項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 543-90-8 |
名称 | 酢酸カドミウム |
物質ID | H29-B-032 |
分類実施年度 | 平成29年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (ICSC (J) (2007))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (ICSC (J) (2007))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性である (ICSC (J) (2007))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 水に非常によく溶ける (ICSC (J) (2007)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (Cd) とイオン結合しているが、これは酸化性に寄与しない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。ラットのLD50値として、333 mg/kg (RTECS (Access on July 2017)) との報告があり、旧分類はこのデータに基づいて区分4としていたが、RTECSは現行ガイダンスではList 3の資料であり、原典が入手不能で詳細が確認できないため分類できないとした。旧分類から分類結果を変更した。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、カドミウムはヒトに対して皮膚刺激性があるとの報告 (ATSDR (2012)) がある。また、本物質との接触により皮膚刺激性を認めたとの記載 (HSFS (2008)) があるが、List 3の資料であり原典が確認できなかったため採用しなかった。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
ヒトにおいて眼への刺激性を示す報告 (HSDB (Access on June 2017)) がある。細区分するための情報がないため、区分2とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 |
警告 |
H341 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
In vivoデータはなく、in vitroでは、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性である (HSDB (Access on June 2017))。MAK/BAT (2016) において、カドミウム及びその無機化合物が生殖細胞変異原性カテゴリーで3A (生殖細胞突然変異の可能性が高い物質) に分類されていることから、少なくともin vivoにおける生殖細胞突然変異に対する影響が推察されるため、区分2とした。 |
6 | 発がん性 | 区分1A |
危険 |
H350 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
カドミウム及びカドミウム化合物はヒトで肺がんを生じること、またカドミウム及びカドミウム化合物へのばく露と腎がん及び前立腺がんとの間に正の相関があることから、カドミウム及びカドミウム化合物のヒトでの発がん性は十分な証拠があること、また実験動物では主に塩化カドミウムを用いた発がん性試験結果から、カドミウム化合物には実験動物での発がん性の十分な証拠があるとIARCは結論し、カドミウム及びカドミウム化合物をグループ1に分類した (IARC 101C (2012))。この他、カドミウム及びカドミウム化合物に対し、NTPがKに (NTP RoC (14th, 2016))、日本産業衛生学会が第1群に (産衛学会許容濃度の勧告 (2016)、1996年提案) 分類している。以上、本物質もカドミウム化合物として区分1Aとした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1A |
危険 |
H360 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ヒトでは神通川流域の妊婦の集団では、尿中カドミウム濃度が高い妊婦の群が低い妊婦の群と比べて妊娠期間の有意な短縮及び低体重児の出産率の有意な高値を示したとの報告、バングラディシュの妊婦では尿中カドミウム濃度と女児の出生児体重との間に有意な負の相関がみられたとの報告、母子のコホート研究では母体血中カドミウム濃度と出生児の頭囲とは逆相関し、臍帯血中濃度の上昇が3歳児における身長、体重及び頭囲を有意に低下させたとの報告、及び東京の妊婦における研究でも尿中カドミウム濃度と出生児の体重との間に有意な負の相関があったとの報告など、妊婦のカドミウム中毒による発生影響に関する複数の疫学研究がある (産衛学会許容濃度の勧告 (2013))。 実験動物でも妊娠動物にカドウミウム化合物 (主に塩化カドミウムであるが、本物質の報告も数件ある) を経口投与した試験で、胎児に体重低値、骨格変異・奇形の増加、胚/胎児吸収の増加、新生児に神経発達障害(自発運動低下、知覚運動協調性反射の発達遅延など)、腎機能低下など発生・発達影響が数多く報告されている (ATSDR (2012))。 日本産業衛生学会は疫学研究報告及び実験動物での知見より、カドミウム及びカドミウム化合物を生殖毒性物質第1群に分類している (産衛学会許容濃度の勧告 (2013))。以上より、本項は区分1Aとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器、消化管) |
危険 |
H370 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
本物質のヒト及び実験動物での単回ばく露の情報はないが、他のカドミウム化合物の情報が参考となると考えられる。カドミウム化合物一般のヒトでの急性毒性として、吸入ばく露では肺炎と肺水腫、経口摂取では急激で重篤な悪心、嘔吐、腹痛が報告されている (EHC 134 (1992))。酸化カドミウム (CAS番号 1306-19-0) はヒト及び実験動物で呼吸器と消化器系に影響を示すことが報告されている (ATSDR (2008))。また、塩化カドミウム (CAS番号 10108-64-2) はヒト及び実験動物で呼吸器、消化器系、肝臓に影響を示すことが報告されている (ATSDR (2008))。これらの情報に基づき、平成21年度GHS分類において、酸化カドミウムは区分1 (呼吸器、消化器系)、塩化カドミウムは区分1 (呼吸器、肝臓、消化器系) と分類されている。以上の情報から、本物質も他のカドミウム化合物と同様に、ヒトにおいて呼吸器及び消化管への影響の可能性が考えられる。したがって区分1 (呼吸器、消化管) とした。 なお、旧分類は、ヒトで本物質の経口摂取により腎臓、肝臓が障害されるというHSDB (2003) の記述を根拠として腎臓及び肝臓も標的臓器としていたが、HSDB (Access on June 2017) の記述は詳細が不明のため、分類根拠として不十分であると判断し、分類結果を変更した。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器、腎臓、骨) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ヒトについて本物質の情報は無い。しかし、カドミウムは広範囲の臓器組織に毒性を示すが、主要な標的臓器は腎臓であり、骨及び吸入による肺も毒性に対する感受性が高いとの記載がある (ATSDR (2012))。また、長期職業ばく露は肺及び腎臓を主とする重篤な慢性影響を生じさせ、慢性的な腎障害は一般集団にもみられる。その他の影響の中には、カルシウム代謝の阻害、高カルシウム尿、腎結石の生成がある。高濃度のカドミウムばく露の大多数は栄養上の欠陥などの他の要因と共存し、骨粗しょう症、骨軟化症を発症させるとの記載がある (EHC 134 (1992))。 実験動物については、ラットに本物質1.6 mg Cd/m3を2~6週間吸入ばく露 (3時間/日、5日/週) した試験で、2週間ばく露では肺胞中隔の肥厚、単球及び多形核白血球の集簇がみられたが、3週間のばく露後には炎症反応は減弱し、4、5及び6週間のばく露後には有意な病理組織学的変化はみられていないことが報告されている (ATSDR (2012))。 以上、実験動物については低濃度のばく露では適応性を示すとの報告のみであり分類に用いることはできなかった。ヒトについては、呼吸器、腎臓、骨への影響の可能性が示された。したがって、区分1 (呼吸器、腎臓、骨) とした。 旧分類でList 2としていた情報源が現在List 3であることから分類に用いなかったこと、新たな情報源を用いたことから旧分類と分類が異なった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
魚類(ニジマス)96時間LC50 = 0.013 mg/L[0.0062 mgCd/L 換算値](EPA AQUIRE:2017, Kumada,H. et al(1980))であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
慢性毒性データが得られていない。金属塩の水中での挙動は不明であるが、金属は元素であるため難分解とみなされ、急性毒性区分1であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |