GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 114-26-1
名称 N-メチルカルバミン酸2-イソプロポキシフェニル (プロポキスル)
物質ID H28-B-040, C-053B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
  なお、特定条件下で可燃性との情報がある (ICSC(J) (1994))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   分子内にフッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3

危険
H301 P264
P270
P301+P310
P321
P330
P405
P501
  ラットのLD50値として、68 mg/kg、94 mg/kg (EPA RED (1997))、83 mg/kg、86 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) 、78.5〜126 mg/kg、89.7〜196 mg/kg (ACGIH (7th, 2016)) の6件の報告がある。
  これに基づき区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kgとの報告がある (EPA RED (1997)、ACGIH (7th, 2016))。ラットのLD50値として、> 2,400 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、> 5,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2016)、JMPR (1989)) の2件の報告がある。これらに基づき区分外とした。
  旧分類から分類結果を変更した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、ラットのLC50値 (4時間) (OECD TG 403) として、> 500 mg/m3、> 654 mg/m3 (ACGIH (7th, 2016)) の2件の報告があるが、この値からは区分を特定することはできない。
  新たに入手した情報に基づき、区分を見直した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギの皮膚刺激性試験 (4時間適用) において刺激性は認められなかったため (ACGIH (7th, 2016)、JMPR (1989))、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
絵表示なし


警告
H320 P264
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギの眼刺激性試験において、軽度の刺激性 (充血、眼脂) が認められたが48時間後には消失した (EPA RED (1997))。
  又は2/3の動物でごく軽度の結膜の紅斑が認められたが24時間後には回復したことから (JMPR (1989))、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験で、感作性は認められなかったとの報告がある (ACGIH (7th, 2016)、JMPR (1989)) が、試験方法等詳細について不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。
5 生殖細胞変異原性 区分2

警告
H341 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  In vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、チャイニーズハムスターの精原細胞を用いた染色体異常試験で陰性、マウスの末梢血赤血球、骨髄細胞を用いた小核試験、マウス骨髄細胞の染色体異常試験は陰性の結果が多いが、最近の評価書で、マウス骨髄/末梢血における染色体損傷の複数の陽性結果が報告されている (ACGIH (7th, 2016)、JMPR (1989)、EPA RED (1997))。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、小核試験で陽性、染色体異常試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で陰性である (ACGIH (7th, 2016)、JMPR (1989)、EPA RED (1997))。
  以上の情報から、in vivoでは陽性結果が考慮されると判断した。
  なお、旧分類でマウスを用いた優性致死試験で陽性の結果があることにより区分1Bと分類されているが、この結果については、JMPR (1989) はこの陽性結果は疑問であると記載しているため、本分類では採用しなかった。
  以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
   新たな情報を加え旧分類を見直した。
6 発がん性 区分2

警告
H351 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  既存分類として、ACGIHがA3に分類しており、本項は区分2とした。
  試験データとしてはラット1年間混餌投与で膀胱乳頭腫及び膀胱がんの頻度増加、マウス1年間混餌投与で肝細胞腺腫の頻度増加、ラット2年間吸入ばく露で膀胱乳頭腫、肝細胞腺腫の頻度増加などが報告されている (EPA RED (1997)、JMPR (1989)、ACGIH (7th, 2016))。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットに混餌投与した2つの2世代生殖毒性試験のうち、低用量 (最大80 ppm (7〜8 mg/kg/day)) の1試験では生殖毒性は認められなかったが、高用量投与での別試験ではF0、F1親動物に赤血球アセチルコリンエステラーゼ活性の低下 (雄は100 ppm以上)、体重低値 (500 ppm以上)、尿路上皮の過形成がみられる2,500 ppm (228〜239 mg/kg/day) で、F1雌に腹当たりの着床痕数の減少、及び同腹児数の減少が認められた。
  また、F1、F2児動物には2,500 ppm で出生時体重の低値がみられた (EPA RED (1997)、ACGIH (7th, 2016))。
  一方、妊娠ラット、又は妊娠ウサギの器官形成期に強制経口投与した発生毒性試験では、いずれも母動物の10%超が死亡する用量 (ラット: 27 mg/kg/dayで 3/25例、ウサギ: 30 mg/kg/dayで 3/16例が死亡)においても、ウサギで僅かな胎児毒性 (着床後胚損失の軽度増加) がみられた以外に奇形を含む発生影響は認められなかった (EPA RED (1997)、ACGIH (7th, 2016))。
   以上、ラット2世代試験で親動物の毒性発現量で生殖発生影響 (腹当たりの着床痕数減少、出生時体重の低値など) がみられたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、循環器系)
区分3(麻酔作用)


危険
警告
H370
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
  本物質はコリンエステラーゼ阻害剤である。
  ヒトでは本物質の事故又は故意による経口摂取により、頻脈、瞳孔収縮、昏睡及び肺浮腫を起こすとの記載がある (ACGIH (7th, 2016)。
  またボランティアによる単回経口摂取試験で、赤血球コリンエステラーゼ活性低下、脈拍と血圧の上昇、吐き気と嘔吐、大量の発汗が報告されている (ACGIH (7th, 2016)、EHC 64 (1986))。
  さらにマラリア駆除のために散布された本物質の散布作業労働者と住民による吸入ばく露の例では、嗜眠、発汗、吐き気、頭痛、頻脈、嘔吐、めまいが報告されている ((ACGIH (7th, 2016))。
  実験動物ではラットを用いた経口単回投与による急性毒性試験で、区分1のガイダンス値範囲内の投与量で血漿、赤血球、脳のコリンエステラーゼ活性が低下し、痙攣、筋肉痙攣、呼吸困難、流涎が認められた (JMPR (1989))。
  以上より区分1 (神経系、循環器系)、区分3 (麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(神経系)

警告
H373 P260
P314
P501
  ヒトについて関連する情報はない。
  実験動物については、ラットを用いた混餌による16週間反復投与毒性試験において、区分2相当の1,000 ppm (ガイダンス値換算:50 mg/kg/day) で肝臓の病理組織学的変化、脳コリンエステラーゼ活性の低下の報告 (JMPR (1973)) や、ラットを用いた4又は8週間吸入ばく露試験において区分2相当の139.6 mg/m3 (ガイダンス値換算:0.03 mg/L (20日間ばく露)、0.06 mg/L (40日間ばく露)) でコリン作動性症状がみられたとの報告 (JMPR (1989))、サルを用いた強制経口投与による13週間反復投与毒性試験において区分2相当の40 mg/kg/dayで神経系への影響 (コリン作動性症状) がみられたとの報告がある (JMPR (1989)、ACGIH (7th, 2016))。
  また、ラットを用いた混餌投与による2年間反復投与毒性試験等において区分2相等の1,000 ppm (ガイダンス値換算:50 mg/kg/day) で膀胱過形成の報告がある (JMPR (1989))。
  この膀胱過形成については種差があり、マウス、ハムスター、アカゲザルではみられないことが確認され、さらに、飼料による差が生じることが確認されている (JMPR (1989)) ことから、標的臓器としなかった。
  また、肝臓については病理組織学的変化の内容が不明であること、他の複数の試験において病理組織学的所見が報告されていないことから分類根拠としなかった。
   したがって、区分2 (神経系) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(オオミジンコ)EC/LC50(時間不明) = 0.011 ppm(U.S.EPA: RED, 1997)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
  急速分解性がなく(BOD (NH3) による分解度:1%, 9%, 6%(既存点検, 2002))、急性毒性区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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