GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 633-65-8
名称 塩化ベルベリン
物質ID H29-A-023
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素及び水素以外の元素 (N) とイオン結合しているが、これは酸化性に寄与しない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
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- -    データ不足のため分類できない。 
   
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    ベルベリン及びベルベリン化合物の情報は、塩化ベルベリン (CAS番号 633-65-8)、テトラヒドロベルベリン (CAS番号 522-97-4)、ベルベリンヒドロクロライド (CAS番号 633-65-8) が確認されたため、これらの情報を分類に使用した。すなわち、in vivoでは、塩化ベルベリン及びテトラヒドロベルベリンのマウス骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (NTP DB (Access on August 2017)、Iran J Basic Med Sci, vol. 20, No. 5, May 2017))、マウスの骨髄細胞、心臓細胞を用いたDNA損傷試験で陽性 (Iran J Basic Med Sci, vol. 20, No. 5, May 2017)、in vitroでは、塩化ベルベリン、ベルベリンヒドロクロライド、テトラヒドロベルベリンを用いた細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果である (NTP DB (Access on August 2017)、Iran J Basic Med Sci, vol. 20, No. 5, May 2017))。しかし、in vivo、in vitroでの陽性結果は再現性が認められなかった。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。なお、ベルベリンにはin vitro及びin vivoで抗腫瘍作用がみられたとのいくつかの報告がある (Kamrani Rad, S.Z, et al. IJBMS, 20, 516-529 (2017))。また、ベルベリンや他のアルカロイドを含む植物のゴ-ルデンシールの根の粉末はラット及びマウスで肝臓に対し発がん性を示し、IARCはグループ2Bに分類している (IARC 108 (2016))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ベルベリンを含有する漢方薬を胎児期に胎盤を介してばく露された場合、又は新生児期に母乳を介して、或いは直接摂取した場合、新生児に黄疸、核黄疸、及び黄疸による脳の損傷を発生する頻度が中国やシンガポールでは高いと報告されてきた (Chan E.: Biol. Neonates, 63, 201-208 (1993))。実験的にはin vitro及びラットを用いたin vivo実験結果から、ベルベリンが血清中結合タンパクからビリルビンを遊離させ、血中ビリルビン濃度が上昇することが確認されており (Chan E.: Biol. Neonates, 63, 201-208 (1993)、Bateman, J. et al.: Scot. Med. J., 43, 7-15 (1998))、新生児黄疸は漢方薬中の一成分である本物質による影響が疑われている。そのため、ベルベリンを多く含有するハーブや漢方薬を妊婦が使用するのは避けるのが望ましいとされている (Jahnke G.S. et al.: Birth Defects Res., 77, 195-206 (2006)、Chan E.: Biol. Neonates, 63, 201-208 (1993))。なお、ベルベリン製剤の副作用に関しては、下痢症を効能とするベルベリン硫酸塩水和物の注射剤の添付文書には妊娠中の投与に関する安全性は確立していないため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいと記載されている (医療用医薬品集2017 (2016))。
   実験動物では塩化ベルベリンニ水和物 (CAS番号 5956-60-5) を妊娠ラット又は妊娠マウスに混餌投与 (ラットで最大1,313 mg/kg/day、マウスで最大1,155 mg/kg/day)、又は強制経口投与 (ラット、マウスとも1,000 mg/kg/day) した発生毒性試験において、ラットの混餌及び強制経口投与試験では、母動物毒性がみられた1,000~1,313 mg/kg/day で胎児には発生影響はないか、又は軽微な影響 (体重低値) のみであった (NTP Abstract for TER98008, TER20102 (Access on September 2017)、Jahnke G.S. et al.: Birth Defects Res., 77, 195-206 (2006))。一方、マウスの試験では混餌投与した場合、母動物には841 mg/kg/day以上で飲水量増加がみられ、胎児には統計的有意差はないものの、口蓋裂を示した例数の増加がみられた。妊娠マウスに強制経口投与した場合には、母動物には1,000 mg/kg/dayで誤投与による死亡4/25例以外に7/25例の死亡又は切迫屠殺例がみられたが、生存例には飲水量の増加以外に影響は認められなかった。胎児には体重の低値がみられただけで、口蓋裂はみられなかった (NTP Abstract for TER20103, TER99002 (Access on September 2017)、Jahnke G.S. et al.: Birth Defects Res., 77, 195-206 (2006))。この他、排卵させた雌マウスを雄と交配前後に本物質100 microgで2~14日間筋注した結果、受精卵に占める杯盤胞の割合及び妊娠18.5日における生存胎児数の減少がみられ、ベルベリンが胚の発生を阻害する可能性が示された (Tsunoda, Y. and Kato, Y.: J. Mamm. Ova. Res., 28, 40-46 (2011))。
   以上、ヒトの知見は本物質を含む漢方薬の副作用として懸念されているが、本物質との因果関係は必ずしも明確ではなく、ヒトでの生殖影響の証拠としては弱い。また、動物試験でも多くは陰性の結果であることから、本項は区分2が妥当と判断した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
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- -    データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
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- -    データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
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- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
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- -    データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
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- -    データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
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- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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