GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 13311-84-7
名称 2-メチル-4'-ニトロ-3'-(トリフルオロメチル)プロパンアニリド (別名:フルタミド)
物質ID H29-A-014
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない
-
-
- -    爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含み、酸素収支の計算値が-142で判定基準の-200より高いが、分解開始温度および分解エネルギーのデータがなく分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- -    爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- -    塩素を含まずフッ素及び酸素を含む有機化合物であり、酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ヒトでは本物質を前立腺癌治療薬として処方した場合の主な副作用として、女性型乳房の報告がある (医療用医薬品集2017 (2016))。実験動物では、雄ラットに離乳後の生後23~54日まで強制経口投与した試験 (pubertal assay) において、25 mg/kg/day以上で包皮分離の遅延、精巣重量の増加、及び副生殖器官重量の減少、50 mg/kg/dayで精巣の病理組織変化がみられたとの報告がある (NTP Abstract for RACB20103, RACB20104, RACB20105, RACB20106, and RACB20203 (Access on August 2017))。以上、男性の女性型乳房は内分泌系への有害影響であり、生殖影響の評価対象外の所見である。一方、実験動物では本物質の抗アンドロゲン作用 (NTP Abstract for RACB20103, RACB20104, RACB20105, RACB20106, and RACB20203 (Access on August 2017)) による影響がみられるが、重篤な発生影響が含まれていないことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、内分泌系、血液系、生殖器(男性))


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   本物質 (別名: フルタミド) は非ステロイド性抗アンドロゲン剤であり、前立腺癌の治療に用いられる (医療用医薬品集2017 (2016))。
   ヒトについては、6,393例における副作用及び臨床検査値の異常の発現率は29.0%、主なものは女性型乳房2.9%、食欲不振2.0%、下痢1.7%、悪心・嘔吐1.1%、AST上昇13.2%、ALT上昇13.2%、γ-GT上昇5.9%、LDH上昇3.8%、アルカリ性ホスファターゼ上昇3.1%、赤血球数減少1.8%、ヘモグロビン低下1.5%、ヘマトクリット値低下1.5%等であり、重大な副作用として劇症肝炎等の重篤な肝障害による死亡例が報告されている。また、間質性肺炎 (0.1%未満)、心不全・心筋梗塞 (頻度不明) が現れることがあるとの記載がある (医療用医薬品集2017 (2016))。
   実験動物については、ラットを用いた28日間経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲である1 mg/kg/day (90日換算: 0.31 mg/kg/day) 以上で精巣上体の絶対及び相対重量減少、乳腺の小葉の萎縮、4 mg/kg/day (90日換算: 1.24 mg/kg/day) で血中テストステロン及びエストラジオールの増加、精嚢の絶対及び相対重量減少、精子形成サイクルのステージIX~XIにおけるレプトテン期精母細胞増加の報告がある (平成10年度厚生科学研究費補助金 (生活安全総合研究事業) 28日間反復投与試験等に関する調査研究 (OECDテストガイドライン国際共同バリデ-ションプロジェクト) 分担研究報告書 http://www.nihs.go.jp/edc/houkoku10/10-9/10-9-shunin.pdf))。
   以上より、区分1 (肝臓、内分泌系、血液系、生殖器 (男性)) とした。なお、ヒトでの食欲不振、下痢、悪心・嘔吐は消化器系への副作用であるが、GHS分類の根拠としては十分でないこと、また、重篤な副作用のうち、間質性肺炎、心不全・心筋梗塞は頻度が低いことから標的臓器とはしなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    デ-タ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
   甲殻類(アミ)96時間LC50 = 1.38 mg/L(EPA AQUIRE:2017, Verslycke,T. et al(2004))であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
   慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BioWin)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)= 0.1 mg/L(EPA AQUIRE:2017, Haeba,M.H. et al(2008))であることから、区分1となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類)に対しては、急性毒性データが得られていないため、分類できないとなる。
   以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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