項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 1303-86-2 |
名称 | 三酸化二ホウ素 |
物質ID | H29-B-001 |
分類実施年度 | 平成29年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (GESTIS (Access on May 2017))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (GESTIS (Access on May 2017))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (HSDB (Access on May 2017))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 半金属 (B) を含むが、水に溶解する (ICSC (J) (2014)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | マウスのLD50値として、3,163 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2017)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - | ウサギで紅斑が出現したが、数日後に消失した (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 13 (1999)、ECETOC TR63 (1995)) との記載から軽度の刺激性と判断し、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
本物質を適用した動物に対して、結膜に影響がみられたとの記載がある (ACGIH (7th, 2001)、 DFGOT vol. 13 (1999))。また、本物質とホウ酸にばく露された113人の作業者が、対照群に比べて顕著に眼の刺激を訴えたとの報告があることから (ACGIH (7th, 2001)、区分2Aとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、ホウ酸 (CAS番号 10043-35-3) の分類結果 (分類できない) を参照のこと。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | 本物質自体のデータはないが、無機ホウ素化合物の情報が利用可能と考えられる。無機ホウ酸塩化合物 (無水ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム五水和物、ホウ酸ナトリム十水和物、ホウ酸) に対し、ACGIHはA4に分類している (ACGIH (7th, 2005))。よって、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
本物質自体の生殖毒性に関する情報はないが、ホウ素化合物としてホウ酸 (CAS番号 10043-35-3) 及びホウ砂 (Na2B4O7・10H2O、CAS番号 1303-96-4) の情報が利用可能と考えられる。すなわち、マウスにホウ酸を、ラットにホウ酸又はホウ砂を混餌投与した生殖毒性試験で、親動物に一般毒性影響がみられない用量で受精能の低下による不妊が認められた。交差交配試験の結果、マウスでは雄の受精能低下が不妊の原因であったが、ラットでは投与群の雌を対照群の雄と交配させた場合にも完全不妊がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2010))。一方、妊娠ラット又は妊娠マウスの器官形成期にホウ酸を混餌投与した複数の発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少など) 発現量で胎児に奇形発生 (第13肋骨の欠損・短縮、側脳室の拡張など) の増加、胎児死亡率、新生児死亡率の増加がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2010))。妊娠ウサギの器官形成期にホウ酸を強制経口投与した試験でも母動物に体重の低下がみられる用量で心血管系奇形の増加及び胎児死亡率の増加が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。 以上、本物質もホウ素化合物として、ホウ酸・ホウ砂と同様の生殖発生毒性を示す可能性が考えられ、区分1Bとした。なお、EUも本物質をRepr. 1B に分類している (ECHA CL Inventory (Access on May 2017))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) |
警告 |
H335 |
P304+P340
P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
ヒトでの本物質の単回ばく露の情報はないが、無機ホウ素化合物としてホウ酸 ((CAS番号 10043-35-3)) 及びホウ砂 (Na2B4O7・10H2O、CAS番号 1303-96-4) の情報が利用可能と考えられる。ボランティアによるホウ酸またはホウ砂粉じんの単回吸入ばく露試験で、対照群と比較して鼻汁分泌の有意な増加がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2005)、ATSDR (2010)、DFGOT (2013) (Access on May 2017))。したがって区分3 (気道刺激性) とした。なお、ばく露回数は不明であるが、米国のホウ酸塩製造工場で本物質あるいはホウ酸のばく露を受けた労働者に対する問診において眼の刺激、呼吸器の刺激 (鼻、口、喉の乾燥、喉の痛み、咳等) が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 13 (1999))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない |
- |
- | - |
ヒトについては、本物質あるいはホウ酸のばく露を受けた労働者に対する問診において眼の刺激、呼吸器の刺激 (鼻、口、喉の乾燥、喉の痛み、咳等) が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 13 (1999))。 実験動物では、ラットを用いた10~24週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分2のガイダンス値の範囲を超える470 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.37 mg/L) で影響がみられておらず、イヌを用いた23週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分2のガイダンス値の範囲内である57 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.04 mg/L) で影響はみられていない (ATSDR (2010)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第14巻 (2016))。このほか、ラットに10%の本物質水懸濁液を3週間強制経口投与した試験で、区分2のガイダンス値の範囲である500 mg/kg/day (90日換算値: 83 mg/kg/day) で影響がみられていないとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、Wilding JL et al. (1959) The toxicity of boron oxide. Am Ind Hyg Assoc J. 20: 284-289.) この報告は、試験条件等が十分でないことから分類には用いなかった。 以上、ヒトの呼吸器への影響は急性によるものか反復によるものか不明であること、問診によることから反復ばく露の標的臓器の根拠とするには不十分と考えられる。また、ラットの試験では区分外に相当するが、イヌの試験では最高用量群が区分2の上限未満であり、区分2の上限までの影響は分からない。したがって、区分外とできず分類できないとした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 |
- |
- | - | 藻類(Scenedesmus subspicatus)72時間EC50(生長阻害)= 109 mg/L[34 mgB/L 換算値](WHO EHC :1998)、甲殻類(アミ)96時間LC50 = 238 mg/L[73.79 mgB/L 換算値](NITE 初期リスク評価書:2008)、魚類(Xyrauchen texanus)96時間LC50 = 750 mg/L[233 mgB/L 換算値](WHO EHC:1998)であることから、区分外とした。なお、対象物質は水中においてほう酸に加水分解することから、分類にはほう酸のデータを使用した(環境省環境リスク評価(第14巻):2016)。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - | 金属塩の水中での挙動は不明であるが、対水溶解度が22,000 mg/Lであり、藻類(Scenedesmus subspicatus)の72時間EC10(生長阻害)= 77 mg/L[24 mgB/L 換算値](WHO EHC:1998)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖,成長)= 19 mg/L[6 mgB/L 換算値](NITE 初期リスク評価書:2008)、魚類(ニジマス)の87日間NOEC(生存率)= 6.8 mg/L[2.1 mgB/L 換算値] (NITE 初期リスク評価書:2008)であることから、区分外とした。なお、対象物質は水中においてほう酸に加水分解することから、分類にはほう酸のデータを使用した(環境省環境リスク評価(第14巻):2016)。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |