GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 1321-64-8
名称 ペンタクロロナフタレン
物質ID H28-B-055, C-100B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-

-
- - 不燃性である (ICSC(J) (2001))。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-

-
- - 不燃性である (ICSC(J) (2001))。
11 自己発熱性化学品 区分外
-

-
- - 不燃性である (ICSC(J) (2001))。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- - フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
ラットの100%死亡投与量 (1,800 mg/kg) 及び100%生存投与量 (600 mg/kg, HSDB (Access on October 2016)) の報告に基づき、区分4とした。 なお、モルモットの100%死亡投与量 (30 mg/kg) 及び100%生存投与量 (5 mg/kg, HSDB (Access on October 2016)) の報告、ウサギに500 mg/kg 投与して7日間観察時の死亡率は60%であった旨の記載 (CICAD 34 (2001)) から、本物質及び塩素化ナフタレンの種差は大きい可能性がある。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。なお、ポリクロロナフタレンを経皮ばく露したモルモットで強い皮膚刺激性が報告されているが (CICAD 34 (2001))、本物質に起因した刺激性であることを特定できなかったため、採用しなかった。また、旧分類で採用した情報はList 3の情報であり、出典が確認できなかったため、不採用とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。なお、ポリクロロナフタレンにばく露された労働者で眼の刺激性が報告されているが、他の化学物質にばく露された可能性も指摘されている (CICAD 34 (2001)) ことから、採用しなかった。、また、旧分類で採用した情報はList 3の情報であり、出典が確認できなかったため、不採用とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。本物質のヒト及び実験動物での単回ばく露のデータはない。なお、塩素化ナフタレン化合物は肝臓毒性を示すとの記載 (CICAD 34 (2001)、DFGOT vol. 13 (1997)) 及び、塩素化ナフタレン化合物にばく露された労働者は眼の刺激、疲労感、頭痛、貧血、血尿、食欲不振、嘔吐、腹部の激しい疼痛などの症状を示したとの記載 (CICAD 34 (2001)) があるが、いずれもばく露回数の情報はない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (肝臓、皮膚)

危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトについては、トリクロロナフタレンあるいは塩素数がそれより多いもので塩素ざ瘡がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 13 (1997))。また、ボランティアによる皮膚への塗布実験では塩素ざ瘡を生じたのはペンタ−、ヘキサクロロナフタレンを成分とするHalowax 1014 だけで、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ヘプタ−、オクタクロロナフタレン含有のHalowax では生じなかったとの報告がある(CICAD 34 (2001))。
本物質単一ではないが、本物質及びヘキサクロロナフタレンの混合物の濃度1〜2 mg/m3の作業環境において黄色肝萎縮による致死の報告がある (ACGIH (7th, 2001))。ワイヤー製造工場において本物質及びヘキサクロロナフタレンをしみこませた布への接触による塩素ざ瘡の報告がある (ACGIH (7th, 2001))。本物質を主成分として含む塩化ナフタレンによって多くの皮膚炎 (塩素ざ瘡) の発症、多くの肝障害の例、数名の死亡がみられており、Cotter (1944) は本物質を中毒性肝炎の7例、うち2例は致死の原因と明言している。Kleinfeld et al. (1972) はテトラクロロナフタレン及び本物質のばく露を受けた59名の作業者の臨床所見を報告しており、56名は皮膚への接触による塩素ざ瘡と一致する皮膚疾患を示し、蒸気の吸入により頭痛、疲労感、めまい、食欲不振を含む全身所見及び症状がみられている (ACGIH (7th, 2001))。
実験動物では、本物質単一での報告はないが、本物質とヘキサクロロナフタレンの混合物0.00116 mg/Lを134日間 (16時間/日) または0.00144 mg/Lを143日間 (8時間/日) ラットに吸入ばく露した試験において、肝障害 (肝細胞腫大、脂肪空胞化、顆粒状化、有糸分裂像)の、00088 mg/L を134日間 (16時間/日) ラットに吸入ばく露した試験において、死亡、黄疸、肝細胞の脂肪変性、小葉中心性壊死の報告があり (CICAD 34 (2001)、ACGIH (7th, 2001))、これらはいずれも区分1の範囲内であった。
なお、ラット及びモルモットにポリ塩化ナフタレンの工業用混合物を用いた中期毒性試験で肝障害 (主に顆粒状化及び空胞形成の亢進を伴う肝細胞肥大) 等が認められたが、塩素化の進んだ混合物のほうが、毒性が高いとみられるとの報告がある (CICAD 34 (2001))。また、ヒト及び動物の研究から毒性は同属体/異性体により決まることが証明され、ペンタクロロナフタレン及びヘキサクロロナフタレンの毒性が最も強いことは全ての研究で一致しているとの報告がある (CICAD 34 (2001))。
以上、本物質単一での報告は少ないが、塩素化ナフタレンにより肝臓、皮膚に影響がみられ、本物質及びヘキサクロロナフタレンは塩素化ナフタレンの毒性の主要な原因物質と考えられることから区分1 (肝臓、皮膚) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-

-
- - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-

-
- - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。  また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。  ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。  他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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