
   新たな情報が得られたことから旧分類と分類が変更となった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、HSDB (Access on June 2016) に収載された数値データ (粘性率: 0.42 mPa・s、密度 (比重): 0.917 (20℃)) より、動粘性率は0.46 mm2/sec (20℃) と算出される。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
絵表示なし


注意喚起語なし
H401 P273
P501
  甲殻類(オオミジンコ)24時間EC50 = 7.2 mg/L(BUA 109, 1993)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2

注意喚起語なし
H411 P273
P391
P501
  信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
  急速分解性がなく(10日後のBODによる分解度:30%程度(既存点検, 1990))、急性毒性区分2であることから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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