GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 26087-47-8
名称 チオりん酸S-ベンジル-O, O-ジイソプロピル (別名イプロベンホス)
物質ID H28-B-066, C-145B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   熱に対して150℃まで安定 (食品安全委員会農薬評価書 (2009)) であることから、常温の空気と接触しても自然発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- -   半金属 (P) を含むが、水溶解度は0.54 g/L (食品安全委員会農薬評価書 (2009)) との測定結果が得られており、水と急激な反応はしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類できない
-

-
- -   フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素、水素以外の元素 (P) と化学結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、640 mg/kg (雄)、600 mg/kg (雌)、790 mg/kg (雄)、680 mg/kg (雌) (農薬抄録 (2009)、食品安全委員会農薬評価書 (2009)) の4件の報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ラットのLD50値として、> 4,000 mg/kg (雌雄) (農薬抄録 (2009)、食品安全委員会農薬評価書 (2009)) の報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外
-

-
- -   ラットのLC50値 (4時間) として、> 5.15 mg/L (雄)、> 5.15 mg/L (雌)、0.34 mg/L (雌)、1.12 mg/L (雄) (農薬抄録 (2009)、食品安全委員会農薬評価書 (2009)) の4件のデータがあった。
  前2件のデータは2006年に、後2件のデータは1986年に実施されている。
  いずれの試験もGLPで実施されていたが、2006年の試験は8週齢の動物を用いて鼻部ばく露で実施されており、1986年の試験は6〜8週齢の動物を用い全身ばく露で実施されていた。
  OECD TG403では鼻部ばく露が推奨されており、動物週齢は8〜12週齢とされている。
  したがって、より新しい試験でありかつ試験方法として適している > 5.15 mg/L (雄)、> 5.15 mg/L (雌) を採用し、区分外とした。
   また、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.0014 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
  新たに入手した情報に基づき、区分を見直した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、刺激性は認められず、本物質は皮膚刺激性なしと評価されていることから (食品安全委員会農薬評価書 (2009))、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
絵表示なし


警告
H320 P264
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギを用いた眼刺激性試験において、ごく軽度であるが刺激性が認められたと報告されていることから (食品安全委員会農薬評価書 (2009))、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において、中程度の感作性が認められたことから (食品安全委員会農薬評価書 (2009))、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。
  すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (食品安全委員会農薬評価書 (2009))。
6 発がん性 区分外
-

-
- -   ラット、又はマウスに2年間混餌投与した発がん性試験において、発がん性は認められなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2009))。
  すなわち、実験動物2種で発がん性が陰性であったため、区分外とした。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットを用いた経口経路 (混餌投与) による2世代繁殖毒性試験のうち、1試験ではF0、F1親動物に赤血球コリンエステラーゼ活性阻害のみられる用量 (300 ppm) においても児動物に異常は認められなかったが、他の1試験ではF0、F1親動物に体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓相対重量増加などがみられる用量 (1,500 ppm) でF1、F2児動物に体重増加抑制、F1児動物では加えて性成熟遅延 (包皮分離遅延、膣開口遅延) が認められた (食品安全委員会農薬評価書 (2009))。
  妊娠ラット、及び妊娠ウサギを用いた強制経口投与 (ラット: 妊娠7〜19日、ウサギ: 妊娠6〜18日) による発生毒性試験では、ラットでは母動物毒性 (流涎、肝臓絶対・相対重量増加) がみられる用量 (100 mg/kg/day) においても胎児に異常は認められなかったが、ウサギでは母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量 (80 mg/kg/day) で着床後胚死亡の増加が認められた (食品安全委員会農薬評価書 (2009))。
   以上、1件のラット2世代繁殖毒性試験において親動物に一般毒性影響が生じる用量で次世代に成長・発達抑制が認められたこと、並びにウサギの発生毒性試験において母動物毒性発現量で着床後胚死亡の増加が認められたことから、本項は区分2とした。
  なお、旧分類時以降の新しい情報源を基にしたため、分類結果が変わった。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)

危険
H370 P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
  本物質のヒトでの単回ばく露のデータはない。
  実験動物では、ラット及びマウスを用いた本物質の単回経口投与試験で、動作緩慢、腹臥、呼吸促迫、挙尾、痙攣、流涙を伴う眼瞼閉鎖、立毛が認められたが、生存例では投与後4日 (ラット) 又は3日 (マウス) には回復したとの記載がある (食品安全委員会農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))。これらの症状がみられた最小用量の記載はないが、試験の用量はラットで360〜1,548 mg/kg、マウスで592〜4,827 mg/kg、最小致死量はラットで518 mg/kg、マウスで769 mgと記載されている (農薬抄録 (2009))。したがって、影響がみられた用量は最小致死量付近の区分2の範囲と考えられる。
  吸入経路では、ラットの4時間単回吸入ばく露試験で、呼吸抑制、睡眠/昏睡、運動低下、立毛、行動抑制、弓なり姿勢、被毛のみだれ、うずくまり、振戦、衰弱、あえぎが認められたが、生存例ではばく露後13日には回復したとの記載がある (食品安全委員会農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))。これらの症状がみられた最小用量の記載はないが、試験の用量は0.25〜1.48 mg/L、最小致死量は雄で0.80 mg/kg、雌で0.51 mg/kgと記載されている (農薬抄録 (2009))。したがって、影響がみられた用量は最小致死量付近の区分1の範囲と考えられる。
  本物質は有機リン系殺菌剤であり、有機リン系殺虫 (菌) 剤は一般的にヒトにおいて神経系に影響を及ぼすことが知られている (IPCS, PIM G001 (1989))。
  以上より区分1 (神経系) とした。
  旧分類から区分を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(神経系)

警告
H373 P260
P314
P501
  ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた混餌での90日間反復投与神経毒性試験において、区分2相当の1,000 ppm (雄:70 mg/kg/day、雌:80 mg/kg/day) で驚愕反射亢進又は亢進傾向、総運動量及び歩行運動量減少が認められ、ラットを用いた混餌による2年間反復投与毒性/発がん性試験において区分2相当の1.000 ppm (雄:36.8 mg/kg/day、雌:45.5 mg/kg/day) で赤血球及び脳コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上) 等が認められている(食品安全委員会 農薬評価書 (2009))。
   したがって、区分2 (神経系) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.859 mg/L(環境庁生態影響試験, 1997、環境省リスク評価第2巻, 2003)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖) = 0.1 mg/L(環境庁生態影響試験, 1997、環境省リスク評価第2巻, 2003)であることから、区分1となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 3.36 mg/L(環境庁生態影響試験, 1997、環境省リスク評価第2巻, 2003)であることから、区分2となる。
   以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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