GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 75-66-1
名称 tert-ブチルメルカプタン
物質ID H29-A-024
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
   引火点-26℃ (closed cup)、沸点64℃ (ICSC (J) (2004)) に基づいて区分2とした。なお、UNRTDG分類はUN 2347、クラス3、PGⅡである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- -    発火点は253℃ (GESTIS (Access on September 2017)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
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-
- -    液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- -    ラットのLD50値として、4,729 mg/kg (SIDS (2012)、PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- -    ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (SIDS (2012)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外
-
-
- -    ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、22,200 ppm、26,643 ppm (SIDS (2012)、PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (238,884 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- -    ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404及び OPPTS 870.2500 相当) で、4時間適用の場合に軽度の刺激性の報告 (SIDS (2012)) と刺激性はなしとの報告 (ECHA登録情報 (Access on December 2017)) がある。又、24時間適用試験において軽度の刺激性がみられたとの記載 (SIDS (2012))、適用時間は不明だが軽度の刺激性や適用部位において軽度の発赤や変色がみられたとする記載 (PATTY (6th, 2012)) がある。よって、本物質は軽度の刺激性を有すると考え、ガイダンスの軽度刺激性に該当する区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
   ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) で、適用後に全ての動物に眼刺激性がみられたが7日以内に回復し、軽度の眼刺激性と考えられたとの記載 (ECHA登録情報 (Access on December 2017)) や、ウサギを用いた他の複数の試験において軽度の眼刺激性を示したとの記載 (SIDS (2012)、HSDB (Access on August 2017)) がある。よって、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
   モルモットを用いた皮膚感作性試験で、試験動物の全てが惹起後24又は48時間後に皮膚所見 (発赤、浮腫) のスコアが1~3を示し、感作性物質であったとの記載 (SIDS (2012)) や、マウスを用いたLLNA法による皮膚感作性試験 (OECD TG 429準拠) において感作濃度25、50、100%の場合にSI値が3を上回り、本物質は皮膚感作性を示したとの記載 (ECHA登録情報 (Access on December 2017)) がある。よって、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
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- -    In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験で陰性 (SIDS (2012))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、陰性の結果、姉妹染色分体交換試験で陰性である (SIDS (2012)、HSDB (Access on August 2017))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- -    ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物に明らかな一般毒性影響 (体重増加抑制、肝臓・腎臓・血液系などへの影響) がみられた高用量 (200 mg/kg/day) 群で、出生児に軽微な影響 (生後4日の体重低値) がみられた以外に生殖発生影響は認められなかった (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2017)、SIDS (2012))。また、妊娠ラット又は妊娠マウスに最高200 ppmまで吸入ばく露 (6時間/日: 妊娠6~19日 (ラット)、妊娠6~16日 (マウス)) した発生毒性試験において、最高濃度においても母動物、胎児ともに本物質ばく露による影響はみられなかった (SIDS (2012))。
   以上、経口経路によるラット生殖発生毒性スクリーニング試験、吸入経路によるラット及びマウスを用いた発生毒性試験において、いずれも生殖発生毒性は陰性の結果であった。しかしながら、経口投与試験はスクリーニング試験であること、また吸入経路による発生毒性試験は母動物に一般毒性影響が出現する濃度までばく露されておらず、陰性と結論するには用量が不十分であったと考えられることから、以上の試験結果のみでは区分外とはできず、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用)


警告
H335
H336
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
   本物質のヒトでの単回ばく露の情報はない。実験動物では、ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、区分2超の55.0 mg/L以上で流涙、努力呼吸、活動性低下、虚脱、運動失調が、82.6 mg/L以上で振戦が認められたとの報告がある (SIDS (2012)、PATTY (6th, 2012))。また、別のラットの4時間単回吸入ばく露試験で、区分2超の57.0 mg/L以上で、ばく露後約15分以内に、眼と鼻をこする動作、閉眼、くしゃみ、流涙などの粘膜刺激性を示す所見がみられ、更に呼吸促進、不穏、協調運動能阻害、よろめき歩行、筋力低下、チアノーゼ、鎮静、嗜眠が認められたとの報告がある (SIDS (2012)、SIDS Dossier (2012))。以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系、肝臓)


警告
H373 P260
P314
P501
   実験動物について、ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、区分1のガイダンス値の範囲内である10 mg/kg/day (90日換算: 4.7 mg/kg/day) 以上でα2uグロブリン腎症を示すと考えられる腎臓の近位尿細管の硝子滴沈着及び好塩基性尿細管、区分2のガイダンス値の範囲内である50 mg/kg/day (90日換算: 23.3 mg/kg/day) 以上で総コレステロールの増加、肝臓の小葉中心性肝細胞肥大、小葉周辺性脂肪変性等、200 mg/kg/day (90日換算: 93.3 mg/kg/day) で体重の低値、赤血球、ヘモグロビン及びヘマトクリットの低値、血小板数の高値、プロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間の延長、アルブミン及びγ-GTの増加、脾臓のヘモジデリン沈着等がみられている (SIDS (2012))。また、ラットを用いた13週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲内 (蒸気) である0.033mg/L (90日換算: 0.024 mg/L) 以上でα2uグロブリン腎症と思われる慢性腎症 (雄のみ)、区分2のガイダンス値の範囲内 (蒸気) である0.36 mg/L (90日換算: 0.26 mg/L) 以上で腎臓の絶対及び相対重量増加 (雄のみ)、肺胞マクロファージ増加がみられている (SIDS (2012))。
   以上、腎臓の変化は雄ラット特有の所見と考えられ、肺胞マクロファージの増加は異物に対する生理的反応であるため分類根拠としなかった。
   したがって、区分2 (血液系、肝臓) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
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- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
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- -    データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
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- -    データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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