GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 96-18-4
名称 1,2,3-トリクロロプロパン
物質ID H28-B-038, C-050B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成26年度   平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4
絵表示なし


警告
H227 P210
P280
P370+P378
P403+P235
P501
  引火点は73℃ (closed cup) (ACGIH (7th, 2015)) であることから区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   発火点は304℃ (ICSC (2005)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3

危険
H301 P264
P270
P301+P310
P321
P330
P405
P501
  ラットのLD50値として、120 mg/kg (雄) (SIDS (2004)、150 mg/kg (DFGOT vol.9 (1998)、ATSDR (1992))、151 mg/kg (雌雄) (SIDS (2004)、170 mg/kg (雌) (SIDS (2004)、DFGOT vol.9 (1998))、188 mg/kg (雌)、190 mg/kg (雌雄) (SIDS (2004)、205 mg/kg (雄) (SIDS (2004)、DFGOT vol.9 (1998))、320 mg/kg (IARC 63 (1995))、442 mg/kg (DFGOT vol.9 (1998))、444 mg/kg (DFGOT vol.9 (1998)、ATSDR (1992))、450 mg kg (雄) (ACGIH (7th, 2015))、505 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、150〜505 mg/kg (EPA IRIS Summary (2009)、CICAD 56 (2003)) の13件の報告がある。
  7件が区分3に、5件が区分4に、1件が区分3〜区分4に該当することから、件数の最も多い区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3

危険
H311 P280
P302+P352
P312
P321
P361+P364
P405
P501
  ウサギのLD50値 (OECD TG 402) として、900 mg/kg (雄)、850 mg/kg (雌) (SIDS (2004)、DFGOT vol.9 (1998))、880 mg/kg (雄雌) (SIDS (2004)) との報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2

危険
H330 P260
P271
P284
P304+P340
P310
P320
P403+P233
P405
P501
  ラットのLC50値 (4時間) として、約3,000 mg/m3 (換算値:約497.5 ppm) (SIDS (2004)、CICAD 56 (2003)、EPA IRIS Summary (2009)、DFGOT vol.9 (1998)、ACGIH (7th, 2015)、ただしACGIHでは500 ppmと記載) との報告に基づき、区分2とした。
  なお、ラットのLC50値 (4時間) (OECD TG 403) として、> 4.8 mg/L (換算値:> 796 ppm) (SIDS (2004)) との報告があるが、この値のみでは区分を特定できない。
  なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (4,870 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   0.5 mL の被験物質をウサギに4時間貼付した皮膚刺激性試験 (OECD TG 404準拠) で、軽度(mildly)の皮膚刺激性が認められた (SIDS (2004))。よって、区分外 (国連分類基準の区分3に該当) とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2

警告
H319 P264
P280
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギの眼刺激性試験で軽度〜中等度の刺激性がみられた (DFGOT vol.9 (1992)、SIAP (2004)、ACGIH (7th, 2015)、CICAD 56(2003))。
  一部の試験で中等度の刺激性が7日以内に回復したとの記載があるが、細分類できなかったため、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   モルモットの皮膚感作性試験において、マキシマイゼーション法を含む2試験で陽性、ビューラー法を含む2試験で陰性の結果があり (ATSDR (1992)、CICAD 56 (2003)、SIAP (2004))、分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2

警告
H341 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  In vivoでは、ラットの優性致死試験、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、ラットの肝臓、腎臓を用いたコメットアッセイ、ラット及びマウスの複数の臓器を用いたDNA付加体形成試験で陽性である (EPA IRIS Tox review(2009)、IARC 63 (1995)、DFGOT vol.9 (1998)、ACGIH (7th, 2015)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験での代謝活性化系で陽性、小核試験では非代謝活性化系で陽性結果が報告されている (EPA IRIS Tox review (2009)、IARC 63 (1995)、NTP TR384 (1993)、DFGOT vol.9 (1998)、ACGIH (7th, 2015)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
  以上より、ガイダンスに従い、区分2とした。
6 発がん性 区分1B

危険
H350 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ヒトの発がん性に関する情報はない。
  実験動物ではラット、又はマウスに2年間強制経口投与した発がん性試験において、口腔粘膜扁平上皮の乳頭腫/がん、前胃の扁平上皮乳頭腫/がん、肝細胞の腺腫/がんがラット及びマウスの雄及び/又は雌に、ジンバル腺、膵臓、腎臓、包皮腺、陰核腺、乳腺の腫瘍がラットの雄又は雌に、ハーダー腺の腺腫がマウス雄に、子宮の腫瘍がマウス雌に認められ、ラット、マウスの雌雄いずれも明らかな発がん性の証拠があると結論された (NTP TR 384 (1993))。
  既存分類はIARCがグループ2Aに (IARC 63 (1995))、EPAがL (Likely to be carcinogenic to humans: 区分1B相当) に (IRIS Summary (2009))、NTPがRに (NTP RoC (13th, 2014))、EUがCarc. 1Bに (ECHA SVHC support document (2011))、ACGIHがA2に (ACGIH (7th, 2015))、日本産業衛生学会が第2群Aに (許容濃度の勧告 (2015))、それぞれ分類している。
  よって、本項は区分1Bとした。
7 生殖毒性 区分1B

