GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 123-30-8
名称 p-アミノフェノール
物質ID H29-B-012
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成28年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- -    可燃性 (GESTIS (Access on June 2017)) との記述があるが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- -    発火点は> 250℃ (GESTIS (Access on June 2017)) であり常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
   ラットのLD50値として、671 mg/kgとの報告 (SIDS (2010)) に基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- -    ウサギのLD50値として、> 8,000 mg/kg (HSDB (Access on May 2017)) との報告に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。ラットの1時間吸入LC50値として、> 5.91 mg/L (4時間換算値: > 1.478mg/L) (HSDB (Access on May 2017)) との報告があるが、このデータのみでは区分を特定できないので分類できない。なお、旧分類時に用いたIUCLID (2000) のデータは入手できず詳細不明であるため、採用しなかった。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- -    ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、適用後24時間で軽度の浮腫を誘発し、72時間以内に回復した (一次刺激スコア 0.2 (最大値8)) との報告 (SIAP (2010)、HSDB (Access on May 2017)) から軽度の刺激性を有すると考えられ、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
   
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
   ヒトの眼に対して刺激性があるとの報告 (HSDB (Access on May 2017)) と 、ウサギを用いた眼刺激性試験で軽度の刺激性がみられたとの報告 (SIAP (2010)、HSDB (Access on May 2017)) から、区分2Bとした。
   
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
   本物質は、気管支喘息を引き起こすとの報告 (HSDB (Access on May 2017)) から、区分1とした。
   
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
   本物質が染毛剤に含まれ、理髪師や消費者に対する接触性皮膚炎の原因物質であるとの記載 (Contact Dermatitis (5th ed., 2011)) や、本物質が皮膚感作性を有するとの複数事例の報告 (SCCS (2011)) から、区分1とした。
   
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   In vivoでは、ラットの優性致死試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性 (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on May 2017)、SIDS (2010))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、陽性の結果、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陰性、染色体異常試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果である (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on May 2017)、SIDS (2010)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on May 2017))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
   新しい情報をもとに区分を見直した。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    ラットに本物質を最大30 mg/kg/day の用量で2年間強制経口投与した試験で発がん性はみられなかった (SCCS (2011))。また、本物質の誘導体 (フェナセチンなど) には発がん性があるとの報告があるが、本物質に発がん性があることを示す証拠はないと記述されている (PATTY (6th, 2012))。以上、本物質は発がん性を示さないと考えられるが、区分外とするにはデータ不足と判断し、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ラットを用いた強制経口投与による簡易生殖毒性試験では、親動物に死亡 (雄4/12例、雌2/12例)、体重増加抑制がみられた 500 mg/kg/dayにおいて、雌親動物に性周期の回帰停止、妊娠期間の延長、分娩及び哺育行動の不良が、児動物に死産率の高値、出生率の低値、生後4日の生存率の低値が認められた (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on May 2017)、SIDS (2010)、SCCS (2011))。一方、妊娠ラットに対し妊娠0~20日に混餌投与した発生毒性試験では、母動物に体重増加抑制がみられる用量よりも低い用量から着床後胎児死亡の増加がみられたが、胎児には骨格変異や成長遅延による腎乳頭未発達がみられたものの、奇形発生の増加はみられなかった (SIDS (2010)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。しかし、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に強制経口投与した結果、85 mg/kg/day以上で母動物に体重増加抑制がみられ、250 mg/kg/dayでは胎児に奇形発生 (骨格奇形、無眼、水頭症) が認められた (SCCS (2011))。また、妊娠ラットの妊娠11日に単回強制経口投与した試験で、母動物に体重増加抑制がみられる用量で尾の異常がみられた (SIDS (2010)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。なお、妊娠ハムスターの腹腔内又は静脈内投与試験では外表奇形 (脳瘤、眼・尾の奇形) がみられたが、経口投与では奇形は生じなかったとの報告がある (SIDS (2010)、PATTY (6th, 2012)、SCCS (2011)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。
   以上、ラットの簡易生殖毒性試験では母動物の致死量で生殖発生影響がみられた。一方、妊娠ラットを用いた経口投与による3つの発生毒性試験のうち1試験では、母動物毒性発現量より低用量から胎児毒性が生じ、他の2試験では母動物毒性用量で骨格奇形や外表奇形の発生が認められた。実験動物での発生毒性影響は概ね母動物毒性発現量でみられていることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。旧分類は本物質がヒトでメトヘモグロビン血症を起こすとの情報 (PATTY (4th, 1999)) に基づいて血液系を標的臓器としていたが、確認した結果、メトヘモグロビン血症を起こすことが考えられるとの記述であり、この情報はPATTY (6th, 2012) には記載されていない。また、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006) には、本物質は大量に吸収されると、メトヘモグロビン血症を起こすとの記述 (出典: 後藤ら、産業中毒便覧 増補版 (1992)) があるが、元資料を確認したところ、ばく露状況の詳細や件数の記載はなく、原典の情報もないため、詳細確認不能であった。したがって、以上の情報は分類根拠としなかった。実験動物では、ラットの単回経口ばく露試験において、嗜眠と立毛がみられ、一部の動物に唾液腺の浮腫が認められたとの報告 (SIDS (2010)) があるが、これらの症状のみでは標的臓器を特定できない。他に根拠となる情報もないことから分類結果を変更し、分類できないとした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓)


警告
H373 P260
P314
P501
   ヒトについて明確な報告はない。
   実験動物については、ラットを用いた強制経口投与による28日間反復投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲である100 mg/kg/day (90日換算値: 31 mg/kg/day) 以上で褐色尿、尿沈渣の上皮細胞、腎臓の絶対及び相対重量高値、好塩基性尿細管、区分2のガイダンス値の範囲を超える500 mg/kg/day (90日換算値: 156 mg/kg/day) で赤血球低値、ヘマトクリット値・ヘモグロビン濃度の低値、網状赤血球数の高値、肝臓の重量増加、腎臓の皮髄境界部の白色線条、脾臓の髄外造血亢進、脾臓のヘモジデリン色素の増加等の報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on May 2017)、SIDS (2010)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。また、ラットを用いた混餌による6ヵ月間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である35 mg/kg/day以上で腎症、区分2のガイダンス値を超える350 mg/kg/dayで体重増加抑制、赤血球数・ヘモグロビン濃度の減少がみられている (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、PATTY (6th, 2012))。
   以上、血液系、腎臓に影響がみられるが区分2のガイダンス値の範囲内では腎臓にのみ影響がみられていることから、区分2 (腎臓) とした。
   なお、旧分類では、ヒトで腎毒性を発現する。メトヘモグロビン血症を起こす (PATTY (4th,1999)) と記載されていたが、確認した結果、それらを起こすことが考えられるとの記載であり、PATTY (6th, 2012) ではこれらの記載はないことから、分類根拠としなかったため分類が変更となった。
   
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
   藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata) 72時間EC50(生長速度) = 0.10 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
   急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:6%(化審法DB:1997))、藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata)の 72時間NOEC(生長速度) = 0.025 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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