GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 121-44-8
名称 トリエチルアミン
物質ID H28-B-039, C-051B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2

危険
H225 P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P501
  引火点-6℃ (closed cup)、沸点89.9℃ (Merck (15th, 2013) であることから区分2とした。
  国連分類UN1296 クラス3 副次8 PGUである。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   発火点は230℃ (ICSC(J) (2002)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、182 mg/kg (DFGOT vol.13 (1999))、460 mg/kg (ACGIH (7th, 2015)、DFGOT vol.13 (1999)、PATTY (6th, 2012))、590 mg/kg、560 mg/kg、730 mg/kg (DFGOT vol.13 (1999))、1,029 mg/kg (DFGOT vol.13 (1999)) の6件の報告がある。
  1件が区分3に、5件が区分4に該当することから、件数の最も多い区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3

危険
H311 P280
P302+P352
P312
P321
P361+P364
P405
P501
  ウサギのLD50値として、415 mg/kg (DFGOT vol.13 (1999))、416 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、420 mg/kg (ACGIH (7th, 2015))、578 mg/kg (DFGOT vol.13 (1999))、580 mg/kg (SIAP (2012)) の5件の報告がある。
  これらに基づき区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4

警告
H332 P261
P271
P304+P340
P312
  ラットのLC50値 (4時間) として、1,250 ppm、2,600 ppm (DFGOT vol.13 (1999))、2,633 ppm (SIDS (2012)) の3件の報告がある。
  1件が区分3に、2件が区分4に該当することから、件数の最も多い区分4とした。
  なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (75,360 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
  新たに入手した情報に基づき、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1

危険
H314 P260
P264
P280
P301+P330+P331
P303+P361+P353
P363
P304+P340
P310
P321
P305+P351+P338
P405
P501
  ウサギでの皮膚への3分、1時間又は4時間の閉塞適用において腐食性であることから (DFGOT vol.13 (1999))、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1

危険
H318 P280
P305+P351+P338
P310
  ウサギの眼に対する本物質0.1 mLの適用において腐食性であることから DFGOT vol.13 (1999))、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外
-

-
- -   モルモットの皮膚感作性試験で陰性であり、ヒトのパッチテストにおいても皮膚感作性は認められないことから (DFGOT vol.13 (1999))、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   In vivoでは、マウスの末梢血を用いた小核試験で雄で不確かな結果、雌で陰性の結果である (NTP DB (Access on June 2016)) が、この不確かな結果については、再現性確認がされていないことから、今回陽性の判断を行わなかった。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験で陰性である (DFGOT vol.13 (1999)、ACGIH (7th, 2015)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、NTP DB (Access on June 2016))。
  以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   既存分類結果としてACGIHがA4に分類しており (ACGIH (7th, 2015))、本項は分類できないとした。
  なお、本物質を含む多くの化学物質にばく露された作業者に種々のがん、特に膀胱がん発生率の増加がみられたが、原因物質は本物質ではなく、1-ナフチルアミンなど芳香族アミン化合物及びベンジジンと考えられている (DFGOT vol. 13 (1999))。
7 生殖毒性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、ラットを用いた飲水投与による3世代試験でいずれの世代にも生殖発生影響はみられなかったとの報告 (環境省リスク評価第6巻 (2008)、ACGIH (7th, 2015))、並びに妊娠ウサギに静脈内注射した試験で母動物毒性発現量より低用量で胎児毒性がみられたとの報告がある (環境省リスク評価第6巻 (2008)、ACGIH (7th, 2015))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)
区分3(気道刺激性)


危険
警告
H370
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
  ヒトでは本物質の吸入ばく露により脳波の変化がみられるとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
  実験動物ではマウス又はラットを用いた4時間の単回吸入ばく露試験で、区分2のガイダンス値範囲内の用量で気道刺激作用、呼吸困難、興奮、振戦、痙攣、協調運動障害がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2015)、DFGOT vol. 13 (1999))。
  以上より区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。
  なお、ヒトのボランティアでの本物質の単回吸入ばく露試験で 視覚障害 (霧視、視力低下、コントラスト感度低下) と角膜浮腫がみられたとの報告 (ACGIH (7th, 2015)、DFGOT vol.13 (1999)、IRIS (1991)) があるが、これらの影響は本物質の腐食性によるものと考えられる。
  また旧分類ではマウスを用いた吸入ばく露試験において呼吸数の低下が156〜180 ppmの低濃度で認められているとの記述 (ACGIH (7th, 2001)) および腐食性であることから、区分1 (呼吸器) としていたが、ばく露時間が不明であるため分類の根拠には用いなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器)

警告
H373 P260
P314
P501
  ヒトについては関連する情報はない。
   実験動物においては、ラットを用いた短期の高濃度ばく露の例として、10日間吸入ばく露した試験報告では区分2相当の4,140 mg/m3 (ガイダンス値換算:0.46 mg/L) で呼吸器への影響 (鼻腔の壊死性炎症、気管で扁平上皮化生、死亡例で肺の血管周囲浮腫) の報告がある (環境省リスク評価第6巻 (2008))。
  以上より、区分2 (呼吸器) とした。
   なお、旧分類でラットを用いた試験で中枢神経系への影響がみられ、ヒトにおいても視覚障害がみられるとして中枢神経を標的臓器としているが、当該のラットの試験について詳細が不明である (環境省リスク評価第6巻 (2008)) こと、ヒトの視覚障害は刺激性に起因したものと考えられることから、今回、中枢神経系を標的臓器とはしなかった。
  
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
絵表示なし


注意喚起語なし
H401 P273
P501
  藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 = 7.97 mg/L(環境庁生態影響試験, 1999、環境省リスク評価第6巻, 2008)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
絵表示なし


注意喚起語なし
H412 P273
P501
  慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:34%, 25%, 26%(既存点検, 1990))が、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(r) = 1.1 mg/L(環境庁生態影響試験, 1999、環境省リスク評価第6巻, 2008)、甲殻類(ネコゼミジンコ)の7日間NOEC = 7.1 mg/L(SIAP, Conclusions Agreed in CoCAM 2, 2012)であることから、区分外となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:34%, 25%, 26%(既存点検, 1990))、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 24 mg/L(環境庁生態影響試験, 1999、環境省リスク評価第6巻, 2008)であることから、区分3となる。
   以上の結果を比較し、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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