危険
H360 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  マウスを用いた経口経路 (強制経口投与) による連続交配試験において、F0世代では肝臓の絶対・相対重量の増加(雌雄)、腎臓の絶対・相対重量の減少 (雌) が認められた高用量 (120 mg/kg/day) で、5回の妊娠・出産を繰返したうち、受胎率の低下 (3回目の妊娠以降)、生存児数の減少 (2回目の出産以降)、妊娠期間の延長 (4回目の妊娠以降) がみられた。
  最後の出産児をF1世代として離乳後F0と同様に投与し、成長後同一用量群同士を交配させた結果、30 mg/kg/day 以上の群で性周期の延長、120 mg/kg/dayで受胎率の低下が認められた (環境省リスク評価第13巻 (2015)、ACGIH (7th, 2015)、CICAD 56 (2003))。
   以上、親動物に体重増加抑制など明らかな毒性影響が生じない用量で、生殖毒性影響 (受胎率の低下、生存産児数の減少、性機能への影響) がみられたことから、本項は区分1Bとした。
  なお、EUは本物質をRepr. 1Bに分類し、発がん性結果も併せてSVHC指定している (ECHA SVHC support document (2011))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、副腎)
区分3(気道刺激性)


危険
警告
H370
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
  本物質のラット及びモルモットを用いた単回吸入ばく露試験において昏睡と痙攣及び副腎皮髄の壊死が区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2015)、NTP TR384 (1993))。
  さらにラット及びマウスを用いた吸入ばく露試験において呼吸困難、不活発、上気道刺激が認められたとの記述 (ACGIH (7th, 2001))、及びヒトばく露例で喉に刺激性が認められたとの記述がある (ACGIH (7th, 2015)、CICAD 56 (2003)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995) 及び ATSDR (1992))。
  以上より区分1 (神経系、副腎)、区分3 (気道刺激性) とした。
  なお、旧分類ではラットを用いた単回吸入ばく露試験において肝障害を示す影響が区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められたとの記述 (CICAD 56 (2003)、ACGIH (7th, 2001)、NTP TR384 (1993)) に基づいて区分1 (肝臓) としていたが、影響が肝臓機能障害の指標となる酵素活性の上昇のみであったため、分類を見直した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、肝臓、血液系、膵臓、腎臓)
区分2(心臓)

危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
  ヒトに関する情報はない。
   実験動物では、ラットを用いた13週間吸入毒性試験において、区分1相当である4.5 ppm (ガイダンス値換算:0.02 mg/L)で肝臓への影響 (肝細胞肥大)、血液への影響 (脾臓の髄外造血亢進) (CICAD 56 (2003)、ACGIH (7th 2001)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995)、NTP TR384 (1993)、ATSDR (1992))、ラットを用いた11日間吸入毒性試験において区分1相当である2.9 ppm (ガイダンス値換算:0.0021 mg/L) で呼吸器 (鼻甲介嗅上皮の菲薄化)、132 ppm (ガイダンス値換算:0.097 mg/L) で肝臓 (肝細胞壊死) の報告があり、マウスを用いた11日間吸入毒性試験において同様に区分1相当の濃度で肝臓及び呼吸器への影響が報告されている (環境省リスク評価第13巻 (2015))。
   ラットを用いた強制経口投与による90日間反復投与毒性試験において、区分2相当の59 mg/kg/dayで肝臓への影響 (胆管過形成、AST及びALT増加)、心臓への影響 (心筋への影響、(AST増加)) が報告されている (CICAD 56 (2003)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
  ラットを用いた強制経口投与による17週間反復投与毒性試験において、区分1の範囲である8〜16 mg/kg/day (90日換算:3.6〜7.1 mg/kg/day) で血液系への影響 (ヘマトクリット値・赤血球数・ヘモグロビン濃度減少等)、マウスを用いた強制経口投与による17週間反復投与毒性試験において、区分2相当の63 mg/kg/day (90日換算:59.5 mg/kg/day) で前胃への影響 (前胃の角質増殖と扁平上皮過形成)、呼吸器への影響 (細気管支の再生変性) が報告されている (CICAD 56 (2003)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.9 (1998)、IARC 63 (1995)、IRIS Tox. review (2009)、NTP TR384 (1993)、ATSDR (1992)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
  ラットを用いた強制経口投与による104週間反復投与毒性試験において、区分1相当の3 mg/kg/dayで前胃への影響 (基底細胞及び扁平上皮の過形成)、膵臓への影響 (腺房の限局性過形成)、10 mg/kg/dayで腎臓への影響 (尿細管上皮の限局性過形成) が報告されている (環境省リスク評価第13巻 (2015))。
   これらの所見のうち、前胃の変化については刺激性に起因したものと考え標的臓器とはしなかった。
   したがって、区分1 (呼吸器、肝臓、血液系、膵臓、腎臓)、区分2 (心臓) とした。
  
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、HSDB (Access on June 2016) に収載された数値データ (粘性率: 0.25 mPa・s (20℃)、密度: 1.389 g/cm3 (20℃)) より、動粘性率は0.18 mm2/sec (20/20℃) と算出される。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
絵表示なし


注意喚起語なし
H401 P273
P501
  甲殻類(ネコゼミジンコ)48時間EC50 = 4.13 mg/L (CICADs 56, 2003、SIDS, 2004、環境省リスク評価第13巻, 2015)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-

-
- -   急速分解性はないが(BODによる分解度:0%(既存点検, 1985))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(r) = 12.8 mg/L(CICADs 56, 2003、SIDS, 2004、環境省リスク評価第13巻, 2015)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖) = 4.5 mg/L(環境省リスク評価第13巻, 2015)、魚類(メダカ)の9ヶ月間NOEC(致死) = 4.6 mg/L(環境省リスク評価第13巻, 2015)から、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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