GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 86-30-6
名称 N-ニトロソジフェニルアミン
物質ID H28-B-064, C-143B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない
-

-
- -   爆発性に関連する原子団 (N-O) を含み、酸素収支の計算値が-200以下 (-218) であるが、300〜500℃での発熱分解エネルギーが500 J/g超 (650 J/g, Bretherick(J) (5th, 1998)) であるので、データ不足により分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- -   可燃性であるが (ICSC (2003))、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-

-
- -   爆発性に関連する原子団(N-O)を含むニトロソ化合物であるが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-

-
- -   フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-

-
- -   ラットのLD50値として、3,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、IARC 27 (1982)、ATSDR (1993)、NTP TR164 (1979)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
  なお、旧分類で用いていたCERIハザードデータ集 (1998) は、List 3の文献であるため、分類には使用しなかった。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ウサギのLD50値 > 7,940 mg/kg (環境省リスク評価第4巻 (2005)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
  なお、旧分類で用いていたCERIハザードデータ集 (1998) は、List 3の文献であるため、分類には使用しなかった。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、ウサギの皮膚刺激性試験において刺激性なしとの記述があるが、詳細は不明である (環境省リスク評価第4巻 (2005))。
  また、旧分類ではATSDR (1993) の情報を採用していたが、ATSDRには不十分な試験との記載があることから、本分類では採用しなかった。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
絵表示なし


警告
H320 P264
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギの眼刺激性試験において、軽度の眼刺激性が認められたとの報告から (環境省リスク評価第4巻 (2005))、区分2Bとした。
  なお、旧分類で用いていたCERIハザードデータ集 (1998) は、List 3の文献であるため、分類には使用しなかった。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。
  すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験、ラット肝臓のDNA傷害試験で陰性 (ATSDR (1993)、環境省リスク評価第4巻 (2005)) である。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、陽性の結果、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、マウスリンフォーマ試験で陰性、陽性の結果、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性、陽性の結果である (NTP DB (Access on October 2016)、ATSDR (1993)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、IARC 27 (1982))。
  なお、旧分類で用いていたCERIハザードデータ集 (1998) は、List 3の文献であるため、分類には使用しなかった。
6 発がん性 区分2

警告
H351 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラット、マウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、マウスには発がん性の証拠は示されなかったが、ラットでは雌雄とも高用量群で膀胱移行上皮細胞がんの頻度の増加が認められた (IARC 27 (1982)、IRIS (1987))。
  IARCは実験動物で限定的な証拠があるが、ヒトのデータが不十分なため、分類はグループ3とした (IARC Suppl. 7 (1987))。
  一方、EPAはラットの膀胱がんに加えて、雄マウスに単回皮下投与した試験における細網肉腫の頻度増加と発がん性物質ニトロソアミンとの構造相関 (IRIS (1987)) に基づき、B2 (区分1B相当) に分類した (IRIS (1987))。
  以上、両機関による分類結果が異なり、本物質がN-ニトロソ化合物であることから区分1Bの可能性もあるが、実験動物1種のみの発がん性結果を踏まえ、本項は区分2が妥当と判断した。
7 生殖毒性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性)

警告
H371 P260
P264
P270
P308+P311
P405
P501
  本物質のヒトでの単回ばく露のデータはない。
  実験動物ではラットの単回経口投与試験で、区分2相当の1,825 mg/kgで摂餌量の低下、自発運動の低下、衰弱、振戦、虚脱を示して死亡したとの記載 (環境省リスク評価第4巻 (2005)) がある。
  これらの症状から標的臓器を特定できないため、区分2 (全身毒性) とした。
  なお、旧分類で用いていたCERIハザードデータ集 (1998) は、List 3の資料であるため、使用しなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(膀胱)

警告
H373 P260
P314
P501
  ヒトについては本物質の影響を特定できる情報はなかった。
   実験動物については、ラット、マウスを用いた混餌投与による発がん性試験が実施されている。
  ラットでは、区分2相当である50 mg/kg/dayで膀胱移行上皮細胞の過形成が認められ、マウスでは、区分2を超える用量である雄の1,300 mg/kg/day以上、雌で301 mg/kg/day以上で膀胱の上皮の過形成、粘膜下組織の慢性炎症が認められた (NTP TR164 (1979)、環境省リスク評価第4巻 (2005))。
   したがって、区分2 (膀胱) とした。
   なお、旧分類で区分2 (呼吸器、肝臓、腎臓) の根拠としたデータは、ウサギの試験であり、環境省リスク評価第4巻 (2005) には詳細の不明な試験との記載があることから採用しなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
絵表示なし


注意喚起語なし
H401 P273
P501
  甲殻類(オオミジンコ)48時間LC50 = 7.8 mg/L(環境省リスク評価第2巻, 2003、環境省リスク評価第4巻, 2005)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1980))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖) = 0.075 mg/L(環境庁生態影響試験, 1996、環境省リスク評価第2巻, 2003、環境省リスク評価第4巻, 2005)であることから、区分1となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1980))、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 10.2 mg/L(環境庁生態影響試験, 1996、環境省リスク評価第2巻, 2003、環境省リスク評価第4巻, 2005)であることから、区分3となる。
   以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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